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むかしはよかったね? 今回のテーマはテンション

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。
 毎度おなじみ、好評連載中の「むかしはよかったね?」が掲載されている『新潮45』最新号が発売中です。
 今回は「ハイテンションな元気をもらいました!」ということで、「テンション」と「元気」の意外な文化史をひもといてみました。
 テンションって英語は「緊張」を意味するのに、なぜか日本のみなさんは「元気」と誤解しています。いつからそういう誤解が生じ、それが定着してしまったのか、ナゾはすっかり解けました。
 ついでに、元気をもらう、元気をあげるという不思議な表現も考察しています。むかしは、元気になれ、元気を出せと他人を励まして、相手が自発的に元気になることを願うのが普通でした。
 なのに最近では、元気をあげる、元気をもらう、と、いつのまにか元気は、贈与可能な物質に変化したようです。
 そもそもなんで元気にはしゃぐことを強要されねばならないのか? 静かに暮らしたい人だっているでしょ。ムダな元気なんかいりませんよ。たまにブックオフ行くと、いらっしゃいませ、こんにちはー!! とムダに元気な店員のあいさつを百回くらい聞かされます。黙って仕事しろ。
 というわけで、ベッキーさんにもぜひ読んでいただきたい内容となっております。

 ところで前回取りあげた、銀ブラが銀座でブラジルコーヒー飲むことだというガセネタね。あらためて検索すると、ダマされてる人が異常に多いことに驚きました。「銀ブラは本当はブラジルコーヒーを飲むことだって、知ってましたか?」などと得意げにブログやツイッターで雑学自慢してる人がたくさんいますけど、本当じゃないんですよ。あなたが、ガセネタにダマされてるんですよ。
 ブラジルコーヒー説は『トリビアの泉』で見た、と書いてる人もいますけど、それも、ガセビアです。ブラジル説を紹介した番組は『ジャポニカロゴス』のほうでした。同じタモさんの番組だけどねえ。やっぱり人の記憶はあてになりません。
 われわれは、貴重な瞬間に立ち会っているんです。いままさに、たった一人の男が唱えた俗説が、都市伝説となり、世間に信じられていく歴史の捏造過程を目撃しているんです。社会学や心理学、歴史学などの学生さんは、これ卒論にできますよ。

 でもカフェパウリスタは、ブラジルコーヒー説をガンガン宣伝に使っちゃっていまさらひけないから、絶対取り消さないでしょうね。せいぜい広告の最後に小さく(諸説あります)とか入れるくらいで。
 弘法大師(空海)が発見した温泉、という由来をウリにしてる温泉みたい。そういう温泉は、東北から九州まで、日本全国に数十個所あります。むかしの人が考えたウソだとわかってても、宣伝に使ってる以上は、絶対取り消しません。
 弘法大師がそんなに温泉ばかり行ってたわけがない。どっかの議員じゃあるまいし。あ、あれもウソなのか(諸説あります)。ま、いまは電車があるから、年に百回温泉地に行けないこともないけど、弘法大師が歩いて行くのは不可能でしょ。
[ 2014/07/18 20:47 ] おしらせ | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

偽善のすすめ

13歳からの反社会学(文庫)

ザ・世のなか力

怒る!日本文化論

日本列島プチ改造論(文庫)

パオロ・マッツァリーノの日本史漫談

コドモダマシ(文庫)

13歳からの反社会学

続・反社会学講座(文庫)

日本列島プチ改造論

コドモダマシ

反社会学講座(文庫)

つっこみ力

反社会学の不埒な研究報告