反社会学講座ブログ

パオロ・マッツァリーノ公式ブログ
反社会学講座ブログ TOP > おすすめ > 『みをつくし料理帖』が滅法おもしろい

『みをつくし料理帖』が滅法おもしろい

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。いつものように朝ドラは、テレビをつけたままいろいろやりながらの視聴。日によって観たり観なかったり。それでもストーリーがなんとなくつかめちゃうのが朝ドラたるゆえん。この前の関西が舞台だったヤツは、人工感動甘味料たっぷりのウソ臭い話だったけど、今度の『ひよっこ』はなかなかいいんじゃないでしょうか。
 私が感心したのは、主人公みね子のおじ(峯田和伸さん)が、ビートルズの素晴らしさを熱っぽく伝えようとするも、周囲の若者は全然無関心というシーン。時代の現実を正しく描いてます。60年代、ビートルズの良さを認めてたのは、ごく一部の人たちだけでした。ほとんどの若者は興味がないか、バカにしてたんです。

 今期はドラマが不作とかボヤいてたら、遅れて大当たりが来ました。『みをつくし料理帖』。時代劇です。
 これ以前、民放で北川景子さん主演の単発ドラマとしてやってましたよね? いまひとつだったんで、途中で見るのやめちゃいましたが。
 同じ原作を作り直す、いまふうにいえば、リブートですか。大成功ですね。原作は読んでませんが、おそらく黒木華さんのほうが原作のイメージに近いのでは?
 黒木さんは古風な顔立ちのせいで、時代劇とかの起用が多いけど、ホントはもったいない。現代劇でも頭抜けてうまい人だから。ももクロの映画でも、新任教師役の黒木さんが登場した瞬間から、だらけた空気が引き締まって映画のグレードが上がりました。けなす人もけっこういた『リップヴァンウィンクルの花嫁』も私は好きですね。周囲に流されっぱなしで不幸になる、あんまり共感できないキャラなのに、黒木さんが演じるとなんだか絵になる。
 で、『みをつくし料理帖』でも当然のごとく、うまい。他にもうまい役者ばかり揃えてしまったので、木村祐一さんだけヘタなのが目立っちゃいました。でもこれ、木村さんのせいでなく、キャスティングの失敗です。東京の人がムリに関西弁しゃべると、関西の人は気持ち悪いっていうでしょ。その裏返しで、普段関西弁の木村さんが江戸弁で芝居するから、ぎこちなくなっちゃってるんです。

 時代劇が衰退したのは、チャンバラと勧善懲悪という固定概念から抜けられなかったせいだと私は思ってます。似たような話ばかり作れば、飽きられますよ。NHKが『ちかえもん』とか、チャンバラに頼らない時代劇を作っていることは非常に野心的な試みで、もっと評価されてもいいのでは。あ、そういえば『ちかえもん』も『みをつくし料理帖』も脚本は藤本有紀さんじゃないですか。
[ 2017/06/03 22:02 ] おすすめ | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
会社苦いかしょっぱいか

みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

偽善のすすめ

13歳からの反社会学(文庫)

ザ・世のなか力

怒る!日本文化論

日本列島プチ改造論(文庫)

パオロ・マッツァリーノの日本史漫談

コドモダマシ(文庫)

13歳からの反社会学

続・反社会学講座(文庫)

日本列島プチ改造論

コドモダマシ

反社会学講座(文庫)

つっこみ力

反社会学の不埒な研究報告