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Web春秋連載が更新されました

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。
 今月もWeb春秋の連載、「会社苦いかしょっぱいか」が更新されました。
 今回のテーマは「知られざるビジネスマナーの歴史」。ビジネスマナーについては『反社会学講座』で取りあげてまして、10数年ぶりの再調査だったのですが、私の調査能力も、資料検索の環境も、格段に進歩してますので、以前とは比べものにならないほど深く広く掘りかえすことができました。
 「ご苦労さま」と「お疲れさま」の使いかたが時代によってかなり変化してきたことは、一部の国語学者のあいだでは研究されてますけど、一般のかたはほとんどご存じないんじゃないですか。とくにお疲れさまに関しては、日本語の乱れといってもいいくらいの変化なのですが、なんとなく許容しちゃってますよね。
 私も以前は気にもしなかったのですが、調べだしたら、たしかにほうぼうで「お疲れさまでした」といわれてることに気づきました。図書館を出る利用者に係の人が、お疲れさまでしたといってるんです。そのあいさつ、要る? べつに無言でもいいんじゃないかって思いますけどね。コミュニケーションをとらなければいけないという強迫観念かな。
 ビジネスマナーの講師や本が、都市伝説や歴史捏造を広める元凶となっているのは本当に腹が立ちます。文化史をマジメに研究してる者からすると迷惑でしかないです。ウソ並べて文化を破壊してるオマエらがエラそうに他人のマナーを指導してんじゃねえよ、と説教したい。
 本文ではサラッと流してますが、詳しく知りたいかたは以下の本を参照してください。
 欧米では人前で化粧をするのは売春婦という伝説については、『日本人のための怒りかた講座』『怒る! 日本文化論』。
 メラビアンの法則については、『反社会学講座』。
 ヴィクトリア女王がマナー知らずの客に恥をかかせないために自分もフィンガーボウルの水を飲んだという伝説は、『みんなの道徳解体新書』で、それぞれ検証しています。

 そして今回、なんと、連載最終回でございます。1年間ご愛読ありがとうございました。この連載は、書き下ろしを加えて単行本化されますので、お楽しみに。
[ 2017/03/01 20:00 ] おしらせ | TB(-) | CM(-)

Web春秋連載更新のお知らせと2016年のよかった本

 こんにちは、ピコ太郎のどこがおもしろいのかわからぬまま年を越したパオロ・マッツァリーノです。
 年末年始を挟んだため、いつもよりちょっと遅くなりましたが、今月もWeb春秋連載「会社苦いかしょっぱいか」が更新されました。今回は出張がテーマです。戦前・戦後でサラリーマンの出張環境がどう変化したのか。ぜひご一読を。
 今回はこれといったこぼれ話はありません。代わりに、昨年末に書き切れなかった2016年のよかったものを補足しておきます。

2016年のよかったもの:本
ミル『自由論』(斉藤悦則訳・光文社古典新訳文庫)
 私は毎年つねに、自分の本こそがベストだと思ってますが、自分の本はさんざん紹介してきましたので他人の本から選びます。
 あまりにも有名なミルの『自由論』ですが、なんとなく食指がのびず、読んでなかったんです。数年前に光文社の文庫で新訳が出ていたことを知り、どんなもんかと斉藤悦則訳のを読んでみたら、複雑な気分になりました。
 これ、原書は日本でいえば幕末のころに書かれたものです。そのミルの指摘が、ことごとく現代社会にも当てはまってしまうんです。

 たまたまイギリスに生まれたからイギリス国教会の教義を信じてるのであって、北京に生まれてたら仏教か儒教を信じてたであろう。
 みたいなことをミルはいうのですが、要するに、常識はそれが正しいかどうか考え抜かれた上で支持されているのでなく、世間のみんなが支持してるからという理由でなんとなく選ばれているにすぎない。だからまちがってる可能性はつねにある。
 人は自分の好みをルールとして他人に押しつけようとする。不人気な反対意見を述べる人々は不道徳な悪者と決めつけられてしまいがち。だからこそ、言論の自由を保証することによって、反対意見の存在を認めなければならないのだ。
 現代では社会が個性を圧していて、社会の最上層から最下層まで、敵意に満ちた恐ろしい監視のもとで暮らしている。
 個性を押しつぶす画一化が現在も進行中である――

 ミルがあげた「現代」の問題点は、160年近く経った「現代」にもほぼそのまま、当てはまってしまいます。私は文化史の研究から、少なくともこの100年、人間は基本的に変わってないと主張してますが、もっと前から変わってないのかもしれません。
 自分の偏見や間違いを決して認めない強権的な人間が続々と世界中で指導者になってます。彼らはいずれ、自分を批判する意見を弾圧しはじめ、言論の自由が脅かされることでしょう。
 
