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最近観た映画やドラマなど

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。最近観た映画やドラマの感想など。
 ようやく観ました、実写版映画『進撃の巨人』。開始15分でこりゃダメだとわかってしまう、聞きしに勝るトホホぶり。
 原作マンガはだいぶ前に4巻くらいまで読んでやめてしまいました。だから物語序盤のおおまかな設定くらいの予備知識はあるはずですが、ほとんど忘れてました。私はマンガってたいてい、4、5巻くらいまで読むと飽きてやめてしまうんです。
 で、実写版のなにがダメか。巨人という理不尽な存在に食われる恐怖や哀しみを感じるためには、食われる側に対する思い入れ、感情移入が不可欠です。どうでもいい人が食われても、あまりコワくない。メキシコ国境に築いた高い壁からあらわれた巨人にトランプ氏が食われたら、恐怖でなくコントです。
 実写版は15分たっても、主役キャラたちに全然思い入れが湧きません。観客に感情移入させることに失敗してるから、そのあとなにが起きても空回りするだけ。
 WOWOWではアニメの劇場版も放送してたんで、そちらもためしに観てみたら、雲泥の差でした。アニメ版はたぶんテレビシリーズの再編集版なんでしょうけど、編集した人のセンスが素晴らしい。最初の15分で主役キャラたちの関係性や世界観がすべて伝わるようにできてることに感心しました。展開が早すぎて、ちょっと展開がわかりづらい個所もあったけど、進撃の巨人ってこういう話だったのか、とようやく納得がいきました。

 夏のテレビドラマで2話以降も続けて観てるのは、『はじめまして、愛しています。』だけです。
『ON異常犯罪捜査官』は、1話の犯人が特定のものを目にするとスイッチが入って人を殺すというありえない設定に馴染めませんでした。それだと異常犯罪じゃなくてホラーでしょ。
『家売るオンナ』は決して悪くはないです。ただ私は、1話だけで満足しちゃいました。毎週見なくてもいいかな、と。
『神の舌を持つ男』は佐藤二朗さんをむだづかいしてます。脱力系バカミステリは嫌いじゃないけど、すべったギャグをすべて佐藤さんのぼやきつっこみでカバーできると思うなよ。何年か前に木村文乃さんが出てた『変身インタビュアーの憂鬱』のほうが楽しかったです。私のなかでは木村文乃さんはいまだにゲビヤマくん。

『はじめまして、愛しています。』は養子縁組の話で、いろんな家族のカタチを描こうとしてる遊川和彦さんがまた新たなテーマに挑んでます。最近の遊川さんのドラマは、前半すごくおもしろいけど後半失速するパターンが多いのでちょっと心配ではありますが。
 初回では、まさかの伏線回収のお遊びに驚きました。レモネードとか、耳慣れないアイテムが出てくるなあとは思ったけど、そういう仕掛けだったとは。
 ドラマには、ある程度の遊びやおふざけが必要です。けれん、とでもいうんでしょうかね。つい最近『半沢直樹』の原作小説を読んだのですが、ずいぶんマジメな小説なんですね。ドラマは土下座のシーンとか、いい意味で、かなりふざけてたんだとわかりました。小説を忠実に映像化してたら、きっと平凡な作品で終わってたでしょう。
[ 2016/07/31 23:18 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)

議員報酬を合法的に返還する方法

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。議員報酬について、以前から気になっていたことがもう一点あったので、調べてみました。
 議員が、自治体の財政が苦しいのに議員報酬が多すぎる、などの理由で一部を自治体に返還、または受け取り拒否を申し出ることがあります。すると、それは公職選挙法の寄付行為に該当するおそれがあるから受け取れない、と拒否されます。それでも強引に突っ返すと、自治体はそのお金を法務局に供託します。第三者に預かってもらうわけです。ただし、そのままにしておくと、そのお金は国のものになってしまうようなので、自治体財政の足しにはなりません。

 一般人の感覚だと、なんで報酬を返すのが寄付行為とみなされるのか、さっぱりわからないんですよ。
 じつはむかしは全国各地で普通に、議員報酬の返還が行われてました。報酬額アップに反対するため、ある党の所属議員が揃って増額分を返還した、なんて例はたくさんありましたし、返還分は自治体の収入になってたようです。
 ところが1990年に公選法が改正されると、議員の寄付のような行為は一切認めないというキビシイものになり、罰則規定も設けられました。有罪になれば議員資格を失うぞ、と脅されて、チキンな議員は報酬返還をあきらめるようになったのです。

 だれがそんな脅しをいってるのか? それは総務省(旧・自治省)です。
 でも、報酬返還が寄付に当たると主張してるのは総務省だけなんです。他の人たちはそんな解釈をしてません。その証拠に、90年以降も報酬の一部を返還した議員はたくさんいるのに、私が調べたかぎりでは、誰ひとりとして逮捕もされてないし、裁判にもなってません。つまり、警察も検察も報酬返還を公選法上の寄付行為、違法行為だとはみなしてないわけです。

 ところで、疑問に思いませんか。議員の寄付は違法だというけど、国会議員も安倍首相も、毎年赤い羽根つけてテレビに映ってるじゃん。あれは違法じゃないの?
 この寄付は違法じゃないのだそうです。自分の選挙区外で寄付すれば、それは公選法上の寄付には該当しないという理由で。
 なんだよそれ! ヘリクツの抜け道じゃねえか! とお怒りのかたもいらっしゃることでしょう。
 しかし、ものは考えようです。そのヘリクツの抜け道を利用すればいいのです。

