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今期のドラマ総括

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。
 今期のドラマが終わったところで、やはりというか、『○○妻』と『相棒』の後味の悪い終わりかたに批判が集中してました。
 ハッピーエンドじゃないと満足できないってのも、心が貧しい感じがしますけど、たしかにこの2作の終わりかたは、ハッピーかどうかと関係なく、もの足りなかったのは否めません。

 『○○妻』は途中まではとても見応えがあったのですが、終盤一気に失速して、説教くささだけが目につくようになったかと思ったらあのラストですからね。
 でも、それを同じ遊川脚本の『純と愛』のラストを引き合いに語られるのは心外です。『純と愛』も朝ドラ史上初(?)の救われないエンディングだったわけですが、私はあの最終回を、朝見てまた夜もう一回見直したくらいに気にいってました。『あまちゃん』のラストがどんなだったかもう思い出せませんが、『純と愛』のは、はっきりおぼえてます。

 『相棒』は、ファーストシーズンからずっと見ています。『相棒』はこれまでも、「正義」とはなにか、というけっこうハードなテーマをつねに突きつけてきました。後味の悪かった回はいくつもありますよ。だから今シーズンの最終回もテーマからはずれてはいないんです。『相棒』らしいっちゃ、らしい。ただ、2時間のドラマとして出来がいまいちだったんで、失望の声が大きくなったのでしょう。
 最終回だけでなく、今シーズンは、あきらかにつまらないな、と感じるエピソードが何本もありました。長年見ててそんなふうに感じたのははじめてなので、全体的な質の低下のほうがよっぽど問題です。本当に毎週おもしろかったのはシーズン5くらいまでで、それ以降はじょじょに右肩下がりだったんですけど、ある程度の水準は保ってたんです。だけど今シーズンはねえ……。
 次の相棒よりも、そろそろシリーズの幕引きを考えてほしいと、ファンだからこそ思います。

 さて、今期のドラマでもっともおもしろかったのは意外な大穴、『怪奇恋愛作戦』でした。深夜枠ですよ。B級テイスト満載ですよ。低予算ぽいのに、作り物には金かけてるようで、最後のエピソードなんか、真っ二つにされた死体とか、かなりリアルでグロいのが出てきました。でも基本、バカな人たちが出てきてバカな会話ばっかりしてるんです。
 で、それを40代の役者さんたちが演じてるってのがまたツボ。あ、麻生久美子さんはまだ30代かな? これ、もしも若い役者さんばかりでやったら、空回りした悪ふざけになってしまいかねません。オトナの悪ふざけだから、絶妙な間合いで、いい味が出せたんです。
 若者がふざけるのは、あたりまえというか意外性がなくておもしろくない。年寄りがふざけると、認知症かと心配されて笑えない。ふざけるのにもっとも適しているのは、じつは、オトナなんですよね。もっとふざけよう、オトナたち。
[ 2015/03/28 23:26 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

偽善のすすめ

13歳からの反社会学(文庫)

ザ・世のなか力

怒る!日本文化論

日本列島プチ改造論(文庫)

パオロ・マッツァリーノの日本史漫談

コドモダマシ(文庫)

13歳からの反社会学

続・反社会学講座(文庫)

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つっこみ力

反社会学の不埒な研究報告