反社会学講座ブログ

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保育園の騒音問題についての補足

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。しばらくブログもツイッターも更新しなかったのは、今月アタマにカゼでへばってたせいで遅れていた仕事をしていたからです。

 私は人が嫌がる事実を正直に書くので、少数の人はおもしろがってくれますが、大多数の人からは敬遠されます。ツイッターも、おもしろがってくれる一部の人向けに細々とやってるのですが、保育園の騒音議論が70年代からあった事実を指摘したところ、1000を越える尋常でない数のリツイートが発生しました。
 べつに浮かれてはいません。ちょっとしたひとことで近づいてきた人が、ちょっとイヤな事実を指摘されると離れていくのは、いつものことですから。

 あのツイートは意図が誤解されてるところもあるようなので、補足説明をしておきます。
 私は、いま起きている問題はむかしにもあったのだという歴史の事実を示しただけです。保育園の反対運動を老害のせいなどと決めつけるつもりもありません。こどもはうるさいものだからガマンすべきという意見にも、賛成できません。近頃の日本人は自分勝手になった? それもウソです。

 人間はむかしもいまも基本的に変わってません。どちらかというとむかしの人のほうがヒドかった。これは個人的な意見ではなく、多くの史料が指し示す厳然たる事実です。
 『「昔はよかった」病』の内容を受け入れたくない懐古主義者が、そういう見かたもあるよね、なんて感想をいってますけど、そういう見かたしかできないんです。他の見かたに根拠があるなら示してください。根拠がない意見は妄想です。
 近現代の庶民文化史を調べていると、いま起きている社会問題のほとんどが、じつはむかしから起きていたことがわかり、驚くやらがっかりするやら。最近になって発生した問題のほうが珍しいくらい。それこそ災害後の火事場泥棒や義援金詐欺は、明治時代の新聞にも載ってます。

 保育問題もいまにはじまったことでなく、こどもを預けるところがないから働きに行けないという悲鳴も、保育士が過重労働のつらさを訴える声も、昭和20年代からずうっとありました。保育園がうるさいという苦情や建設反対運動も、40年以上前からずうっとあったんです。
 人間は、努力して問題を解決するよりも、棚上げ・先送りにして当座をしのぐほうを選びがちなんです。無知で無能で鈍感な連中ほどその傾向が強く、個人の甘えだ身勝手だ、などと社会問題を精神論や気持ちの問題で片付けようとします。

 私は保育園がうるさいという人たちの気持ちも理解できます。私は昼間家で原稿を書いてることも多いので、もしとなりに保育園が建つとなったら、引っ越しするしかないでしょう。
 ガマンしろ、寛容になれ、といえるのは、他人事だからです。実際に保育園のとなりに住んてみたら、ほとんどの人が音を上げると思いますよ。
 だれかにガマンを強いることで成り立っているシステムは、いずれ亀裂が生じて破綻します。ガマン以外の解決策が必要なんです。
 仮にガマンを強いるなら、ガマンした人にはそれに見合った特典が与えられなければ不公平。
 いろんなアイデアが考えられると思うのですが、たとえば、保育園の周囲何十メートル以内にあるすべての土地建物にかかる固定資産税を免除するなんてのはどうですか。
 その措置目当てに、駅前のビルなどに保育園を誘致するオーナーが現れるかもしれません。ビル一棟まるごと固定資産税免除になるんですから。それによって税収が減るというなら、そのぶん全体の固定資産税を増税すればいい。
 増税はイヤだとはいわせませんよ。保育園の近所の人にうるさいのをガマンしろというのなら、その他の人も多少の増税くらいガマンしなきゃ不公平でしょ?
 駅前の商店街、商業施設にももっと保育園ができるかもしれません。固定資産税が免除されて、母親たちが買い物をしてくれれば、メリットは大きいです。駅前や商店街なら、みなさんが大好きな防犯カメラも住宅街よりたくさん設置されてますよ。かえって住宅街よりも安全かもしれません。防犯カメラにはみなさんが期待するほどの犯罪抑止効果はないってことは、この際ナイショにしときましょう。

