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悩めるお母さんのための読書案内が更新されました

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。当ブログはじまって以来、まさかの怒濤の3日連続更新になりました。本年の更新は今日で最後になります。来年からはこれまでどおり、週一くらいの更新ペースに戻ります。

 さて、月に一度のお楽しみ、書評という名のミニコント「悩めるお母さんのための読書案内」が更新されておりますが、今回をもって最終回となりました。長らくのご愛読、ありがとうございます。
 決して突然ではないんですよ。古代マヤのカレンダーでも予言されてたくらいで……あっ、滅亡するのって、私の連載のことだったのか!
 ま、ホントのところは、連載開始当初から、1年半の予定と決まってたんですけどね。
 最後なので純粋に自分の好きな本を紹介しようということで、ベイトソンの『精神の生態学』とスローターダイクの『シニカル理性批判』とどっちにするか迷いました。『シニカル……』も名著なので、機会があったら読んでみてください。

 月に一度の連載とはいえ、ふりかえると、けっこう長いことやってました。紹介した本は全部で42冊。最初はVERY誌での連載で、これを2年やりました。そのときは、まだ品切れになってなくて書店で入手可能な本という縛りを設けてあったのですが、なるべく新刊も取りあげてくれという編集長方面からの指令を無視し、VERY読者の好みもおかまいなしに自分好みの本ばかり紹介していたら、案の定お払い箱にされました。
 Web春秋での連載に移ってからは、毎回の文字数も制限なし、絶版になった本でもかまわずとりあげることにしました。さらにバラエティにとんだチョイスになったような、なんとなく方向性があったような。
 いずれにせよ、自分がおもしろいと思った本ばかりをたくさん紹介できたので、うれしい仕事でした。書評の仕事って、この本の書評を書いてくださいと依頼されることが多いので、読んでみてつまらなかったときが最悪です。

 この連載は加筆の上、来年、春秋社から単行本となって発売される予定になってますので、お楽しみに。
 パオロの立ち食いそば屋兼古本屋「ブオーノそば」は閉店したわけではありません。また新たなキャラを迎えて、べつのストーリーがはじまっていますので、いずれどこかでお会いできるはずです。
[ 2012/12/26 19:58 ] おしらせ | TB(-) | CM(-)

安倍さんにクリスマスプレゼント

 こんにちは、新党アルデンテ代表、ナポリ3区のパオロ・マッツァリーノです。
 朝日が偏向報道をしていると、おむずかりの安倍さんに、私からクリスマスプレゼント。

 読売新聞2009年9月5日夕刊「週刊KODOMO新聞」

 なんという哀しい表情でしょう。まるで自民党は天に召されてお星さまになったかのようです。

 それにひきかえ、
 読売新聞2012年12月22日夕刊「週刊KODOMO新聞」

 どうです、この希望に満ちあふれた満面の笑みは。
 こども向けニュースコーナーのマンガを使い、これほどまでにわかりやすい偏向報道をするなんて、すごすぎるぞ、読売新聞!

 安倍さん、ご機嫌をなおしてください。読売新聞社は、永久に自民党の味方です。
[ 2012/12/25 19:16 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)

今年よかったもろもろ

 こんにちは、そしてメリクリ、パオロ・マッツァリーノです。ムリして若者言葉を使ってみました。ガラケーってのがガラパゴスケータイの略だと、ついこないだ知りました。じゃあスマートホンは、すまけい?(ボケにムリがあるとよくいわれます)

今年買ってよかったもの
『ラジオサーバー PJ-20』(オリンパス)
 テレビ番組の留守録は、ハードディスクレコーダーの登場で革命的に便利になりましたけど、ラジオ番組を留守録できる製品となると非常に限られてしまいます。ハードディスクレコーダーでラジオも予約録音できれば、ラジオリスナーが激増するかもしれないのに。
 いま現在、おそらくベストといえるラジオ録音機が、オリンパスのPJ-20。本来はNHKの語学講座の受講者向けに開発されたのでしょうけど、私はもっぱらFMの音楽番組の録音用に使ってます。ケーブルテレビはたいていFM電波も一緒に流していて、クリアな音が聴けるのですが、それを同軸ケーブルで接続して受信できる機種は、PJシリーズくらいしかないのでは。
 私は前モデルのPJ-10からのユーザーです。10には不満点も多かったのですが、それが20ではほぼすべて改善されてました。とても良心的なモデルチェンジといえましょう。10のときは、まれにタイマー録音が時間になってもはじまらずハングアップする謎の現象に見舞われたのですが、20では一度も起こらず動作が安定しています。
 前モデルと比べて、やや不満が残る変更点といえば、早送り巻き戻しのときに音が出なくなったことと、録音レベルが低くなったこと(録音レベルは自動なので、自分では調整できません)。だいぶ小さめの音量で録音されるので、再生のとき、前モデルよりかなりボリュームをあげないといけません。ま、いずれもささいな欠点なので、製品そのものの満足度を大きく下げることはありません。