 議員報酬を返還したい議員は、自分の選挙区外の自治体に寄付すればいいんです。
 バカいうな? 自分の選挙区の自治体財政が苦しいから報酬を返還するのだろう。よそに寄付したら本来の目的を果たせないではないか?
 それをやるのが、ひとりだけなら、たしかにそうです。でも、2人以上ならどうでしょう。
 ちがう選挙区の地方議員同士が提携すればいいんです。議員報酬を返還したい議員同士で、互いの自治体に報酬を寄付するんです。
 たとえば、東京都議のパオロ議員と千葉県議のマリオ議員が、ふたりとも議員報酬を一部返還したいと考えているとします。でも地元には返還できない。そこで2人が提携して、パオロは千葉県に、マリオは東京都に、自分の報酬を寄付するんです。これなら自分の選挙区外への寄付だから違法ではないし、結果的に地元自治体の財政に貢献できます。
 全国の議員でネットワークを作れば、希望返還額が近い議員を見つけて、互いの自治体に返還することも可能です。
 これなら合法的な寄付だから、自治体は供託せずに受け取れるはず。
 どうなんでしょう。これでもまだ、総務省はべつの法律を持ち出してケチをつけてくるんでしょうか。選挙区外への寄付が違法だというのなら、選挙区外で赤い羽根に寄付した議員も全員、議員資格を停止しなきゃなりませんけど?
[ 2016/07/16 21:31 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)

議員報酬額の決めかたをご提案します

 ナポリ三区の有権者のみなさま、こんにちは。新党アルデンテ代表、パオロ・マッツァリーノでございます。
 と、選挙の時期の恒例、マニフェストでみなさまのご機嫌をうかがいます。今回はなにかと問題になる、日本の議員の報酬(歳費)についてわが党からのご提案を。
 議員報酬が多すぎるという人もいれば、少なすぎるという人もいます。舛添さんがセコいことやったのがバレて都知事を辞めたのは記憶に新しいところですが、もし、都知事の給与が倍だったらどうだったのか? 舛添さんはそれでもまったく同じことをしてたことでしょう。使い切れないほどのカネを持ってる大富豪でも、タックスヘイブンとかで税金逃れをしてますからね。収入の多寡に関係なく、セコい人はセコいことをするんです。逆にいうと、議員報酬を半分にしたとしても、悪いことをする議員が増えることはないと思います。
 今回は、総理や知事はべつにしまして、一般議員の報酬額を決める方法を2案ご用意しました。

 ひとつは、以前にもいいましたけど、国民・市民の平均年収と同じ額にするというもの。国会議員なら日本国民の平均年収、都道府県議会議員なら、それぞれの県ごとの県民平均年収、市町村の議員なら市町村民の平均年収。
 これだと国会議員で年俸400万円台になるはずです。その代わり、その年俸は無税とします。なにに使ってもけっこう、領収書などを提出する手間も省けます。あとは、議会開催日ごとに交通費とお弁当代くらいは出しますか。経費として支給してもいいのはそこまでかな。それ以外の経費は一切なしってことで。
 報酬額は毎年見直されますので、景気の良し悪しを自分の報酬の増減で実感することができます。もし報酬額に不満なら、口先だけでなく景気を良くしてみんなの収入が上がるように努力すればいいだけの話です。

 そんな生ぬるい改革では不満ですか? そんなはした金じゃとても議員活動はできないよ、と泣きごとをいう議員もいらっしゃることでしょう。でしたら、もうひとつの方法をご検討ください。
 その方法とは、自己申告制です。選挙に立候補の届け出をする時点で、年俸をいくら欲しいかをあらかじめ申告していただきます。その額は、選挙ポスターや選挙公報などにも明記してもらいます。当選したあかつきには、その申告額をそのまま差し上げます。ただし、それ以外の経費、ボーナスは一切払いません。すべて込み込みという前提で、希望年俸額を申告してください。
 えっ、そんなことしたら、1億円欲しいってやつが当選したら1億払うことになるじゃん! そうですよ。でもそうなったとしてもそれは有権者が認めたのだから自分たちの責任です。自分たちの税金からその報酬が払われるのです。だからこそ有権者のみなさんは、希望報酬額がその候補者の実力に見合うかどうかを真剣に考えて投票しなければいけなくなります。
 どうです、有権者にとっても投票がエキサイティングなものになりそうだし、政治家にとっても、報酬額の不満を解決できるチャンスになります。自己評価が過大な議員は、欲ばって高い報酬を申告したために落選する可能性もあります。かといって、安くすればいいともかぎりません。金持ちの売名か、などと有権者にそっぽを向かれることもありえますから。
 いずれにせよ、政治家のコストパフォーマンスを見直すいいきっかけになることは、まちがいありません。
[ 2016/07/04 09:54 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

偽善のすすめ

13歳からの反社会学(文庫)

ザ・世のなか力

怒る!日本文化論

日本列島プチ改造論(文庫)

パオロ・マッツァリーノの日本史漫談

コドモダマシ(文庫)

13歳からの反社会学

続・反社会学講座(文庫)

日本列島プチ改造論

コドモダマシ

反社会学講座(文庫)

つっこみ力

反社会学の不埒な研究報告