反社会学講座ブログ

パオロ・マッツァリーノ公式ブログ
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最近気にいってるテレビ番組と海外ニュース

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。
 冬ドラマは興味を惹かれるのがあまりないので、ほとんどチェックしてません。『タラレバ娘』はおもしろいっちゃあ、おもしろいけど、そもそもアラサー女子の恋愛に興味がないもので、初回だけでやめちゃいました。共感できる人はハマるのでしょう。
 『A LIFE』は、よくこんなに有名俳優をかき集めたな、とキャスティングに驚きました。ヒューマニズムを感じさせつつも感動を押し売りしてこない橋部さんの脚本のおかげで、地味な秀作となってます。
 で結局、いまいちばん楽しみなのは、BSジャパンでやってる『ワカコ酒』の再放送。

 ドラマ以外で最近気にいってるテレビ番組は、『内村てらす』。若手芸人に対するウッチャンの距離感が絶妙なんです。ちょっと人見知りっぽい間合いで接するけど、要所要所で的確なつっこみを入れて、ちゃんと見守ってるぜ、って安心感を与えるので、若手がすごく話しやすそうです。
 あと、『全力! 脱力タイムズ』のふざけかたが凄く好きなんですけど、周囲にあんまり見てるって人がいないんですよね。報道番組や情報番組の権威主義的なところを徹底的に馬鹿にしてるんです。評論家軍団がマジメくさった顔で的外れな話ばかりするのを、ゲストの芸人が孤軍奮闘してつっこみまくるも完全にスルーされ、結局はその芸人がイジられて終わるという、かなりシュールな作りになってます。

 私が民放のニュースやワイドショーを見ないのは、コメンテーターがうざいから。専門的な解説をしてくれるならともかく、タレントがなんの事実にも基づかない個人の感想や倫理観を述べるだけなら、情報としての価値はゼロです。
 そういうわけで、朝はNHKBS1の海外ニュースを見ています。朝7時からの番組は、世界中の主要テレビ局が流したニュースをまとめてくれてるので便利ですし、国によってメディアの視点もちがうなあ、と感じられて興味深い。
 どこの国のニュースもコメンテーターなんて出てきませんよ。あんなシステム、日本だけでしょ。海外のテレビニュースは、アナウンサー、キャスターがニュースを読むだけ、現場の記者とやりとりするだけ。どう感じるかをコメンテーターに教えてもらわなければ自分の感想や意見を持てないのだとしたら、それは日本の教育の敗北を意味します。
 フランスとイギリスのニュースは皮肉が効いてます。日本人には皮肉を悪口と取って怒っちゃう人が少なからずいるんで、日本のニュースではムリなのかもね。
 議会の様子なんかも日本とは雰囲気がちがうので、おもしろいですよ。イギリスの議会はけっこうキツめの言葉が飛び交ってエキサイトしてます。
 フランスの議会はダラダラしてる感じ。ニュースじゃなくてドキュメンタリーだったかな? 売れ残った食品を廃棄せず利用することを義務づける法案が満場一致で可決されましたって議長が宣言してるんだけど、議場がガラガラで空席だらけだし、出席の議員たちもとなりの人とおしゃべりしてるし、これで満場一致かい!
 ロシアと中国のテレビニュースは、政府の意に沿うニュースしか流さない御用メディアなので信用できません。シンガポールのテレビ局のニュースのほうが、中国の客観的な実態を伝えてると思われます。
 日本の女性アナウンサーが、いちばん上等な服を着てるんじゃないでしょうか。他の国の女性アナウンサーは、もっと安っぽいスーツとか、普段着みたいなので出てたりしますよ。たしかオーストラリアだったと思うけど、タンクトップみたいなラフな服でニュース読んでるアナウンサーを見たことがあります。
 アメリカの女性お天気キャスターで、ジンジャー・ジーって人がいるんだけど、本名なのか? なにかを略した芸名なのか? まあ、どうでもいいですけど。
[ 2017/01/29 20:37 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)

Web春秋連載更新のお知らせと2016年のよかった本

 こんにちは、ピコ太郎のどこがおもしろいのかわからぬまま年を越したパオロ・マッツァリーノです。
 年末年始を挟んだため、いつもよりちょっと遅くなりましたが、今月もWeb春秋連載「会社苦いかしょっぱいか」が更新されました。今回は出張がテーマです。戦前・戦後でサラリーマンの出張環境がどう変化したのか。ぜひご一読を。
 今回はこれといったこぼれ話はありません。代わりに、昨年末に書き切れなかった2016年のよかったものを補足しておきます。

2016年のよかったもの:本
ミル『自由論』(斉藤悦則訳・光文社古典新訳文庫)
 私は毎年つねに、自分の本こそがベストだと思ってますが、自分の本はさんざん紹介してきましたので他人の本から選びます。
 あまりにも有名なミルの『自由論』ですが、なんとなく食指がのびず、読んでなかったんです。数年前に光文社の文庫で新訳が出ていたことを知り、どんなもんかと斉藤悦則訳のを読んでみたら、複雑な気分になりました。
 これ、原書は日本でいえば幕末のころに書かれたものです。そのミルの指摘が、ことごとく現代社会にも当てはまってしまうんです。

 たまたまイギリスに生まれたからイギリス国教会の教義を信じてるのであって、北京に生まれてたら仏教か儒教を信じてたであろう。
 みたいなことをミルはいうのですが、要するに、常識はそれが正しいかどうか考え抜かれた上で支持されているのでなく、世間のみんなが支持してるからという理由でなんとなく選ばれているにすぎない。だからまちがってる可能性はつねにある。
 人は自分の好みをルールとして他人に押しつけようとする。不人気な反対意見を述べる人々は不道徳な悪者と決めつけられてしまいがち。だからこそ、言論の自由を保証することによって、反対意見の存在を認めなければならないのだ。
 現代では社会が個性を圧していて、社会の最上層から最下層まで、敵意に満ちた恐ろしい監視のもとで暮らしている。
 個性を押しつぶす画一化が現在も進行中である――

 ミルがあげた「現代」の問題点は、160年近く経った「現代」にもほぼそのまま、当てはまってしまいます。私は文化史の研究から、少なくともこの100年、人間は基本的に変わってないと主張してますが、もっと前から変わってないのかもしれません。
 自分の偏見や間違いを決して認めない強権的な人間が続々と世界中で指導者になってます。彼らはいずれ、自分を批判する意見を弾圧しはじめ、言論の自由が脅かされることでしょう。
 
[ 2017/01/06 22:28 ] おしらせ | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
会社苦いかしょっぱいか

みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

偽善のすすめ

13歳からの反社会学(文庫)

ザ・世のなか力

怒る!日本文化論

日本列島プチ改造論(文庫)

パオロ・マッツァリーノの日本史漫談

コドモダマシ(文庫)

13歳からの反社会学

続・反社会学講座(文庫)

日本列島プチ改造論

コドモダマシ

反社会学講座(文庫)

つっこみ力

反社会学の不埒な研究報告