 そもそも、なんで住宅街に保育園を作るの? ってのが私の疑問。住宅街に作ればうるさいと苦情が出るのはあたりまえじゃないですか。それに、駅から離れた住宅街では、近所の人しか利用できないし、通勤に不便ですから保育士も集めにくい。デメリットばかりです。
 日常的にクルマで移動する地方では、それでもいいです。でも東京などの都市部では、働く母親も保育士も電車通勤の人が多いはず。だったら保育園が駅前にあったほうが多くの人にとって合理的なのでは? 駅前ならこどもが騒いでも住宅街よりは苦情が出にくいだろうし。

 まあ、こうしたアイデアを実行に移すには、保育園の建築関連の設置基準を見直すなど、さまざまなハードルがあるのは事実です。
 でも、たくさんアイデアを出して議論・検討していかなければ、いつまでたっても問題は解決しませんよ。精神論を唱えてこころや甘えの問題にすり替えたり、だれかのガマンに頼ったりするだけでは、20年後、30年後も状況はなにも変わらないでしょう。
[ 2016/04/26 22:29 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)

新連載のおしらせ

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。いまだカゼが抜けず絶不調続行中ですが、新連載のお知らせだけはしておかねば。
 春秋社のサイトWeb春秋にて、『会社苦いかしょっぱいか 社長と社員の日本文化史』の月一連載がはじまりました。
 ビジネス版の昔はよかった病みたいな感じで、過去の日本史、文化史を洗い直してみようという企画です。おたのしみに。

 書籍化する際に参考文献一覧をつけて、加筆訂正もする予定ですが、宮尾すすむの「ああ日本の社長」に関して、より正確な放送期間がわかりましたので、ここでちょっとだけ補足情報を。
 1981年からはじまって、89年9月でいったん終了しているんですね。そして97年4月に復活して、99年8月まで第二期が放送されました。ただし、一期目は新聞のテレビ欄でも華々しく最終回が告知されているのに対し、二期目は以前ほどの人気を得られなかったようです。99年5月くらいからは、放送されてたけどテレビ欄にコーナー紹介がありません。最終回も告知されてないんです。
[ 2016/04/05 17:30 ] おしらせ | TB(-) | CM(-)

カゼひいたのでだらだらとテレビ見てます

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。
 この冬は一度もカゼひかなかったのに、いまになってちょっとやられてしまいました。ここ2日ほどは、カップラーメンすすりながら、録りだめした映画やドラマなどをだらだら見てすごしてます。

 ところで、1~3月放送ドラマでよかったのは『フラジャイル』。医者の誤診などをテーマにした社会性と、脇役までまんべんなく目配りして描けてるドラマ性が合致した秀作でした。毎週すごく楽しみで、録画でなく放送を見てたほどです。これワンクールで終わらせるのもったいないですよ。まだ原作エピソードあるんでしょ? もうワンクールやってほしい。ただし、脚本は橋部さんのままでお願いします。他の人だと味付けが変わってしまうと思うので。

 ダークホースだったのが、『スミカスミレ』。老女が若返るという設定だけならそんなに珍しくもないのですが、ストーリー展開のテンポがよくて飽きが来ない、とてもよくできたドラマでした。金曜深夜だからあまり評判にならなかったけど、これ、もしも月9とかだったらかなりの視聴率とってたかもよ。桐谷美玲さんって声も顔もクセがあるんだけど、芝居を見てると気にならなくなるんですよね。不思議なセンスの持ち主です。

 先日からはじまった『ニンジャスレイヤー』ってアニメには驚愕しました。30分の放送で30回くらい「なんだよこれ(笑)」とつっこみまくれるギャグアニメ。日本はあいさつを大事にする国だからということで、敵忍者が「どうも、ニンジャスレイヤーさん」と丁寧にあいさつしたり、敵の組織名が「ソウカイヤ」って、なんなんだよこれ(笑)。そんな誤解されまくった日本文化が、ファミコンゲームみたいなチープな画面に矢継ぎ早に繰り出されます。これこそが、外国人がイメージするクールジャパンなのでしょう。
[ 2016/04/03 21:26 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
会社苦いかしょっぱいか

みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

偽善のすすめ

13歳からの反社会学(文庫)

ザ・世のなか力

怒る!日本文化論

日本列島プチ改造論(文庫)

パオロ・マッツァリーノの日本史漫談

コドモダマシ(文庫)

13歳からの反社会学

続・反社会学講座(文庫)

日本列島プチ改造論

コドモダマシ

反社会学講座(文庫)

つっこみ力

反社会学の不埒な研究報告