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原稿チェックに対するグチ

 こんにちは、駅のホームにある最新型の飲料自販機に「小粋なチョコバナナ」をおすすめされたパオロ・マッツァリーノです。
 あの自販機にはカメラが内蔵されてるらしくて、前に立った人の容姿から年齢性別などを判断して、おすすめ商品を選んでくれるそうです。
 私の外見のどの要素が、小粋なチョコバナナだったんだろう? 小粋なおじさんだと思われたのかな? 疲れてそうだから甘いものをすすめたのか? サルっぽいといわれたことはこれまで一度もないんだけど。
 結局、小粋なチョコバナナは買わず、お茶を買いました。

 さて、本日は以前から抱いていた疑問についてグチをいいたいと思います。ええ、グチなので気にしないでください。
 物書き以外の人はご存じないと思うのですが、ちかごろは原稿の校正の段階で、内容の事実関係チェックが入るんです。中小の出版社ではやらないこともありますが、大手の出版社だと、たいていこれが入ります。
 むかしは校正というと、誤字脱字や表記のゆれや文法的なまちがいだけをチェックしたのですが、ちかごろはこれにプラスして書いてある内容についてもチェックされます。校正の人がやる場合と、外注する場合があるようです。
 もちろん、こちらが気づかなかったカン違いを指摘してくれて、ありがたい場合もしばしばあります。でも私の場合、どちらかというと指摘のほうがまちがっていたり、チェック担当者がどうでもいいところに食いついてて、え、そこ? ってことが多いんです。
 そうなる原因は、内容チェックをする人が100パーセント、ネット検索の結果を根拠にしているからです。
 私は図書館などに通い、さまざまな本やむかしの新聞雑誌などに目を通した上で、それらを根拠として原稿を書いてます。たった一行の記述のために何時間も調査に費やすこともあります。それに対して、内容チェックをする人はパソコンでネット検索して出た結果だけをもとに、このサイトにはこう書いてあるのですが、みたいな指摘をしてくるんです。
 そこなんですね、釈然としないのは。ネットにある情報のほとんどは、第三者による校正も内容チェックも経ていないのですよ。実際、まちがいや真偽のアヤシイネタも数多いことは周知の事実ですが、それを正解であると仮定して、答え合わせみたいなことをされるのが、なんか腹立つ。
 そっちが提示したネット情報の真偽は確認したのか? 確認のために図書館に行ったり、サイトの作者に問い合わせたりしたのか? と逆に問いただしたくなることもよくあります。
 私も人間ですから、まちがうこともあります。つねに正しいわけじゃない。さっきもいったように、なかにはありがたい指摘もあるんですよ。だから内容チェックはしないよりはやったほうが絶対いい。やめろとはいいません。いえ、むしろこんなグチを書いたら、私が気分を害するだろうと気をつかって、だれもなにも指摘してこなくなってしまうおそれすらあるわけで、それもまた困ります。
 まちがった指摘は無視していいですよ、いちおうやってるだけだから、と編集者からはいわれます。ええまあ、そうしてますよ。そうなんですけどね。活字情報がすべて正しいわけでもない、ネットのほうが正しいこともありますし。だけどなあ……私が気にしすぎなんでしょうか。
[ 2013/12/02 22:04 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
会社苦いかしょっぱいか

みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

偽善のすすめ

13歳からの反社会学(文庫)

ザ・世のなか力

怒る!日本文化論

日本列島プチ改造論(文庫)

パオロ・マッツァリーノの日本史漫談

コドモダマシ(文庫)

13歳からの反社会学

続・反社会学講座(文庫)

日本列島プチ改造論

コドモダマシ

反社会学講座(文庫)

つっこみ力

反社会学の不埒な研究報告