反社会学講座ブログ

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映画『小さいおうち』は必見です

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。
 映画『小さいおうち』が地上波で放送されるので、まだ観てないかたはぜひご覧になることをおすすめします。
 私がいまさらおすすめするまでもなく高評価を得ている作品ですが、先日WOWOWで観て、女中のイメージなど近現代庶民文化史をきちんと押さえてある上に、ドラマとしても秀逸なことにいたく感心しました。
 戦前・戦中の暗かったとされる時代でも、不倫をする人もいたし、カネとコネがあれば贅沢もできたんです。その当たり前の事実が忘れられてしまってます。この映画は過去の人間を美化したり漂白したりせず、清濁合わせ持つ生身の人間として描いてるのでフィクションながらリアリティがあります。
 現代の大学生が祖母の話を聞きながら過去を振り返るという構成によって、現代人が持つ戦前イメージと、現実にその時代を生きた人の意識の差を際立たせることにも成功してますし。
 現代の若者が過去を探るという同じ構成からはじまる『永遠の0』とは対照的でした。あちらは冒頭の20分くらいがほとんど現代のシーンなのですが、あまりに退屈。ウチのじいさんは、じつはエラい人だったんだ! という薄っぺらい結論があまりにミエミエで鼻についたので、そこで興味を失い、観るのをやめてしまいました。
 ま、映画の好みは人それぞれですから、両方観ていろいろ考えてみるのも一興です。
[ 2015/02/28 19:29 ] おすすめ | TB(-) | CM(-)

一番辞めてるのは何大臣か?

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。
 また農水大臣辞めたのかよ! ってみなさんもう慣れっこになってるんじゃないかと思いますけど、実際のところ、途中で辞めたのは何大臣が多いのか、知りたいですよね。
 調べるの大変そうだなあ、ギャラもらえるわけでもないのに調べるの面倒だなあと思ったら、ネットにいい情報をまとめてくれてるかたがいたので助かりました。ありがとうございます。

歴代閣僚辞任一覧表
http://d.hatena.ne.jp/takerunba/20090219/p3

 この資料を使って数えてみましたら、やはり下馬評通り、一番多かったのは農水(農林)大臣でした。この資料ですと13人(2014年まで)ですから、今回ひとり増えて14人と、2位以下を引き離しにかかった模様。今後も利権と癒着の独走態勢が続くのでしょうか。がんばってください。
 第2位は法務大臣(11人)。去年お辞めになったかたの印象がまだ強く残ってますが、それ以前のかたはあまりピンときません。今後の巻き返しを期待します。
 3位以下は省庁再編があったせいで、ややこしいことになります。防衛大臣は前身である防衛庁長官も含めれば10人で第3位。まずは自分のポストを防衛したほうがよさそうです。ただし、長官時代はカウントしないとなりますと、財務(大蔵)大臣の9人が3位に昇格します。
 政府はカジノ構想に先駆けて、どの大臣が途中辞任するか予想するクジを販売したらいかがでしょう。ギャンブルをきっかけに、国民が政治に関心を持つようになれば素晴らしいではありませんか。
[ 2015/02/23 22:13 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)

奨学金制度に関するアイデア

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。
 確定申告直前になってから、普段つけない帳簿をまとめて記入したりするもので、バタバタしておりました。夏休みの終わりに絵日記をまとめて描くような。
 簿記の知識などまったくないので、パソコンの会計ソフトがなければムリですね。まさに、おまかせあれ~、みたいな。会社組織ではないので、使ってるのはなんとか奉行じゃありませんけど。

 身もフタもないことをいうようですが、教育の目的って要するに、国の税収を増やすためなんだよな、と税務署で申告の列に並んでるときに思いました。一般論として、国が国民の教育に投資すれば、国民の教育水準が上がって所得も上がる、そうなれば税収が増えて、国は教育に投資したぶんを税金として回収でき、国が豊かになる。
 でも日本政府はそう考えてないようです。日本の公的教育支出は他の先進国に比べてかなり少ないと、ずいぶん前から指摘されてきたにも関わらず、その問題はずっと先送りにしてきました。
 なんででしょうね。いまだに日本人は、大学などの高等教育は個人の贅沢だと考えてるのでしょうか。大学なんてのは、社会に出るまで4年間遊べるレジャーランドだなどと、昭和のころには盛んにいわれてたものです。
 でも現実問題として、東大生の親は金持ちだなんてことがデータで出ちゃってます。親の所得によってこどもの教育水準が決まる教育格差、ひいてはその後の所得格差は現実にあるんです。能力のある子が貧乏だから大学に行けないってのは、個人の不運で済まされません。国家の損失です。

