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最近のドラマ評

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。『翔んで埼玉』は期待ほどではなかったですね。序盤のインパクトがおもしろさのピークで、後半は退屈で寝ちゃいました。

 さて、今期のドラマはとりあえず3本継続中ですが、どれもおすすめしたいほどではないです。『病室で念仏を唱えないでください』は……そういえばあの子、急に消えたけど、なんでかな~(わざとらしい)。ってのはおいといて、医療ものとしてそこそこおもしろいけど、仏教観の要素を活かしきれてないのでは?
 『アリバイ崩し承ります』と『ハムラアキラ』はミステリとしては合格点。でも、ドラマとしての出来は、こちらもそこそこ。
 ミステリは探偵のキャラが立ってないとおもしろくないのに、『アリバイ崩し』で浜辺さんが演じる探偵役は、普通にかわいいだけの、無個性な女の子になっちゃってるのが惜しい。『ピュア!』では、売れない腹黒アイドルが一日署長をつとめる設定で、「今日は~ワタシがお前の一日署長、だーっ!」の決めゼリフがバカバカしくてよかったんですけどね。このときのお相手の俳優は……あれぇ、誰だったかな~(わざとらしい)
 ハードボイルドミステリは活字として脳内の想像力で味わうべし、ってのが私の持論。映像化されると、クールなのか無愛想なのか、かっこいいのかダサいのか、よくわからなくなるので。『ハムラアキラ』のシシドカフカさんは、かなり健闘してるほうでしょう。シシドさんはそんなに芝居がうまいひとじゃないのですが、ドラムをやってるだけあって、セリフまわしに独特のリズムがあるんです。私は嫌いじゃないですよ。

 いまいちばんハマってるドラマは、『全裸監督』です。これまでネット配信には魅力を感じなかったのですが、ここ最近、アメリカでネットフリックスオリジナル作品が話題になることが多いので、ギフトカードで試してみることに。低画質なら2000円で2か月ちょっと見放題になります。
 まだ最後まで観てませんが、『全裸監督』の評判はダテじゃない。題材こそハレンチで(←昭和の表現)観るひとを選ぶものの、実力派の役者とスタッフを集めてマジメに作られてます。
 そのあたりはWOWOWのオリジナルドラマと似ています。でも私はここ数年、WOWOWのドラマを観てません。あまりにもマジメすぎて、おもしろさが置き去りにされてるから。
 『全裸監督』は作りはマジメだけど、破天荒な展開がテンポ良く続くので飽きません。俳優陣の熱のこもった演技やストーリー・プロットのおもしろさ、あの時代の空気感の再現など、内容でちゃんと評価してあげないと。
[ 2020/02/19 17:36 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)

不寛容とファクトレスネス

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。あまりブログを更新できてませんが、昨年あまり仕事ができなかったぶんを取り戻すべく、書き下ろしの新刊執筆にはげんでいるためです。トロッコ問題をありがたがる哲学者気取りの連中をイジるのは、その新刊のなかでやろうかなと思ってます。おたのしみに。

 そんな矢先に、6年使ったノートパソコンが、コンセントにつないでるのになんの前触れもなく電源が落ちる現象に二度見舞われました。いままで使ったパソコンのなかで一番気にいってたので、Windows8.1のサポート終了まで使い続けるつもりだったのに。あきらめて、Windows10のパソコンへ移行しました。

 ちょっと前の話ですが、国会で夫婦別姓の話が出ただけでヤジが飛んだのには、がっかりしました。多様性を尊重する社会への道は、まだまだ険しそうです。
 べつに日本人全員に夫婦別姓を強制しようっていってるわけじゃないのに。おそらく日本では、導入されても同姓を選ぶカップルのほうが多いでしょう。なのに、選択制すら許さないっていう連中の狭い了見がわからない。自分が困るわけでもないのに、他人にそこまで不寛容になれるのって、もはや単なるわがままですよね。

