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反社会学講座ブログ

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秀逸だったNNNドキュメント

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。テレビのドキュメンタリー番組は、おもしろそうなものをとりあえず録画しておいて、あとから見ることが多いです。最近、秀逸なのがありましたので、放送からだいぶ時間が経ってしまったのですが、紹介しておきます。

 6月21日深夜に日テレで放送された『NNNドキュメント 封印~沖縄戦に秘められた鉄道事故』。
 この日のテーマは、戦時中に沖縄で起きた知られざる鉄道事故。沖縄には鉄道はないと思ってたのですが、戦前にはあったんですね。戦火で鉄道施設が破壊されてしまったあと、再建されなかったのだそうです。戦時中はおもに軍が兵士や物資の輸送に使い、民間人もついでに乗せてもらうような感じで利用してたのだとか。
 昭和19年12月のある日、弾薬や医療物資を満載した貨車の上に数百人の兵士と民間人が座った状態で走っていたところ、機関車の火の粉が飛んで、積んでいたガソリンに引火します。そばにいた兵士や女学生の数人は、あわてて列車から飛び降りて九死に一生を得ますが、またたく間に燃え上がった火は弾薬に引火して大爆発。大半の乗客は逃げる間もなく、200名以上が死亡しました。
 悪いことは重なるもの。来たるべき米軍上陸に備えて、線路脇のサトウキビ畑に弾薬が野積みにされていたのですが、それにも火が燃え移って爆発したことで、大量の弾薬が失われてしまいます。
 無蓋車での弾薬輸送は危険だからと軍規で禁じられていたのに、現場ではやってたんです。軍の上層部は箝口令を敷き、この失態を封印したけれど、弾薬の補給がないままでは、数か月後に上陸した米軍とまともに戦えるはずもなく、一方的な負け戦となることは、はなから確定していました。
 これ、事故の原因として、典型的といってもいいパターンです。安全のために設定されたルールは、なぜそれが必要なのかという理由まで周知されてないと形骸化し、現場の勝手な判断で、無視されてしまうんです。
 安全のためのルールを無視したことで起こった事故が、その後の歴史にまで大きな影響を及ぼしてしまったのでした。こんな映画みたいな出来事が本当にあったんですね。
[ 2020/07/08 13:24 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)

ゲスな庶民のお楽しみ

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。それにしても鮮やかだったのは、ヒューマンステージというフリを自ら回収してオチをつけてくれた渡部さん。夫としては0点ですが、お笑い芸人としては満点です。
 テレビを見ないかたには何のこっちゃって感じですか。『かりそめ天国』で有吉さんが、グルメ志向などが鼻につく渡部さんを毒舌でディスってまして、それに対して渡部さんが、俺はあいつよりヒューマンステージが高い、早く俺と同じヒューマンステージに上がってこい、みたいな反撃をする一連のやりとりがおもしろかったんです。
 ヒューマンステージってのはたぶん英語にはない造語で、人間性のランクみたいな意味で渡部さんは使っていたのでしょう。そういう自己啓発的なうさん臭い言葉で自分を高めていた渡部さんが、スーパーゲススキャンダルで真っ逆さまにヒューマンステージを転落したのです。フリとオチの落差が激しいほど笑いも大きくなるという笑いの基本を見事に実践してみせたのだから、番組の視聴者は全員爆笑したことでしょう。

 偶然にももう一組、この落差で笑いを取ってる河井夫妻というコンビがいるので、ご紹介しましょう。夫は数年前のテレビ取材で「クリーンな政治を目指す」と宣言し、妻は県議会で知事の不正疑惑を、蓮舫さんばりの舌鋒で批判してました。それがいまや、コンビ揃ってヒューマンステージを急降下してるんですから、このフリとオチの落差は、シロウトにしては出来すぎの名人芸です。

