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Web春秋連載第7回のこぼれ話

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。
 今月もWeb春秋で大好評連載中の『会社苦いかしょっぱいか』が無事、更新されております。毎回ボリュームがあるので細かいところがちょっと雑ですが、いずれ書籍化の際に手直しするのでご容赦を。
 第7回のテーマは新入社員ということで、季節感なんてぶっとばせ! って勢いでがんばっております。ていうか国際的には、夏前に学校を卒業して、秋から働きはじめる人も多いんで、べつにおかしくはない、と強がりをいっておきます。
 しょっぱなから、入社式の意外な歴史的・文化的真実があきらかになります。こんなトリビア、だれも教えてくれなかったでしょ? 私だって調べるまで知らなかったんですから。私の本の内容から出題すれば、林先生はほとんど初耳だと思いますよ。
 ただ、むかしの新入社員がどうだったか、どう見られてたかは、予想を実例で裏づける結果になりました。むかしの若者も、いまの若者も、やっぱりダメなところはほぼ同じです。大正、昭和初期から、ちかごろの新入社員は劣化している、といわれ続けてきたし、もちろんそれ以前の丁稚小僧や職人見習いも、同じことをいわれていたのでしょう。

 さて、毎回どっさりむかしの資料を調べるのですが、芸能ネタもたくさんひっかかりまして、これがけっこう興味深い。
 新入社員について調べてたら、「ドリフの新入社員志村けん」なんて記事があって、志村けんとは何者か、みたいなことが書いてあったり。志村さんの「けん」って芸名で、お父さんの名前からとったんですね。はじめて知りました。
 つい先日もやってましたけど、NHKで不定期に放送する『となりのシムラ』ってコント番組、いいですよね。毎回楽しみにしてます。
 私はバカ殿ってなにがおもしろいのか、さっぱりわかりません。誰に需要があって続けてるんだろう? だから志村さんの番組は敬遠して見てなかったんですが、中年の悲哀と中年あるあるを見事に演じている『となりのシムラ』を見て、志村さんって上手いなあ~と、再認識。お笑いというより、喜劇役者としてまちがいなく日本のトップですよね。

 太陽族ブームの年の「親子二代の太陽族」という記事では、作家の川口松太郎が俳優になって大人気の息子のことを書いてます。この息子とは、川口浩。40代くらいのみなさんには「川口浩探検隊」のおじさんという印象しかないであろう、あの川口浩にも、イケメン新人時代はあったのです。
 まだ川口浩も若いので実家暮らしだったようですが、おやじさんも有名人なので家を知られているんです。毎日、家の前にはサインを求めるファンの女学生が何人も立っていて、ファンから電話が一日中かかってくるので、応対する女中さんたちが大変なんだとか。
 非常識なファンはむかしからいたようで、夜中に電話をかけてくる。電話をとったおやじさんが浩を起こしに行くと、こんな夜中にかけてくるのは非常識だから断ってくれといわれますが、
「生意気なことをいうもんじゃない、まだ駆け出しの青二才に長距離電話をかけてくれる好意を無にしてはいけない」
「ねむいからイヤだよ」
「ちょっとでもいいから出ておあげよ」
 って、おやじさんの神対応に驚きます。いまだったら警察に通報されかねませんよね。この時代のひとたちは、なんとも鷹揚というか。むかしもスターがあぶないファンに襲われる事件はたまにあったんですけど、あんまり気にしてないんですよ、このころの人たちって。
[ 2016/10/03 20:59 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
会社苦いかしょっぱいか

みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

偽善のすすめ

13歳からの反社会学(文庫)

ザ・世のなか力

怒る!日本文化論

日本列島プチ改造論(文庫)

パオロ・マッツァリーノの日本史漫談

コドモダマシ(文庫)

13歳からの反社会学

続・反社会学講座(文庫)

日本列島プチ改造論

コドモダマシ

反社会学講座(文庫)

つっこみ力

反社会学の不埒な研究報告