今年見たなかで一番おもしろかったテレビドラマ
『ヒトリシズカ』(WOWOW)
 有料チャンネルの番組を推すのは反則かもしれませんけど、WOWOWの連ドラはチャラチャラした役者を使わず、骨太の脚本と演出で勝負してるから、映画並みのクオリティーなんです。
 『ヒトリシズカ』は全6回と短いのですが、そのぶんムダなく、ダレなく、飽きが来ない。不可解な事件の裏に見え隠れする、失踪した15歳の少女。交番勤務や生活安全課など、事件捜査の周辺にいる警察官がその存在に気づくも、だれも彼女を捕まえられない。彼女の意図は第4回のラストでようやく明らかになるものの、話がどこに着地するのかは、最終回までわからない――ほら、ワクワクするでしょう。私はミステリーのおもしろさって、トリックの奇抜さとかじゃなく、謎が解きほぐされていくワクワク感にあると思ってます。

今年読んだなかで一番おもしろかった本
『ららら科学の子』矢作俊彦(文春文庫)
 あくまで、私が今年読んだ本ということであって、出版されたのは10年近く前です。ずいぶん前に読んだ『スズキさんの休息と遍歴』がむちゃくちゃおもしろかった記憶があるのに、なぜかいままで他の矢作作品に手をつけなかったのですが、気まぐれに手に取ってみたところ、最初の10ページからやっぱりむちゃくちゃおもしろい。30年ぶりに中国から帰ってきた元学生運動家が、自分で選択した行為の結果に後悔することなく、変化と現実を受け止めていくさまが、ハードボイルドなんですよ。

今年よく聴いたCD
『Ardis』Gap Mangione
 ディスクユニオンでアタマ3曲をちょろっと試聴。ジャケはヒドいし音も悪いけど、妙にノリのいいジャズだったので購入しました。家で聴くと、ピアノソロ曲では急に録音がよくなったり、はたまた突然70年代ばりのフュージョンが飛び出したりと、なんなんだこの節操のなさは。
 あらためてジャケ裏のメンツを確認すると、ラリー・カールトン、スティーブ・ガッド、ジェフ・ポーカロ? ジェフ・ポーカロが死んだのってだいぶ前だよねえ……。てことはこれ、ずいぶんむかしに録音された秘蔵音源をまとめた福袋みたいなアルバムなのでは。インディーズとはいえ、ジャケがペラ1枚でなんの説明もなく、録音日すら書かれてないなんて……。謎多き名盤。

今年観て考えさせられた映画
『アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち』
『電人ザボーガー』
 音楽ドキュメンタリーとおバカヒーローもの、まったくジャンルの異なる2本です。とりわけ『ザボーガー』は前半がほぼコントといってよいふざけたノリなので、前半だけで見限ってしまったかたもおられることでしょう。でもこの映画のキモは後半にあります。はたしてヒーローは、40歳すぎてもヒーローでいられるのだろうか? これまで避けられていたテーマにあえて挑んだ意欲作なのです。
 『アンヴィル』は、ずーっとむかしに人気があったアンヴィルというヘビメタバンドのドキュメンタリー。その後人気が低迷してレコード会社からも契約を切られたけど、中心メンバーの2人は、50歳すぎてもまだ再ブレークを信じ、バンド活動を続けてます。
 そう、この2作のテーマは同じなのです。いやあ、私自身、40過ぎの売れない物書きなもので、身につまされます。自分はこの先、50になっても物書きを続けていられるのだろうか。そのうち、町角でビッグイシューとか売ってるんじゃなかろうかなんて不安が本気で頭をよぎります。
 でも一方で、開き直ってる自分もいます。この歳になって就職もむずかしいだろうし、好きなことやってくたばるなら、それも本望じゃないのか、と。2本の映画を観て、開き直る勇気をもらいました。