 夫婦別姓反対論者に共通するのは、ファクトフルネスどころか、ファクトレスネス。歴史的な事実を無視、捏造して反対論のよりどころとしてるんです。
 夫婦別姓は日本の伝統を壊すなんて、歴史の事実に反する主張をしてるのが女性議員であることにも呆れます。そういう議員には、「女は議員になれなかったのが日本の伝統だぞ、おまえがいますぐ辞めろ!」とヤジを飛ばしましょう。

 江戸時代までの日本では夫婦別姓が基本だったし、家制度もそれを前提として成立してたということは、常識なのかなと思ってましたが、そうでもないのかな? 懐古主義者が責めるべき相手は、西洋のマネをして日本の伝統文化を壊した明治政府のほうではないのですか。
 NHKの時代劇の考証をしている大森洋平さんの『考証要集』では、いくつか例をあげて、むかしの夫婦別姓をわかりやすく説明しています。浅井長政の妻、市は「浅井市」ではない。浅井長政正室織田氏である。町人なら(姓がないので強いていうなら)大工熊五郎女房 おとら、みたいになる、と。

 夫婦別姓なんかを認めたら、日本が韓国になっちまう! なんてわけのわからんことをいってるひとにも、ていねいな説明をしてあげましょう。夫婦別姓を認めても、毎日キムチを食っても、日本は韓国にはなりませんよ、って。
[ 2020/02/01 17:02 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)

古い輸入盤CDは、取り込んでしまおう

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。秋葉原は私にとっては懐かしい街です。20代のころ、しばらくバイトをしてましたので。当時は飲食店が少なくて、食事がいつも同じルーティーンになってたようなおぼえがありますね。
 街を歩いてるとジャズスタンダードナンバーの「フライミートゥーザムーン」があちこちから聞こえてきて、ジャズが流行ってるわけでもなさそうなのになぜ? とバイト仲間に聞いたら、エヴァンゲリオンのエンディングだといわれました。なにそれ? アニメ? なんて会話も懐かしい。

 そのころパソコンの自作にもチャレンジしてみましたが、結局めんどくさくて性にあわず、その後はノートパソコンしか使ってません。
 2019年の前半、久々にパソコンパーツ屋が並ぶ裏通りをのぞいたら、500GBのSSDが1万円以下で買えることにビックリ。SSDはまだ高価なものだと思ってました。
 さらに私のなかの古い常識では、SSDは信頼性が低く寿命が短いイメージだったのですが、いまやSSDは信頼性も寿命もハードディスク並み、もしくは上回るのだそうで。
 そこで、久々に自作することにしました。といっても、ケースにSSDをネジ止めするだけなんですけどね。



 これの使いみちは、音楽ファイルの保存です。これまでも、あまり聞かなくなったCDを、ヒマを見てはポータブルハードディスクに取り込んでたのですが、この際、SSDに手持ちの音源を全部入れてしまおうと思い立ちました。
 私の場合、音楽は家でしか聞かないので、保存はFLAC形式。MP3よりかさばりますが、それでも、手持ちのCDはすべて入りそうです。私は聴き飽きた曲はどんどん削除してしまうってこともありますが、これまで買ったCDが全部このなかに収まってしまうなんて、すごい時代が来たものです。

 で、ここからちょっと、みなさんにも関係あるかもしれない話。
 CDは経年劣化で再生できなくなるという説は、オーディオファンや音楽ファンのあいだではかなり以前から知られてました。私は半信半疑だったのですが、古いCDを取り込んでいて、それが本当だったとわかりました。
 100枚に1枚くらいの割合ですが、取り込みがなかなかできずエラーを繰り返すものがあったんです。そういうCDも、プレーヤーでの再生はできるのですが、なかに2枚だけ、CDプレーヤーでも再生できないのがありました。エラーが出たのは、すべて輸入盤です。
 盤にキズがあったりするわけじゃないんです。エラーが出るかどうかは、見た目ではまったく判別できないのが、やっかいです。ミクロレベルで金属の反射皮膜が変質してしまってるのでしょうか。
 そういうわけで、古い輸入盤CDをたくさんお持ちのかたは、早急に取り込んでしまったほうがいいですよというご忠告。
[ 2020/01/10 22:07 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)