 本気でお笑い芸人になろうとするひとと、本気で政治家になろうとするひとは、だいたいどっかおかしいんですよ。
 ただ、お笑い芸人は、自分がおかしいことを多少なりとも自覚してるので、それを笑いに変えられます。自分を客観的に見られないひとには、お笑いはできないと思います。
 でも政治家は、自分がおかしいとはイチミリも思ってないので、イジられたり笑われたりすると本気で怒り出します。
 私はおかしいひとを否定してるのではありません。自分がおかしいことに気づかず、自分はまともで尊敬されるべき人間だと思って威張ってるヤツが嫌いなんです。そういうヤツが政治家にやたらと多いから、政治家は基本的にみんな嫌いです。エラそうにしてる政治家を尊敬して、政治批判をするなー! と味方してるヤツらも同類だから、もちろん嫌いです。

 さて、もうひとつ私が気になったのは、渡部さんとの不倫関係を雑誌に売った相手の女性に対して、そいつも悪いと責める声がけっこうあったことです。
 え、なんで? だってわれわれゲスな庶民は、なんだかんだいって、有名人のスキャンダルを心待ちにしてるじゃないですか。その期待に応えてくれたのだから、相手の女性を責めるどころか、ありがとう! と感謝するのがスジってもんです。六本木ヒルズ上空にブルーインパルスを飛ばしたいくらいです。

 たれ込むのはルール違反だ、って理屈が笑えるのは、そもそも浮気がルール違反であることを棚に上げてるからです。それに、女も悪いと責めたところで、渡部さんの罪が半減するわけじゃないのにね。女が密告しようがしまいが、渡部さんが奥さんを裏切ったという事実には、なんの変わりもありません。誹謗中傷するのもやりすぎだけど、無理な理屈で擁護する連中も人間性がひしゃげてますね。

 明治時代の新聞『萬朝報』が、著名人の妾がどこに何人いると暴露する連載記事を載せてから現在まで、マスメディアは数限りない浮気・不倫を報道してきました。それでも、浮気・不倫報道を禁止しよう、なんて、これまでだれもいわなかったじゃないですか。やはりみんな本心では、たれ込み・暴露記事を期待してるんです。
 だから有名人なら、浮気すれば相手にたれ込まれる可能性があることは、全員が100パーセント覚悟してなきゃおかしいんです。過去の伝統・先人の失敗に学べば、バレる可能性が非常に高いし、失うものもデカいことが明白なのに、自分だけは大丈夫と思いこんでやってしまう人間の業。そのおもしろさに惹かれるのは、100年前のひとも現代人も同じです。
[ 2020/06/22 19:56 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)

ドラマの再放送、観ちゃうよね

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。やっぱり観ちゃうよねえ、『逃げ恥』。ホントによくできたドラマです。コメディのなかにうまく社会性のあるテーマを練り込んであるし。
 あえて難癖をつけるなら、あの話はヒロインのみくり役がガッキーさんだと、ホントは成立しないんですよね。最初はみくりを家事スタッフとしか見てなかったのに、人間性を知るにつれて惹かれていくって展開に説得力を持たせるためには、地味かわいい感じの顔立ちの女性じゃないと。ガッキーみたいな特上クラスのかわいいひとが来たら、いきなり好きになっちゃうでしょ。家族からいわれる「おまえの取り柄は若さだけだ」ってセリフも、それガッキーにいう? と笑ってしまいます。

 名作ドラマの再放送がいろいろ観られるのが、コロナ禍によってもたらされた唯一の幸運と、全国のドラマファンは思っているのでは。なんていったら、新作ドラマの制作陣に悪いか。
 でもこれから夏場も、オリンピックを予定してた枠がすっからかんなんだから、テレビ局も開き直って、この夏は新作プラス再放送で、ドラマ祭りをやればいい。そういう夏も、たまにはいいじゃない。できればもっと古いものも観たいけど、放送コードとかの関係でむずかしいのかな。たまに昭和のドラマをやると、放送禁止用語の入ったセリフのところで急に無音になりますよね。