 さて、ベストに続いて、今年のワーストもあげようかと思ったのですが、年の瀬にだれかを貶めるってのもヤボなんで、やめときます。悪口は年が明けてからにとっておきましょう。
[ 2012/12/24 20:16 ] おすすめ | TB(-) | CM(-)

国民の審判

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。いやあ、圧勝でしたねえ。
 おめでとう! ハマカーン!

 選挙の話じゃないのか? そんなもんべつに聞きたくもないでしょ。ええ、私は腹を立ててますよ。せっかく私が無党派メガネ男子・メガネ女子票を大量獲得する秘策を授けたのに、どの党も採用しなかったから、自民の独走を許してしまったんです。ああ、じつに、もったいない。
 こういう結果になったからには、自民党のみなさんは、テレビCMで安倍さんが連呼していた、利権を取り戻す! 既得権を取り戻す! という公約の実現に全力で邁進なさるのでしょう。そんなこといってなかった? おかしいな。私には安倍さんの心の声が聞こえたんですけどねえ。

 話を戻しますが、ハマカーンは以前から注目して応援してたんですよ。いえ、ホントに。決勝はもうちょっと票が割れるかと思ったんですが、ハマカーンのあそこまでの圧勝とは。私の票読みはまだまだ甘かったですな。
 もし、アホ-1グランプリだったら、オジンオズボーンが優勝候補だったでしょうし、NON STYLEが繰り出すボケの究極連打にも、千鳥が紡ぐ笑える悪夢世界(千鳥のネタの世界観って、まじめに想像すると、けっこうブラックですよ)にも、楽しませてもらいました。あの舞台に残った12組は、やっぱりみんな実力者です。

 これからお笑いコンビやグループを結成して天下取りを目指してる若手のみなさん、「国民の審判」というコンビ名・グループ名はいかがですか。「どうもー! 国民の審判でーす!」「本日のゲストは、国民の審判のみなさんです」
 何様だよ、って無駄におおげさなのがいいでしょ。これだけお笑いの人たちが多いと、もしかしたらすでに存在するかもしれないと、吉本のサイトの芸人検索をしてみましたが、いないようです。他の事務所はわかりませんが。
 べつに政治ネタや諷刺ネタをやる必要はありません。むしろ、名前と無関係のくっだらないネタをやったほうが、権威をコケにできます。なにが国民の審判だ! ふざけるな! とアタマの固い連中が怒ってくれたら、しめたもの。
 そもそも「国民の審判」なんて言葉自体がうさんくさいんです。自分の望む結果が出たときは、「国民の審判がくだった」と多数派の正義と賢明さを強調する。自分の望まない結果になったときは、「あんなのはポピュリズムだ。大衆迎合だ」と批判し、少数派の自分こそが賢く正しい存在であると主張する。
 どちらも多数決で決まった結果であることに、かわりはないはずなのにね。
[ 2012/12/18 00:08 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)