2019年回顧 3年遅れの読書

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。前回に引き続き2019年回顧、今回は本。
 私はここ10年くらい、古新聞古雑誌ばかり読んでます。もちろん近現代庶民史の調査のためですが、これがまた、おもしろいので、結果として新刊書をあまり読まなくなってしまいました。それで自分の新刊を買ってね、というのもちょっと心苦しいのですが、売れてくれないと食いっぱぐれてしまいますので。

 本は発売後3年経つと文庫になって買いやすくなることもあるし、図書館でも貸出ラッシュが落ち着いて借りやすくなります。そういうわけで、3年、4年遅れくらいで新刊を読むことが多いんです。
 発売時の書評、あるいは知り合いのおすすめなどで気になった本を普段からメモしておきまして、3年後くらいに読みはじめます。でもそのころには、どこでその本の評判を聞いたのか、忘れてるんですね。なので逆に、先入観のない新鮮な気持ちで読めます。

『浮遊霊ブラジル』津村記久子
 この作家さんの作品は初見です。そこはかとなく漂うユーモアだけに注目するとエンタメ小説に思われそうですが、ときおり指先で内臓を押してくるような意地の悪さが、紛れもなく純文学。
 「給水塔と亀」なんて、平易な言葉だけで書かれているし、ものすごく短くて、たいした事件も起きないのに、小説を一篇読んだという確実な満足感が残ります。
 私が好きなのは「地獄」。死んで地獄に堕ちた主人公と友人が、いろんなやりかたで殺され続ける罰を受けるかと思えば、鬼のしょうもない恋愛相談に延々つきあわされるという地味にツラそうな罰を受けたりする話。

『反知性主義』森本あんり
 これは2015年刊だから4年経ってました。反知性主義という言葉が近年よく使われますが、本来は、キリスト教関連の宗教用語だったというのは意外でした。
 むかしは、神父や牧師は全員大卒者にかぎられていて、教養と権威のある者しか説教ができなかったんです。これが知性主義。それに反発して、学歴はないけどしゃべりの達者な人間が、教会ではないところで演説し、話のおもしろさでスター伝道師へとのし上がっていったりするのが、反知性主義。
 神がアメリカを祝福するのは契約上の義務だとアメリカ人は考えているそうです。現代のアメリカ人にとって、神と自分はもはや上下関係でなく、対等な立場のビジネスパートナーでしかないってことみたいです。

『多数決を疑う』坂井豊貴
 バカが政治で攻めてくる。そんな風潮は選挙制度に問題があるからじゃないかと調べたなかで、おもしろかった一冊。
 選挙は、方式によって当選者が全然違ってくるということを理論的に検証しているのですが、その個所は理解するのにちょっとアタマを使います。
 政治家は民意という言葉をよく使うけど、結局のところ、選挙制度に上手く乗っかって勝っただけなんじゃないか。それを民意と呼べるのか。
 選挙ではどんなに投票率が低くても成立してしまうのに、住民投票のときだけ、投票率50%以下なら開票もしないなんてやりかたが、なぜまかり通るのか
 憲法改正は、議員の3分の2が賛成すれば、国民投票は過半数でいいというのはおかしいじゃないか。国民投票も3分の2の賛成を必要とすべきではないのか。
 などなど、選挙制度にはさまざまな問題があるのに、そういうもんだと思っちゃってるのは、やっぱりマズいよねえ。
[ 2019/12/30 22:03 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)

2019年回顧 テレビ編

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。トロッコ問題の続きを期待してたかたがいるかもしれませんけど、それはまた日を改めて、エセ哲学者どもをいじめてやります(笑)
 年末年始に小難しい話なんて聞きたくないでしょうし、したくもありません。ということで、2019年の回顧、今回はテレビ編。

 まずは秋ドラマのまとめ。先日放送された『みをつくし料理帖スペシャル』は、待った甲斐がありました。この完成度を見せつけられたら、黒木華さん以外の澪はもう考えられないと思うんだけど、べつのキャストで映画版を作ろうとしてるひとたちは、勝算あるのかね?
 恋か仕事か女性が悩むというのは、きわめて現代的なテーマです。まあ、江戸時代にも独身で手習いの師匠をやってた女性なんてのもいたそうですが、実態までは知りません。少なくともドラマでは、江戸時代という背景の中でこのテーマを無理なく成立させてましたし、胸を打たれました。お見事です。
 何年かかってもいいから、このドラマ版は完結させてほしいですね。