 『愛していると言ってくれ』も観ちゃうねえ。これ1995年? 25年前かぁ……。
 初回は偶然に頼りすぎの感もありましたけど、携帯電話がない時代の恋愛ドラマワールドでは、きっと信じられない頻度で偶然が起きていたのでしょう。
 ストーリー以外のディテールも、いまとなっては博物館級の見どころだらけ。ファックス、ワープロ、ぴあといった小道具。原稿や校正もファックスでやりとりしてたなあ。それにしても、ファックスの機械が12万円って!
 このドラマでは駅の改札が自動改札になってました。数年前に再放送で観た『高校教師』は93年の作品ですが、改札に駅員がいて、うわ懐かしい、って思ったんです。自動改札の導入が進んだのがこの時期だった証拠史料になってます。
 役者もみんな若い。きゃぴきゃぴしてる常盤貴子さんにもニヤニヤしちゃうけど、矢田亜希子さんが女子高生ですよ。まだコストコにハマってません。ついでに調べてみたら、なんとコストコの日本上陸はこの4年後のことだそうで、そんな前からあったのか。

 『野ブタ。をプロデュース』も観ちゃうなあ。私は今回初見で、木皿泉さんの作品ってことで存在は知ってたけど、内容はほとんど知りませんでした。
 おちゃらけてるけど傷つきやすい。スカしてるのにダサくなる。そんな中途半端な青春の日々を、熱血でもなく、シラケでもないさじ加減でおもしろく描く高難易度の技をやってのけたことで、このドラマは他のどの学園ドラマとも違う、唯一無二の作品になってます。
 じつは『ごくせん』も初めて観たのですが、すごくベタで古臭い印象を受けてしまいました。それだけ『野ブタ』の斬新な個性が際立っているわけです。どことなくファンタジーっぽい雰囲気にくるんで、人間の悪意の刃を突きつけてくるあたりが、純文学テイスト。
 あと、前から思ってたんだけど、亀梨さんって、若いころのジェイミー・リー・カーティスに似てるよね。
[ 2020/06/10 13:22 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)

マスクって、あんなに大きい必要あるの?

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。今日の昼間、マスクして駅前まで買いものついでに歩いてみたのですが、いまの時期だともうマスクしてるところが蒸れて暑くなります。これまでこの時期にマスクしたことなかったんで、マスクが暑いものだという単純な事実に気づきませんでした。
 ていうか、マスクって、こんなに大きい必要あるの? いままでなんの疑問も持たずに使ってたけど、アゴまで覆わなきゃいけないもんなの?
 ユニクロの社長さんが、エアリズムみたいな生地を使って夏でも涼しいマスクを作るといってましたけど、いや、暑いのは生地だけでなく、布面積にも原因があるんじゃないかと。
 いまマスク着用が推奨されてるのは、飛沫感染の防止が目的です。もともと市販のマスクではウイルス自体は防げません。ウイルスはマスクを通過しちゃいます。飛沫さえ防げればいいから、不織布でなくて、手作りの布製のでもかまわないとされるわけです。
 だったら布の部分は、鼻と口を最低限覆えるくらいの大きさがあればじゅうぶんなはずですよね。小さいと揶揄されたアベノマスクでも、まだデカすぎる。もっと小さくていい。
 子ども用とかなら売ってるよ、とおっしゃるかもしれませんが、それだと全体的に小さいから、耳に掛けられません。耳ひもの長さは従来のオトナ用と同じで、布面積だけ小さいマスク、誰か試作してみませんか。夏用としてけっこう売れるかもよ。
[ 2020/05/26 20:10 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)

情報がなさすぎる

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。自粛警察とかデマ流すヤツとかを批判したい気持ちはやまやまでしょうが、ああいうのが出てくるのも無理はないんです。なぜなら、感染の経緯に関する正しい情報が何も公表されてないから。
 感染に関する情報で公表されてるのは県ごとの人数だけじゃないですか。それしか判断材料がないから、県ごとの感染者数を競って一喜一憂するようなバカらしいことになるし、あげくには、うちの県にウイルスを持ち込むな! と県外ナンバーのクルマを破壊するような蛮行に発展するんです。
 正しい情報がない場合、ひとは勝手に正誤や善悪を判断してしまいます。自分の狭い経験と知識だけから導いた偏見を、正解とカン違いしてしまいがち。
 私だけでなく、たぶん多くのみなさんが知りたいのは、感染の経緯なんですよ。人数ではなくて。これだけ多くの症例が出たんですから、どういう状況で感染したのかという情報が、患者の聞き取り調査からある程度わかってるはず。それなのに、厚労省とかから、情報がまったく出てこない。

