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気候と塩味の強さに因果関係はあるのか?

 こんにちは、パオロだよぉ。はぁい。いい感じ~。壇蜜って、おもしろい名前だよね~。壇が苗字で蜜が名前なのかなぁ。それとも壇蜜でひとかたまりなのかも。わぁ、どうでもいい~。
 話はコロッと変わりますが、先日『みをつくし料理帖』という時代劇をテレビでやってました。私はまったく知らなかったのですが、原作小説が有名だそうです。大阪で料理修行をした娘が江戸に出て店を任され、上方と江戸の味の好みの違いに戸惑いながらも成長していくという話らしい。らしい、と心もとないのは、途中で見るのをやめてしまったから。話自体も人物像も紋切り型で魅力を感じなかったんです。原作もそうなのか、脚本のすくい取りかたがヘタだったのかは、わかりません。
 さて、ドラマの序盤では、関西風の味付けが、濃い味を好む江戸っ子になかなか受け入れられないところが描かれていましたが、その際、だれかのセリフで「江戸の職人は汗をかいて身体から塩気がなくなるから、江戸っ子は塩辛い味付けを好むんだ」という説明がされました。
 この説明は東京方面では何度か耳にしたことがあるのですが、ガセである可能性がかなり高いですね。他の地方のみなさんは、この説明にまったく納得できず、くびをひねるのではないでしょうか。
 だって、大阪や京都のほうが江戸より暑いんです。これは地理気候的なことなので、いまでも江戸時代でも変わらないはず。とくに盆地である京都の夏の暑さはむかしから有名です。大阪や京都の職人だって、汗をかく量は江戸と同じかそれ以上だったはずなのに、なぜ塩辛い味付けを好まなかったのでしょうか。
 汗をかくから身体が塩気を欲しがるという生理的な説明がもし本当なら、暑い地域に行くほど料理の塩気が強くなるという法則が成立していなければおかしい。でもこの法則が成立していないことも容易に立証できます。タイやベトナムといった赤道に近い暑い国の料理は世界一塩辛いのでしょうか。そんなことはありません。タイやベトナム料理は甘い辛い酸っぱいが味の基本で、しょっぱいというイメージはむしろ希薄です。
 日本国内だって、九州の醤油が甘かったり、東北の味噌がしょっぱかったりと、矛盾する例ばかりです。気候と味付けの因果関係はまったくといっていいほど成立していません。
 江戸の塩辛い味付けに関しては、他にも説明がいくつかあるようです。家康が三河地方のしょっぱい味噌を江戸に持ち込んで広まったせいだとか、東北から江戸に出稼ぎにくる者が多かったからだとか、諸説あるようですが、どれもどこかにこじつけのニオイがしてしまいます。
 私もこの件に関しては、きちんと調べたことはないので、もしかしたら、すでにこの問題について掘り下げた歴史家がいるのかもしれません。そのうち、調べてみようと思います。
[ 2012/10/01 14:15 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
みんなの道徳解体新書

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13歳からの反社会学(文庫)

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