 『同期のサクラ』は終盤の展開で賛否が割れたのもわかります。だけど、予定調和やありきたりの感動を嫌い、最後の最後までひねるってのが、遊川さんの持ち味なんで。
 やはり続編は本編を越えられなかった。『まだ結婚できない男』『時効警察はじめました』『おっさんずラブ in the sky』、どれもおもしろかったのは序盤だけ。『おっさんずラブ』はさすがにもうネタ切れが激しくて、企画自体にムリがあったとしか思えません。
 『時効警察』は最初の2時間スペシャルの出来がかなり良かったんですけどね。それにしても、吉岡里帆さんって、なんでアンチがいるの?

 私が選ぶ今年の連ドラ年間ベストは、べつに黒木華推しってわけじゃなく、純粋に作品の出来で『凪のお暇』。ミニシリーズが『令和元年版怪談牡丹灯籠』でした。

 ドラマ以外のおすすめは、2本ともBSの番組です。1本目は『ザ・カセットテープ・ミュージック』。マキタスポーツさんとスージー鈴木さんが、アラフィフ世代にどストライクの歌謡曲やポップスを取りあげて、なぜその曲がすごいのか、音楽理論で解明していきます。ときどきマキタさんがネタをやってくれます。原曲がわからないくらいに「乾杯」を崩して歌った長渕剛さんのマネには、腹抱えて笑いました。

 もう1本は『町山智浩のアメリカの今を知るTV』。不定期放送だったころからずっと見てますが、日本のニュースが全然取りあげないアメリカ情報を教えてくれる貴重な番組です。
 私が一番驚いたのは、悪魔教寺院の取材。危険なカルト宗教かと思ったら、実態は想像とまったく違ってました。
 彼らは悪魔なんて信じてません。信仰の自由と多様性の尊重を主張する、平和的で理性的な社会活動団体なんです。
 彼らが問題視してるのは、アメリカの憲法にある政教分離の原則が守られていないこと。市庁舎などの公的機関の前に、聖書の十戒の石碑が建ってたりします。この手のモニュメントは、キリスト教系保守団体の寄付で立てることが多いのですが、憲法違反の可能性があります。
 悪魔教寺院はそれに抗議するために、オレたちが信仰する(ホントは信じてないけど)悪魔の像を、十戒の石碑の隣に立ててくれと申し出ます。公的機関はすべての宗教に平等でなければならないので、両方立てるか、両方撤去するかしなければなりません。それで聖書の石碑を撤去させたこともあるそうです。
 日本の場合は神道に対して政教分離原則の適用が甘すぎます。日本にも悪魔教が必要かもしれません。

 おまけ。TOKYO MXで初代『仮面ライダー』の再放送がはじまりまして、昭和46年の科学観やセリフの言葉づかいにハマってます。
 原子力研究所に侵入しようとした怪人が見えない壁に跳ね返されるのですが、バリアを「バーリア」と発音してます。
 ナレーション「原子力研究所の電磁波バーリアは、原水爆でも破れないのだ」
 電磁波最強伝説。
 アジトに戻った怪人が、バーリアが破れないと報告すると、ショッカーの総統が「弱音を吐くな!」
 まさかの精神論。
[ 2019/12/29 22:55 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
偽善のトリセツ

歴史の「普通」ってなんですか?

世間を渡る読書術

会社苦いかしょっぱいか

みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

偽善のすすめ

13歳からの反社会学(文庫)

ザ・世のなか力

怒る!日本文化論

日本列島プチ改造論(文庫)

パオロ・マッツァリーノの日本史漫談

コドモダマシ(文庫)

13歳からの反社会学

続・反社会学講座(文庫)

日本列島プチ改造論

コドモダマシ

反社会学講座(文庫)

つっこみ力

反社会学の不埒な研究報告