 一番危惧されてたのは通勤電車での集団感染です。とりわけ日本は通勤時間が長いことで有名な国ですから、密閉空間である電車に小一時間乗らなきゃいけないひともざらにいます。そりゃコワいでしょう。
 でも結局、電車での集団感染が起きたという話はありませんでした。だからといって、材料もなしに電車は安全だ、とはいえません。だから私は、感染者のなかで通勤電車を利用してたひとがどれだけいたのか、電車での感染が疑われた例はどれだけあったのか、あったとして、乗車時間との関連はあったのか、そういうデータを知りたいんです。
 電車での集団感染が起きなかったのはなぜなのか、マスクとか窓開けとか、どの対策が有効だったのか、そのへんを科学的に解明しないかぎり、次の対策につながりません。効果がある対策とない対策を見極めないと、精神論やおまじないばかりが横行し、科学を押しのけてしまいます。

 効果がない対策の代表例が、防災無線による外出自粛の呼びかけです。いまどき、テレビもラジオもネットもなく、防災無線だけで情報を得てるひとなんてどこにいるんですか。
 毎日何度も防災無線で、不要不急の外出を避けましょう、って繰り返してるけど、まともなひとなら一度聞けばわかるのだから無意味です。まともじゃないひとは何度聞いても従わないのだから無意味です。
 不要不急の外出を避けましょう、と防災無線が鳴り響く下で、パチンコ屋の開店待ちの行列ができてる光景が、その無意味さを物語っています。

 パチンコも電車と同様に、密閉空間に多くのひとが長時間滞留するのだから、危険度が高いと思われてました。ですから論理的な可能性を危惧して休業要請をしたのは、必ずしも間違いではありません。
 でも、パチンコ屋に並んでるひとを批判したとして、「パチンコ屋で集団感染は起きてねえじゃねえか」と反論されたら、あなたは再反論できますか? できないでしょ。それは反論に必要な情報、材料がないからです。なぜパチンコ屋で集団感染が起きなかったのか、そこにはなんらかの科学的理由があるはずなんだから解明しなきゃいけません。
 ネットカフェもです。あれも危険そうだからと自粛要請が出たけど、営業を続けるところもあって、一部で批判もされてました。でも集団感染は起きませんでした。あれこそ、その理由をきちんと解明すれば、今後、自然災害と感染症流行が重なった場合の、避難所での安全な宿泊対策につながるはずです。
 一方で、スポーツジムのように、健康イメージをウリにしていて、これまでノーマークだった施設で集団感染が出たのが意外でした。やはりイメージだけでリスクを判定してはいけないんです。

 前から何度もいってるように、安全は科学なんです。気持ちやおまじないで安全にすることはできません。どの対策がどれだけ有効なのかを科学的に検証し、何をどう自粛するのがもっとも効果的なのか、その根拠と方法をあきらかにしなければいけません。
 人間は理由もなく強制されることに耐えられないんです。ただただガマンしろ、みたいな精神論的自粛勧告は長続きしませんし、同じことを繰り返すと、無視するひとが増えてうまくいかなくなります。
[ 2020/05/19 13:46 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
偽善のトリセツ

歴史の「普通」ってなんですか?

世間を渡る読書術

会社苦いかしょっぱいか

みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

偽善のすすめ

13歳からの反社会学(文庫)

ザ・世のなか力

怒る!日本文化論

日本列島プチ改造論(文庫)

パオロ・マッツァリーノの日本史漫談

コドモダマシ(文庫)

13歳からの反社会学

続・反社会学講座(文庫)

日本列島プチ改造論

コドモダマシ

反社会学講座(文庫)

つっこみ力

反社会学の不埒な研究報告