反社会学講座ブログ

パオロ・マッツァリーノ公式ブログ
反社会学講座ブログ TOP > 未分類 > よくわからない税

よくわからない税

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。あっ、お静かに願えますか。いま、わが家でコンクラーベをやってるところなので(大ウソ)
 それにしても税金というヤツはわからない。わからないから、税理士とか専門職が存在するのでしょうけど、税の制度というより、なぜそうなってるのかという意味や理念のほうがむずかしい。
 出版業界が、消費税増税に際して、本や新聞だけは文化の発展のために軽減税率を適用してほしいと、陳情したそうです。
 出版物でメシを食っている私としても、そりゃあ本の値段が上がって売れなくなったら困るというのはありますよ。それでも私は、出版物だけ軽減税率を適用することはおかしいので反対です。
 消費税というのは、国民全員で負担を広く公平に分かち合おうという趣旨にもとづく税金のはずですよね。だから特定分野の商品だけ税率を軽くするのは、逆に不公平感を増すことになります。それはいわば、ズルです。
 出版物の軽減税率を求めるかたがたは、ヨーロッパの国々でも出版物には軽減税率が適用されていると主張します。けど、それらの国では、食料品の税率が軽減されてます。まずそこでしょ。
 ところが日本の政府は、食料品の軽減税率は当分やらないといってますよね。食料品より本や新聞の税金を軽くするなんてのは筋違いです。飢え死にしそうだけどパオロさんの本は買いますという人がもしいたら、先に食い物を買え、とアドバイスしますよ、私は。

 同様に、ヨーロッパで軽減税率が適用されていることを根拠に、日本もそうすべきと主張している業界のひとつが、住宅販売業界。不動産に関する消費税の扱いも、よくわかりません。土地の売買には消費税がかからないけど、建物の売買にはかかる。家賃にはかからない。要するに、マイホームのような高額商品ともなると、消費税の数パーセントアップでも購入者にとっては大打撃になり、売れ行きに関わるから、という理屈です。
 たしかにそうなんですけど、高額商品を購入できる人は高額の税を払うというのが、消費税のルールでしょ? 
 しかも彼らは、欧米の固定資産税が日本よりかなり高いことは黙ってます。日本は固定資産税が安いから、使わない不動産でも持ち続ける人が多く、有効活用がなされない弊害があるという指摘は、何十年も前からあります。欧米のマネをしろというなら、消費税だけでなく、固定資産税も大幅に増税したらどうです?
 ついでに細かいことですが、ヨーロッパでは国や地域によっては、家賃の敷金を返すときに利子をつけることを法律で義務づけてます。長期間預かった金を返すときに利子をつけるのは民法上の基本原則だからです。しかし日本ではほぼ百パーセント、契約時の特約で敷金に利子はつけないことにしています。これも欧米のマネをしていない。

 この他、宗教関連のものも消費税が免除されてるようです。たとえば、おみくじや絵馬なんかも非課税だそうで。あんなのは単なる商品ですよ。買わないと死ぬわけじゃなし。
 私はそもそも宗教法人への課税優遇も、大幅に見直すか撤廃かを検討すべきだと思ってます。そんなことしたら小さな宗教法人はやってけない、とかいう人がいますけど、そもそも赤字なら法人税はかからないし、宗教家も世間と同じ苦しみをわかちあうのが当然です。

 話が消費税以外にまで脱線してしまいました。
 消費税増税は必要だね、と賛成しておいて、あとから自分たちだけは見逃してほしい、って政治家に頼むだなんて、イヤラシい話ですよ。だったら、なんで最初から、消費税増税そのものに、もっと強く反対しなかったのですか。
[ 2013/03/12 19:38 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
会社苦いかしょっぱいか

みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

偽善のすすめ

13歳からの反社会学(文庫)

ザ・世のなか力

怒る!日本文化論

日本列島プチ改造論(文庫)

パオロ・マッツァリーノの日本史漫談

コドモダマシ(文庫)

13歳からの反社会学

続・反社会学講座(文庫)

日本列島プチ改造論

コドモダマシ

反社会学講座(文庫)

つっこみ力

反社会学の不埒な研究報告