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タックスヘイブン、めっちゃ簡単に利用できる説

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。海外のテレビ局が放送したニュースやドキュメンタリーを流しているNHKBSをよく見ます。同じニュースも日本のテレビとは違った視点や切り口から報道することが多いので、おもしろい。
 先日のオバマ大統領の広島訪問のニュースも、イギリスBBCにかかると「被爆者と抱き合う大統領の近くには、核ミサイル発射命令を出すためのパスコードが入ったカバンを持つ側近が控えているのです」みたいな、いかにもイギリス人らしい、ブラックな皮肉を交えて報道してました。

 パナマ文書について取材したフランスのドキュメンタリー番組もなかなかスパイシーでした。
 実際にタックスヘイブンにオフショア企業(ダミー企業)を作って、マネーロンダリングをしてみよう! という企画が興味深かったです。
 番組が用意した設定は、不動産業で儲けた不正な金40万ユーロ(約5000万円)を持っているビジネスマンが、それを元手に化粧品販売会社を立ち上げようとしているというもの。
 製作会社のカメラマンがそのビジネスマンに扮して、タックスヘイブンに会社を設立する代行作業を請け負っている会社に相談に行き、隠しカメラでその模様を撮影するんです。
 なるべく安い費用で済ませたいという希望を聞いた係員はプランを提示します。アメリカのデラウェア州に会社を設立し、書類上の会社代表は南アフリカに住む年金暮らしの男性にします。そしてニュージーランドの銀行に会社名義の銀行口座を作るというプランなら、費用は3850ユーロ(48万円)で済むといいます。
 そのプランで契約し費用を払うと、なんと数日ですべての手配が完了。会社を登記した書類や、会社名義の銀行カードが、フランスのカメラマンに送られてきます。

 タックスヘイブンに会社を作るのって、そんな簡単にできちゃうんだ! てのも驚きだけど、アメリカのデラウェア州がタックスヘイブンだったことにもビックリしました。サミットで、タックスヘイブン対策に各国が協力しあおうとかいってなかったっけ。アメリカ国内に堂々とタックスヘイブンがあるんですけど、どうするの? デラウェア州を空爆でもするんですかね。
 誤解してる人がいるかもしれませんけど、タックスヘイブンにダミー企業を作ることは、違法ではありません。
 問題はそこから先。脱税した違法な金をいかにニュージーランドの口座に入金するのか? これをやると、犯罪です。自分で振り込んだら、あとでバレてしまいます。
 番組スタッフは日本円にして50万円くらいの現金を用意して、とりあえずこの金を入金したいと、代行業者に相談します。
 パリ市内のホテルのロビーで待っていると、怪しげな男がやってきて、手数料は6%だといいます。後日、指定されたカフェに受取人の男がバイクでやってくるので現金を渡すと、まもなくニュージーランドの口座に、手数料を引かれた金額が入金されました。振り込んだのは香港の会社。でもそこから先の金の流れは、決してたどれないようになっているのです。
 もちろん、このお金は番組で用意したちゃんとしたお金なので、この振り込みは違法ではありません。でもこれがもしも不正な金だったとしたら? マネーロンダリングってこんな簡単なんですね。
 ひょっとしたら、日本のオリンピック招致委員会が払った2億円のコンサルタント料も、こんな方法でどこかの秘密口座に入ってしまったのかもよ。仮にそうなってたとしても、それを突き止めることはできないわけです。

 これさ、日本のテレビでも同じことをやってみればいいのに。たとえば『水曜日のダウンタウン』あたりで、「タックスヘイブン、めっちゃ簡単に利用できる説~」とかいって、浜田さんのポケットマネーを50万円ほどお借りして、タックスヘイブンでマネーロンダリングしてみるなんて企画なら合法だし、話題になると思いますよ。
[ 2016/05/29 22:06 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

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13歳からの反社会学(文庫)

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