選挙戦の秘策を、あなただけに教えちゃいます

 こんにちは。ナポリ3区から参りました、新党アルデンテ代表のパオロ・マッツァリーノでございます。
 日本では選挙戦も終盤を迎えているようです。集票に苦戦している政党のみなさんに、有能な選挙参謀であるワタクシから、無党派層の支持を一気に広げる秘策を伝授いたしましょう。
 基本に立ち戻って考えましょう。日本人のイメージといえば、なんですか? そう、メガネです! 日本人のみなさんは――というか東洋人も含まれるのですが、眼球のかたちそのものが、西洋人に比べ近眼になりやすいかたちをしているといわれてます。
 そのため当然ですが日本人には、メガネ・コンタクト利用者がとても多いのです。パソコンなどを使うのがあたりまえになった現代社会において、近眼の人が矯正しない裸眼で仕事や勉強をすることは、まず不可能です。それは生活必需品なのです。
 メガネは近年、激安店の競争により安くなったとはいえ、それなりにお金がかかります。コンタクトならなおさらです。なのに、メガネ・コンタクトの使用者に対し、なんの補助金制度も優遇措置もないというのは、あまりに酷ではありませんか? なぜこのキビしすぎる現実に対し、だれも異を唱えないのでしょうか。
 むかしは、近眼は勉強のしすぎとかの生活習慣でなるものだと思われていましたが、実際には遺伝とかの要因のほうが大きいとされています。不可抗力みたいなものですから、本来なら、不自由な身体を治す医療器具として健康保険を適用し、本人3割負担にしてもよさそうなものですが、医療費制度がパンクしそうな現状では、なかなかそれは現実的ではありません。
 でしたら、せめて、メガネ・コンタクト(もちろん度付きのものにかぎる)の購入費を、全額所得控除の対象にできないものでしょうか。そのくらいのささやかな税金面での優遇措置はあってもいいんじゃないでしょうか。
 どうですか、お客さん! じゃなかった、有権者のみなさん! このマニフェストを掲げれば、どの党に票を入れようか決めかねている日本中の近眼の無党派層を一気に取り込めるはずです。さあ、党首のみなさん、この秘策を武器にすればあなたも集票マシーンになれるのです!
[ 2012/12/10 18:24 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)

イタリアン大学白熱教室

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。先日、11月24日のブログでは、飛行機内での赤ちゃんの泣き声論争について私見を披露しました。本日はその続きというか補足。24日の文章をお読みでないかたは、先にそちらをよんでからどうぞ。

 まずは、飛行機や電車で赤ちゃんが泣き出した場面に遭遇した場合、私自身がどう反応するのか、はっきりさせておきましょう(といっても飛行機で遭遇した経験はありません。電車内のみです)。私は、ほとんど気にならないのです。赤ん坊が泣いても、うるさいとは思わないから当然、親に注意したり苦情をいったりしたこともありません。
 だったらなぜ、「赤ん坊が泣いても周囲はガマンすべきだ」とする意見に賛成せず、それどころか、そういう意見をエセヒューマニズムなどと批判するのか?
 彼らを批判する理由はふたつ。ひとつは、彼らが「寛容さ」とはなにかをわかっていないから。もうひとつは、極論を他人に強制するだけでは、なにも解決しないから。

 現に、赤ん坊の泣き声を苦痛だと感じる人はいるのです。賛成反対にかかわらず、その事実は認めねばなりません。自分が平気だからといって、苦痛を感じてる人たちの存在を無視し、ガマンを強要するような「不寛容」で「独善的」な人たちに、賛同する気にはなれません。
 笑いのツボは人それぞれだといわれます。あるお笑い芸人のギャグで笑う人もいれば、あんなのどこがおもしろいんだという人もいます。そのどちらの反応が正しいか決めて統一しよう、なんて議論にはなりません。
 怒りのツボも悲しみのツボも苦しみのツボも、人それぞれちがって当然なのに、どういうわけか、笑い以外の感情のツボに関しては、人それぞれであることを許せない人が、けっこういらっしゃる。で、そういう人たちは、自分と異なるツボで怒る他人に対して、ワガママいうな! ガマンしろ! そんなことで怒るな! 私と感情のツボを同じにしなさい! と強要するのです。
「赤ちゃんは泣くものですよ。だからそれを不快に感じても怒るべきではないし、怒る人はどうかと思いますよねえ」
「なんだか、日本人からだんだん寛容さが失われているような気がしてなりません」
 テレビのワイドショーやニュースで、コメンテーターやキャスターがこんなやりとりで嘆いていそうですが、こういう一見、人情味にあふれた発言をする人こそが、もっとも不寛容な人なのです。しかも彼らにその自覚がないことが、よけいに気持ち悪い。
 私、パオロは、赤ん坊の泣き声が苦痛ではありません。でもそれは私個人の感じかたにすぎません。自分が平気だから他人にも平気であれと強要するのは、まぎれもない不寛容です。本当に寛容な人なら、頭ごなしに否定せず、怒る人の気持ちや理由も察してあげようとするはずです。