[ 2017/01/06 22:28 ] おしらせ | TB(-) | CM(-)

Web春秋連載が更新、第9回は宴会芸です

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。今月もWeb春秋の連載『会社苦いかしょっぱいか』が更新されました。
 第9回は年末という時期にぴったりな、宴会芸の近現代史がテーマです。
 1970年代の宴会のオゲレツぶりは、セクハラなんてレベルを軽く凌駕してました。だからずっといってるでしょ、日本人の道徳心はむかしよりいまのほうがずっと強まっているのだと。それこそが、否定しようのない歴史の真実。
 一般人でも乱れてたんだから、お笑い芸人なんてもっと過激です。
 75年の『週刊現代』には、先代の柳家小さん一門が毎年恒例にしていた忘年会の様子をレポートしていますが、記事のタイトルで「警視庁には見せられない」とことわってるほど。
 以前は中華料理屋でやってたのですが、あまりの下品さにウエイトレスが耐えられず、店から断られたので小さんの家でやるようになったのだとか。それもそのはず、一門の落語家たちが次々に披露する宴会芸は、すべて基本フルチン。部屋の灯りが消えたかと思うと、全裸でケツに火のついたローソクを挟んだ前座が「ホ、ホ、ホータル来い」と歌いながら登場したり、先代の江戸家猫八が「粗チン大会を行う」と宣言してフルチンになると、あまりの小ささにだれもかなう者がいなかったり。
 同じく『週刊現代』84年の記事で赤塚不二夫さんが語るところでは、タモリさんは全裸オットセイという芸を、雪が積もった軽井沢の別荘の庭でやっていたそうです。
 ちかごろのお笑いは裸のヤツばかりで芸が無い、とか批判するかたがいますけど、お笑いはむかしから、裸が基本。裸にはじまり、裸に終わるのです。
[ 2016/12/01 22:15 ] おしらせ | TB(-) | CM(-)

『みんなの道徳解体新書』の内容紹介ページができました。

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。
 『みんなの道徳解体新書』の内容紹介ページができました。
 左の「パオロの著作」欄の画像からリンクしています(広告や書店へのリンクではありません)
[ 2016/11/09 20:45 ] おしらせ | TB(-) | CM(-)

『会社苦いかしょっぱいか』第3回が更新されました

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。
 Web春秋で月一連載中の『会社苦いかしょっぱいか』が更新されました。
 第3回は「秘密の秘書ちゃん」。すげえ適当なタイトルですが、原稿を送った際に仮でつけといたタイトルを、あとで変えればいいやと思ってたらすっかり忘れてそのままになってしまいました。
 今回はタイトルどおり、秘書をテーマにしております。昭和26年、愛人を議員秘書にする国会議員が増えて国会内がケバい女だらけになった件やら、男性社長秘書座談会、昭和30年代なかばの女性秘書ブームの様子などなど、今月も盛りだくさんの内容でお届けします。

 会社の文化史がテーマの連載なのですが、初回のプロローグに続いて、前回いきなり社長と社員の愛人・浮気という下世話なネタからはじめてしまいました。で、今回は秘書。
 普通の学者やライターだったら、こんな構成にはしないでしょう。ちゃんと全体の構成を考えてネタの順序を決めるはずですが、私は自分が興味のあるところから掘りはじめてしまうので、構成とか考えるの苦手なんです。だから私の本はいつも、できあがりがごった煮みたいな感じになります。でも、読みにくいかというと、そうでもないでしょ? むしろ読みやすいんじゃないかと思いますが。ごった煮なんていうとイメージ悪いかもしれないけど、ラタトゥイユもカポナータもごった煮みたいなもんだけどうまいでしょ。
 あ、文中の数字が漢数字になってるのが不自然で読みにくいと感じたかたもいるかもしれませんが、連載終了後に本になる予定があるので、最初から縦書き対応の漢数字にしてあります。
 それと訂正をひとつ。第2回の文中に出てくる資料名で『実業の世界』となっているのは、『実業の日本』のまちがいです。
[ 2016/06/09 21:20 ] おしらせ | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

偽善のすすめ

13歳からの反社会学(文庫)

ザ・世のなか力

怒る!日本文化論

日本列島プチ改造論(文庫)

パオロ・マッツァリーノの日本史漫談

コドモダマシ(文庫)

13歳からの反社会学

続・反社会学講座(文庫)

日本列島プチ改造論

コドモダマシ

反社会学講座(文庫)

つっこみ力

反社会学の不埒な研究報告