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不謹慎コント「こども向け音楽番組の裏側」

「先生、もう今日がホントにホントの締め切りです。今日中に新曲を完成しないと、番組の収録ができません。先生の書き下ろし童謡が新番組の目玉だと、半年前から予告しまくってるのに、いまさらできなかったでは、プロデューサーの私はスポンサーに顔向けできません。なんとか、お願いします!」
「そうはいってもねえ……いくらボクがJ-POP界で名を馳せた天才アーチストとはいえ、さすがにもうネタも才能も枯れてしまったようだ……。なにしろ、すでに5万曲も書いたからなあ」
「すげえな。LIVEDAMに入ってる曲の3分の1以上は先生の楽曲なんですか」
「LIVEDAMに入ってるのは、約5曲かな」
「5曲なら、〝約〟いらねえだろ。正確におぼえとけや」
「童謡の作詞作曲は、はじめてのチャレンジでね。ポップスとは勝手が違うからとまどっているよ。朝焼けのベランダでとまどっているよ」
「ここはスタジオですよ。えーと、たとえば、パターンが決まってて書きやすそうな〝あいうえおの歌〟なんてのはどうですか」
「なるほど。こんなのはどうかな……。〝アリさん おはよう あいうえお〟」
「いけるじゃないですか! その調子で50音、どんどん作ってください。よっしゃ、希望が見えてきたぞ!」
「〝カニミソ こんもり かきくけこ〟」
「待ってください。早々にテーマがブレました。いきもの路線か食べもの路線か、どっちかにしてください」
「〝カニミソ こんまり〟のほうがいいかな」
「話、聞いてます? だいたいなんですか、こんまりって」
「こんまり、知らない? ちらかった部屋を魔法のように片付けられるときめきの方法を教えてくれる子だよ」
「ああ、あの人か……。すいません、権利関係をクリアするのがめんどくさくなるので、個人名は遠慮してもらえますか。しかたない、そこは〝カニミソ こんもり〟の方向でお願いします」
「〝さらなる ささくれ さしすせそ〟」
「意味わかんねえな。カニミソ片付けてたら、手荒れがひどくなったのかな」
「〝ちんちん ちんちん たちつてと〟」
「突然、下ネタぶっ込むのはやめてください。下ネタはNGです」
「なんでよ。こどもはちんちん喜ぶよ。ちんちん、おなら、うんこは、こどもには鉄板ネタだよ」
「おかあさんたちも見てるんで」
「おかあさんたちだって、ちんちん好きだろう」
「バカヤロウ」
「きみ、バカヤロウとはなんだ! 失礼じゃないか」
「すいません! 心の余裕がなくて、つい、キビシいつっこみを」
「あー、もうアイデアが浮かばない。疲れた……」
「先生、いま何をお飲みになったんですか」
「これ? これは主治医に処方してもらったアンナカ」
「ホントでしょうね。合法ですよね。信じますよ。番組打ち切りとかいう事態だけは避けたいんで」
「おー、効いてきたぞ。ウヒヒヒ。アタマがすっきり冴えわたるよ、アンナカくん!」
「いえ、私は佐藤ですから。名前まちがえるって重症だな」
「すごくいいアイデアが湧いてきた! すまないけど〝あ〟の行から作り直させてもらうよ」
「だいじょぶですか?」
「〝愛には愛で あいうえお 感じあおうよ かきくけこ〟」
「それ絶対、どっかで聞いたことある。パクリもダメです」
「もうギブアップ。こうなったら、ゴーストに頼もう」
「背に腹はかえられませんね。わかりました、すぐにゴーストを呼びます」
「〝がんばれ ゴースト がぎぐげご〟」
「おまえ、もうクビ!」
[ 2014/05/25 14:15 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

偽善のすすめ

13歳からの反社会学(文庫)

ザ・世のなか力

怒る!日本文化論

日本列島プチ改造論(文庫)

パオロ・マッツァリーノの日本史漫談

コドモダマシ(文庫)

13歳からの反社会学

続・反社会学講座(文庫)

日本列島プチ改造論

コドモダマシ

反社会学講座(文庫)

つっこみ力

反社会学の不埒な研究報告