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予想以上の出来だった『探偵の探偵』

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。先日、6年ほど使ったブルーレイレコーダーを買い替えました。6年前のレシートを見たら、約9万円! そんなしてたっけ。以前のは2番組同時録画、新しく買ったのは3番組同時でハードディスク容量は倍ですが、値段はほぼ半値でした。消費者としてはうれしいけど、家電メーカーが儲からなくなったのもわかる気がします。

 この夏は、興味をひくドラマがなかったんですが、『探偵の探偵』は予想を大幅に上回る出来で、最終回まで楽しめました。
 べつに私が北川景子びいきだから点が甘いってことではないですよ。まあたしかに、主演が北川さんじゃなかったら、見なかっただろうけど。なぜなら事前に、映画の『万能鑑定士Q』と同じ原作者と知って期待値がゼロに急降下したから。あの映画、キャラもストーリー展開も不自然だし、推理もエセ科学やオカルトっぽいムリヤリな説明ばかりで、全然納得できなかったんです。
 ところが『探偵の探偵』は、同じ原作者とは思えないほど作風が異なりました。女探偵が殴り殴られのハードアクション。しかも悪役が胸くそ悪くなるようなヤツばかり。DV夫から金をとり、DV被害者のシェルターにかくまわれている女房を誘拐してきて引き渡すなんて、鬼畜のような犯罪者集団。
 主人公が追い続ける「死神」の正体は、キャスティングでばれちゃったんじゃないですか。途中から、あれ? あの人がなんでチョイ役みたいなので出てきたの? って思った瞬間、きっと重要な役回りなんだろうな、とうすうす感づいてしまいました。でもこれは映画やドラマでは避けられないんですよね。重要な犯人役に無名の役者を使うのは、かなりの冒険ですから。
 ご都合主義的なところがなきにしもあらずとはいえ、原作3冊分くらいの内容をぎゅっと濃縮したようなので、ダレることもなかったし、途中、刑事の家族との絡みで甘ったるい感傷に逃げそうになるも、ハードボイルドな本流に引き戻したのも高評価。
 視聴率はいまひとつだったそうですが、なんでだろ。バレーボール中継で時間がずれこむことが多かったから? それとも、去年の『MOZU』もそうだったけど、ハードアクションミステリは、内容が良くても日本ではウケないのでしょうか。
[ 2015/09/18 22:38 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
会社苦いかしょっぱいか

みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

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13歳からの反社会学(文庫)

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