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前向きに生きてくれなんて望まない

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。
 難病患者や末期ガン患者は、明るく元気にすべてに感謝し前向きに生きて、人々に勇気と感動を与えなければいけないのですか。
 私は、難病患者やガン患者が泣きわめくことを認めたい。おのれの不運を恨み、天にツバすることを認めたい。ヤケになって、呪詛の言葉を吐き散らすことを認めたい。感謝などしなくてけっこう。勇気も感動も求めません。
 難病や不治の病になった人のほとんどは、ただ不運なだけです。その人にはなんの責任もありません。ヤケを起こして健康な人に恨みごとをぶつけるくらいの権利はあるでしょ。そういう人間の弱さを認めることこそを「寛容」というんじゃないですか。
 病気になった人に対して、自己管理が甘いからだ、などと科学的根拠のない精神論的因果をでっち上げて責める人を、私は軽蔑します。
 一方で、不運な人が聖人のように美しく生きることを期待して、勇気と感動をもらおうとする人たちのことも、私はあさましいと思ってます。
 私はオトナになってから突発性難聴を患い、片耳の聴力をほとんど失いました。デカい音で音楽を聴いてたわけでもなく、原因は不明です。まあ片耳は問題なく聞こえますから、不便なことは多々あるけれど、生きていくのに重大な支障はありません。その程度のことでも、ちきしょう、なんで自分が、と思いましたよ。
 ですから、もしも不治の病で余命を宣告されたら、ヤケを起こすかもしれません。聖人のように生きる自信なんてありません。だから他人にも、強く美しく前向きであれ、などと望まないのです。
[ 2017/06/28 10:45 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
会社苦いかしょっぱいか

みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

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13歳からの反社会学(文庫)

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