こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。
悩めるお母さんのための読書案内が更新されました。今回紹介したのは、戦前昭和の庶民の家計と暮らしぶりについて書かれたおもしろ本です。すでに絶版扱いだそうなので、気になったかたは古本屋や図書館で探してみてください。
この夏はテレビがオリンピック中心の編成で、穴埋め番組みたいなのばっかりだったので、たまにはDVDレンタルでも利用してみるかと思い立ち、近所のツタヤに何度か足を運びました。
発掘良品というコーナーがあるんですね。映画通のあいだでは評価が高いのに、廃盤になってたりするエンターテインメント作品がけっこうある。だったらレンタルDVD化してしまおうじゃないかという、大手ならではの前向きな企画です。
ラインナップを見渡しますと、なるほど、通を自称するみなさんが選んだだけあって、納得のチョイスをなさってる。そうそう、これよかったんだよねえ、とか、これを選ぶなんて、あんたわかってるねえ、と感心する一方で、これが廃盤だったの? という小さな驚きも。『フォロー・ミー』なんて、映画通ではない普通の人が観たって絶対おもしろいだろうに、こんなシャレオツな映画がこれまで一度もソフト化されてなかったとは。意外。
『ワンダーランド駅で』も、すごくシャレオツな、汗をかかない恋愛映画だった記憶があるのでおすすめですが、なにしろ一度しか観てないんで、どんな内容だったかは、ほとんどおぼえてません。なんだその無責任なおすすめは。
自転車レースに打ち込む青春もの『ヤング・ゼネレーション』は時代を反映した邦題がイカす。いまだったらこの邦題はつけないでしょう。熱いんだけど、スポ根のような押し売り的な暑苦しさがないところがいい。
『ウエスタン』はシャレオツ度ゼロ。私にとっては、セルジオ・レオーネ作品の頂点にして、西部劇の最高傑作。異論は受け付けません。ガンマンはどんなに強くても、歴史の上ではしょせん流れ者でしかない。真の歴史の主役とは、線路を引き、町を作り、力強く生きていく普通の人たちなのだと語りかけてくるかのようなラストは何度観ても胸に響きます。
で、私はといいますと、未見だった作品を数本借りました。よかったのは、海洋パニックアクションの『ジャガーノート』。豪華客船に仕掛けられた爆弾を処理する爆発物処理班のお話。これこそが、まさに映画通のための一本かもしれません。若い人だとこの映画は楽しめないんじゃないかと。『アバター』を最初の20分で飽きてやめてしまうくらいにアクション映画に食傷した私くらいの境地に到達してようやく、爆弾内部の配線の、赤を切るか? 青を切るか? なんて、もういまどきコントでもやらないくらいにベタなシーンが、一周回っておもしろく感じられるんです。
ラストがあっさりしてるのもいいですね。いまのアクション映画って、カタがついてから、その一年後、みたいなシーンがあって、しつこい。アクションもので後日談なんかどうでもいい。
ただ、この発掘良品という企画、ほとんど洋画ばっかりなんですよね。邦画にも埋もれた良作があるはずなので、できればそちらのほうも企画していただければと。