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成人の日に贈る言葉

 こんにちは、夢にときめけ、なにかにきらめけ、パオロ・マッツァリーノです。『ルーキーズ』のセリフより。(うろおぼえ)

 成人式ということで、土曜日の夜でしたか、NHKで親世代と若者を集めた討論番組をやってました。私はほろ酔い気分で見てたんですが、議論が見事に噛み合ってないところがおもしろかったです。
 議論が噛み合わない最大の原因は、親世代の人たちがよのなかの現実をきちんと把握していないことにあるんです。結局は自分自身の成功体験だけの狭~い見識を「正解」と思いこんでいて事実を無視したイメージだけを語ってる。広く世間に目を向けないから、いうことが矛盾だらけになるんです。
 代表例が、番組中、何度となく呪文のように繰り返された「いまの若者はリスクをとろうとしない」という親世代の言葉。
 若者たちに、マジメに働けといっておきながら、一方でリスクをおそれてると叱る。あきらかに矛盾してるんで、これじゃあ若者たちもどういい返したものか、わからないでしょう。
 ランドセルメーカーのクラレが、小学生の親に、自分のこどもに将来なってほしい職業を毎年調査してますが、ほぼ毎年、一位は公務員です。自分のこどもには、最もリスクの少ない職業についてほしいと願ってるんです。
 で、よその子には、リスクをおそれるな! とバクチを勧めます。まあ、よその子なら、リスクを追い求めて失敗しても関係ないしね。仮によその子がリスクを追って起業して成功し、一流企業になってリスクがなくなったら、ウチの子を雇ってもらおう。そんな虫のいい考えが透けて見えます。
 ”いま”の若者はリスクをとらないというのも、完全にまちがった認識です。むかしから、役人や大企業志向の若者はたくさんいました。いや、正直いえば、だれだって、入れるものなら役所や大企業に入って、一生安泰、リスクフリーな暮らしをしたいと思うでしょ。むかしからずっと、みんなそう。
 松下幸之助はリスクをとって成功しましたが、ナショナルに就職した人のほとんどは、リスクを嫌って、大企業のナショナルに入ったのではありませんか。
 とかなんとか、テレビ見ながらつらつら考える休日でした。私自身、いまだに今後の人生、先行き不安です。まあありがたいことに、あすあさってに飢え死にするようなリスクはないけど、5年後、10年後の生活はまったく保証されてません。守りに入れないんですよ。攻めの人生を続けるしかありません。
 新成人のみなさん、大手出版社に就職して、10年後の私に仕事をください。よろしくお願いします。
[ 2014/01/13 20:03 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

偽善のすすめ

13歳からの反社会学(文庫)

ザ・世のなか力

怒る!日本文化論

日本列島プチ改造論(文庫)

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コドモダマシ(文庫)

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続・反社会学講座(文庫)

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つっこみ力

反社会学の不埒な研究報告