反社会学講座ブログ

パオロ・マッツァリーノ公式ブログ
反社会学講座ブログ TOP > 2015年01月

『○○妻』と『オリエント急行殺人事件』

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。
 風邪をひいてしまいました。ここ2、3日は横になってテレビ見てました。もう、だいぶよくなりましたのでご心配なく。

 『○○妻』、いいですよ。『家政婦のミタ』の二番煎じになるのではって下馬評もありましたけど、初回は期待を上回る出来でした。『ミタ』の続編を望む声に、脚本家の遊川さんがもっとも適切なカタチで応えてくれました。
 『ミタ』はすでに完結して、ミタの謎もあきらかになってしまったんですから、同じキャラで続編をやっても十中八九、前作を越えられません。
 だったら一度リセットして、べつの「仕事が完璧だけど謎めいた女性」のストーリーを描いたほうが、展開の自由度が高くなるし、似たようなテイストの作品を求めてる視聴者も満足させられます。

 裏でやってた『残念な夫』もいちおう録画しておいて見ました。視聴者の共感を拒むような『○○妻』に対し、こちらは、それあるある~って視聴者の共感で成立するタイプのドラマ。
 個人的にはテーマに興味がないので続きは見ませんが、だいぶリサーチしてネタを仕込んである様子はうかがえますし、主演の二人の芝居も楽しいので、脚本家の腕のふるいようによっては、けっこう人気が出るかもしれません。

 そして、興味津々だったのが、三谷さんの『オリエント急行殺人事件』ですよ。ミステリファンならほとんどの人が、映画か小説のどちらかで、あの話をすでに知ってるわけです。ナゾが解き明かされても、もはや驚く人はほとんどいないという、ネタバレしすぎた話を、いまさらどう料理するというのか。
 前編で原作のストーリーをほぼやっつけてしまって、後編は犯行計画をオリジナルで描くんですね。で、おもしろかったのは後編のほうなんですよ。前編は延々、容疑者の取り調べが続くんで、私は退屈で寝ちゃいました。前編の途中で見限って、後編を見なかった人もいたんじゃないかと心配しましたが、視聴率はほぼ変わらなかったみたいです。
 後編は完全にいつもの明るく楽しい三谷喜劇のノリなんです。ただ、そのノリで殺人計画を練るってどうなのよ。ブラックコメディと割り切って楽しめる人なら問題ないけど、道徳心の強いかたは不快感をおぼえるかもしれません。
 要するにこれは『忠臣蔵』だな、と思って見ていたら、犯人たちが脅迫状を書くシーンで、「討ち入り前の血判状だ」とセリフでいってるじゃないですか。やはりそうだったのか。
 探偵役の野村さんの芝居には賛否あるでしょうけど、私は賛のほうです。自信過剰な天才をリアルに演じたら、ただ単にイヤなヤツになっちゃいます。あのくらい振り切ってコミカルにしても許されます。そもそも名探偵なんて存在自体がファンタジーみたいなものですから。
[ 2015/01/19 21:41 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)

私と異物混入

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。
 私が遭遇した異物混入事件。
 数年前のことですが、ある中華料理店で。運ばれてきた料理の皿に目をやると、皿の縁になにやら小さな白い物体が載ってました。なんだろうと目をこらすと、これはどうみても、歯、です。一瞬、信じられなかったのですが、やはり人間の歯、とおぼしきものがひとつ、皿の縁に載ってました。
 すぐにウエイターを呼びました。「これ、なんですか?」
 ウエイターはその歯とおぼしき物体をひょいとつまむと、厨房へ下がりました。
 数分後、戻ってきたウエイターがいいました。
「あれは、片栗粉のカタマリです。中華料理は片栗粉よく使うんですよ」
「へえ……そう……」
 私はこれっぽっちも信じてませんよ。だけど、あまりに予想外のいいわけをされたことで意表を突かれ、怒ることも忘れてしまいました。
 そのあとどうしたか? 普通に料理を食べて、もちろんお金も払って帰りました。料理のなかに歯が混入していたらさすがに食べませんけど、皿のはじに載ってただけですから。料理自体は、その店はけっこう本格派の中華でおいしかったし。
 謝罪の言葉などはまったくなかったし、私もべつに謝罪を求めませんでした。
 でもさすがに、それ以降足を運ぶことはなくなりましたね。風のウワサに、昨年閉店したと聞きました。

 最近、異物混入事件が立て続けに報道されてます。いつものことですが、報道の受け止めかたには注意してください。
 去年、新潮45の連載でも書きましたけど、犯罪自体はむかしに比べて激減してるのに、犯罪報道の件数は減らずに高止まりしているから、治安は一向に改善されてないと誤解してる人が多いんです。
 それと同じで、報道が急に増えたからといって、異物の混入が最近急増したとはかぎりません。むしろ常識的に考えれば、製品に異物が混入していた確率は、製品検査や衛生管理がゆるかったむかしのほうがはるかに高かったはずです。
 たとえば、スーパーで売ってるシラス干しって、いまは徹底的に異物が取り除かれてます。でもそれってわりと最近の傾向じゃないですか。以前はタコの赤ちゃんとか小魚みたいのがときどき混じってましたよね。
 だけどむかしの人は文句いわなかったじゃないか? そう断定するのは早計です。
 なにに関しても、むかしから苦情をいう人はけっこういました。明治大正昭和の新聞には、さまざまな苦情を訴える投書が山ほど載ってます。それこそ、火の用心の夜回りがうるさいとか、こどもがうるさいだとか、いまにはじまった話じゃないんです。100年前の人もやっぱり文句いってました。戦前にも、商店向けの苦情対応マニュアル本が何冊も出版されてたくらいです。
 異物混入事件も例外ではないでしょう。むかしから苦情は一定数あったけど、それは客とメーカー・販売店とのあいだで処理されて、表ざたにはならなかった。あるいは、苦情をいっても相手にされず、泣き寝入りを強いられた。
 いまはネットなどで拡散するから、苦情が表面化しやすくなっただけのこと。むかしの人は寛容、いまの人は不寛容、なんて根拠のない印象論で決めつけないでくださいね、コメンテーターのみなさん。
[ 2015/01/15 17:52 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)

とほほな誕生日

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。
 40過ぎると、もう誕生日に特別なイベントを企画したりしません。自分へのごほうびとかいって高額なものを買おうってOLみたいなことも考えないし。でも、タワレコと無印良品がポイントをプレゼントしてくれたので、近々なにか買うかもしれません。

 まあ、せっかくだからプチイベントってことで、夕方まだあまり混まないうちに近所の銭湯に行くことにしました。しばらくぶりに広い湯船にゆったり浸かって、そのあと夕飯はそば屋で日本酒だな、と粋なつもりで行ったら、休みでした。
 とほほ。
 いまからメシ作るのもイヤなんで、コンビニでカレーとビールを買って帰ったら、店員のヤツ、スプーンを入れずに割り箸を入れてやがんの。
 とほほ……。
[ 2015/01/09 22:49 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
会社苦いかしょっぱいか

みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

偽善のすすめ

13歳からの反社会学(文庫)

ザ・世のなか力

怒る!日本文化論

日本列島プチ改造論(文庫)

パオロ・マッツァリーノの日本史漫談

コドモダマシ(文庫)

13歳からの反社会学

続・反社会学講座(文庫)

日本列島プチ改造論

コドモダマシ

反社会学講座(文庫)

つっこみ力

反社会学の不埒な研究報告