 赤ん坊の泣き声を耳にしても平気でなにもいわない私は、「やさしい」のでしょうか。「寛容」なのでしょうか。いいえ。それは私の「冷たさ」です。私は自分のなかにあるその一面に気づいているからこそ、赤ん坊と親を一方的に擁護できないし、クレームをつける人を批判できないんです。
 赤ん坊が泣くのは、周囲のオトナを不快にさせて、自分が抱える身体的・精神的不満に気づかせ、不満の要素を取り除いてもらいたいからです。
 見かたを変えて、赤ん坊の立場になってみましょうか。その子の目には、必死に泣いて送ってるサインを耳にしても平気で無視できる私は「冷たい人」と映ることでしょう。
 逆に、赤ん坊の泣き声を聞きつけ、不快に感じて、うるさいから出ていけとクレームをつけてきた人は、赤ん坊にとっては待ちかねた援軍なのです。だって、赤ん坊はその機内や車内にいるのが苦痛で、まさに、出ていきたいと望み、泣いて訴えているんです。クレームをつけてきた人は、その望みを叶えてくれようとしてるのですよ!
 ああ、なんたる皮肉でございましょう。じつはクレーマーがだれよりも赤ん坊の気持ちを代弁しているのにもかかわらず、周囲の善意のヒューマニストたちは、「赤ちゃんが泣くのはあたりまえだ! クレーマーのおまえのほうこそ、出ていけ!」と赤ん坊の希望の糸を断ち切って、親の都合だけに味方して、おのれの寛容さに酔いしれるのです。

「赤ん坊は泣くものです。だから周囲の人はガマンしなさい」
 じつはこれ、かなりの極論です。「夜は暗いものです。だから照明器具を使うのはガマンしなさい」といわれて、すんなり従えます? あるいは「親はこどもが泣かないようにするものです」といわれたら?
 意見が対立するとき、極論をたてにとって一方だけにガマンを強いる解決法は、はなはだしく不公平です。ただし、べつの極論とセットにして公平にする手もあります。交換条件ですね。オレはこれをガマンするから、おまえはそれをガマンしろ、と。私からひとつ、交換条件による極論的解決法を提案してみましょうか。
「公共の場で赤ん坊が泣いても、周囲は決して文句をいってはいけない。その代わり、言葉がわかるようになる3、4歳以上のこどもが公共の場で大騒ぎしたり走り回ったりした場合、周囲の人間はその子と親を強制的に退場させることができる。親は決して文句をいってはいけない」
 どうです。かなりの極論的解決法でしょ。ひくでしょ。でもこれ、けっこう公平ではあると思います。こどもの親と周囲の他人、両者がガマンしあうわけですし、こどものしつけをきちんとするように親を誘導する効果も期待できますから、案外、賛同する人も多いかもしれません。
 とはいえ、飛行機が飛んでる最中に強制的に退場させるのは無理があります。極論でなく、親と周囲、両者に配慮した解決法となるとやはり、飛行機や電車では、赤ちゃん連れの親の専用席や専用車両を作るというのがもっとも現実的でしょう。このアイデアは以前からあるし希望者も少なくないのに、航空会社や鉄道会社はあまり真剣に検討せず、いまだに乗客のガマンに甘えているのが残念です。
 とくに飛行機はほぼ事前予約制ですから、赤ちゃん連れの席と、赤ちゃん禁止の席を、一番前と一番後ろみたいに設定しておけば、予約時に指定できます。これで完全に泣き声を遮断できるわけではないけれど、少なくとも、距離はおけますから、赤ん坊の泣き声に耐えられない人にもある程度は配慮できるはずです(JALには赤ちゃん優先席はあるようですが、赤ちゃん禁止席も設けないと意味がない)
 不満や不便をどうすれば解消できるか、それを考えることで人類は進歩してきました。これまで何度もいいましたけど、ガマンでなにかが解決したためしがないんです。ガマンとは、改善の努力を放棄し、問題を先送りするだけの行為です。
[ 2012/12/03 22:40 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

偽善のすすめ

13歳からの反社会学(文庫)

ザ・世のなか力

怒る!日本文化論

日本列島プチ改造論(文庫)

パオロ・マッツァリーノの日本史漫談

コドモダマシ(文庫)

13歳からの反社会学

続・反社会学講座(文庫)

日本列島プチ改造論

コドモダマシ

反社会学講座(文庫)

つっこみ力

反社会学の不埒な研究報告