 日本の奨学金制度はほとんど名ばかりで、実態は学費ローンにすぎません。ここはやはり日本の将来を担う若者のためにも、国が大学の学費を負担する返済不要の奨学金制度を作る太っ腹なところを見せて、未来に希望を持ってもらわなきゃ。
 才能ある若者が高等教育を受ければ、活躍する場も増えて国の税収もあがるはず。なのに、それを実行しようとしないのは、奨学金に投資したぶんを回収できないと踏んでるのでしょうか。
 そこでひとつのアイデアなんですが、こういう契約をしたらどうでしょう。「日本が返済不要の奨学金を提供する。ただし、その奨学金制度を利用した者は生涯にわたって、所得税を日本に納めることとする」。
 この契約の利点は、日本からの頭脳流出を心配する必要がないことです。大学卒業後に日本以外の国で働くことになっても、その人の所得税はずっと日本に納められることが確約されるのだから、長い目で見れば奨学金の投資分くらいは回収できるでしょ。その人がアメリカの大企業の社長にでもなれば、巨額のリターンが期待できます。契約があるから、タックスヘイブンを利用した脱税も阻止できるかもしれません。
 ただし実現には問題があります。私は税の専門家でないのでまちがってるかもしれませんが、現在の国際的慣習では、居住実態のある国(実際に生活している国)に税金を納めることになっているはずです。日本国が国民とこの契約を結んで徴税の権利を主張しても、相手国が了承しないことが考えられます。
 その場合どうしますかね。契約を「所得税、もしくは所得税に相当する金額を日本に納めること」としちゃいますか。そうすればその人は居住国と日本に二重に税金を払うことになります。
 なんか私、あくどい街金みたいなこといってます? でも、そうなる可能性も説明して承知させた上で契約するなら問題ないはずです。将来、日本より税金の安い国で働いてリッチになりたいと考えるなら、この奨学金制度を利用しなければいいんで、そのへんは賭けですね。
 どうでしょう。まったく煮詰めてない思いつきのアイデアにすぎませんけど、このくらい思い切ったことをやってみれば、日本の将来がもう少しおもしろくなるのでは。
[ 2015/02/17 21:25 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)

不愉快な日々

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。
 ここんところ、なんとも不愉快な日々が続きました。結果的に人質事件は残念な結果に終わってしまったようですが、それに匹敵するくらい後味が悪いのは、バッシングのほうでした。人質ふたりに対するバッシングのひどさは想像以上で、日本人はどんだけ日本人が嫌いなのかと、海外の人たちも呆れる始末。

 毎度おなじみの自己責任論は出るだろうなと思ってましたけど、もっとヒドかった。日本に迷惑かけたんだから自害しろだの、あれは韓国人だというデマを流しておとしめようとしたり、正気とは思えぬ発言の数々。でまた、そういう意見をいってるのが無名・匿名の一般人だけじゃないんですよね。そこそこ名のある人やテレビに出てるような人までがツイッターで堂々と発言してるってのがね。しかも10代20代の若者じゃない、いい歳こいたおっさん、オバサンなんですよ。やっぱり問題はゆとり教育じゃなかったんだなとわかります。
 私はリベラルな人間ですから、自分とは相容れない意見や信条を持ってる人間の存在も認めます。不愉快ですけどね。でもその不愉快さも含めて認めるからリベラルなのであって、不愉快な者は四の五のいわず排除してしまえと考えるようになったら、それこそイスラム国の思想と一緒になってしまいます。
 不快な言論が多いからといって、言論の自由を制限しろって方向へ議論を向けてはいけません。それは民主主義の自殺につながります。バカがバカな発言を自由に出来るのも民主主義のおかげだし、バカにバカといえるのもまた、民主主義のおかげです。

 ただね、自己責任だ、自業自得だと思うのは個人の自由でも、いつ殺されるかもわからない状況に置かれていた人に対して、その考えを口に出したりツイートしたりすべきでないことくらい、良識あるまともなオトナならわかるでしょうに。
 それをあえて発言するヤツらは「偽悪者」です。悪ぶって過激な意見をいうことが強さだとかん違いしてるだけ。
 以前から私は、偽善はべつに悪くないと主張し、偽善者になれと勧めてきました。偽善者は、動機がどんなに不純でも、結果的にだれかを救っているからです(この辺の議論を詳しく知りたいなら私の『偽善のすすめ 10代からの倫理学講座』を読んでください)
 偽悪者がすることは、だれも救いません。偽悪や偽悪者が具体的な問題をなにか解決したことなどありません。偽悪がよのなかの進歩や改良に貢献したためしがないんです。
 偽悪者がやることといったら、愚にもつかない理屈をこねて、問題そのものをなかったことにするくらいのこと。死ねばいいとか、あれは日本人じゃないから、なんて理屈はどれも問題解決を模索するのでなく、問題そのものが存在しないから解決の必要性がない、と詭弁を弄してるだけにすぎません。

 日本では、問題は起こさないのが「優」。問題が起きたら隠蔽するか、他人のせいにするのが「良」。ひたすら謝罪するのが「可」。問題を解決しようと努力しても、全然評価してもらえません。それどころか、解決に失敗するとなにもしなかったときよりも責められます。
 日本では、問題を起こした時点でもうアウトなんです。日本のオトナたちは若者に「失敗を恐れるな」といいますが、ウソですよ。信用したら痛い目に遭います。日本ほど失敗にキビシい国はありません。
 そんな不条理な日本に生きていて、日本人は誇りを持て? なにをどう誇るの。日本人は自信を失っている? 自信を失わせるような社会の仕組みになってるからでしょ。日本は素晴らしいと説くテレビ番組が、ますますむなしく見えてきます。
[ 2015/02/02 18:05 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

偽善のすすめ

13歳からの反社会学(文庫)

ザ・世のなか力

怒る!日本文化論

日本列島プチ改造論(文庫)

パオロ・マッツァリーノの日本史漫談

コドモダマシ(文庫)

13歳からの反社会学

続・反社会学講座(文庫)

日本列島プチ改造論

コドモダマシ

反社会学講座(文庫)

つっこみ力

反社会学の不埒な研究報告