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増税前の駆け込み消費とゲームに向いてない私

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。みなさん、駆け込んでますか? 消費税増税前に駆け込んじゃってますか? 日本中、駆け込みフィーバーです。電車に駆け込み乗車する人も増えたとか増えてないとか(増えてない)
 でも、駆け込み結婚式はホントに増えたそうですね。この1月から3月、結婚式場やホテルでの結婚式予約は例年より多かったとの報道がありました。
 さすがに駆け込み葬儀は無理ですか。葬儀屋さんが「増税前にイクのがおトク!」なんて宣伝したら不謹慎ですよねえ。増税前にイクとか、風俗店じゃないんだから。(そんなこといってるヤツがいちばん不謹慎?)
 もともと高額商品の購入予定がない私はほぼ静観です。踊らされませんよ。トイレットペーパーが安売りしてたんで、ひとつ買ったくらい。
 なお、反社会学講座のサイトにある著書一覧の値段を内税から外税に変えました。そうだ増税前のこの機会に、まだお持ちでないパオロの本を駆け込みでまとめ買いしておこう、なーんてことには……ならないか。
 私はしばらくぶりにゲームソフトを買いました。おくればせながら『逆転裁判5』。増税とは無関係です。中古がだいぶ安くなってたもので。
 ゲームは嫌いではないのですが、20代のころにさまざまなジャンルのゲームをやってみた結果、プレーヤーとしての才能がないことに気づきました。
 しばしば「マリオさん」とまちがえて呼ばれてしまう私ですが、スーパーマリオはもっとも苦手なゲームです。ジャンプの間合いがはかれません。敵の上に乗ろうとして、敵の前に着地してやられてしまいます。
 RPGは序盤、何度もスライムと戦う段階で、もうめんどくさくなって飽きます。
 だから、4、5日から1週間程度没頭して終わる、ちょうどいいボリュームの逆転裁判シリーズが、唯一、長年ハマってるゲームなんです。DSも3DSも、逆転裁判やりたさに買いました。
 『5』もけっこう楽しめました。以前のようなアクの強いキャラが出てこないのでプレイ後の印象がやや薄いけど、これだけよくできてれば文句はありません。
 ところで、『ダンガンロンパ』ってゲーム、逆転裁判っぽいニオイがして前からちょっと気になってたんですけど、おもしろいんですかね? おもしろいなら増税前に駆け込みでPSVITA買っちゃうか。あ、踊らされてる?
[ 2014/03/23 18:14 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)

もろもろおしらせ、そして、この春、大学生になる人へ

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。
 まずは、3月5日付記事の続報から。最新の家計調査では、どうやら水戸が納豆消費全国トップの座を数年ぶりに奪還したもよう。おめでとうございます。ちなみに私は、納豆を食べるとおしっこが臭くなります。

 さて、近現代文化史の真実を解き明かすマシンガントーク(しゃべってないけど)「むかしはよかったね」連載中の『新潮45』4月号発売中です。
 今回のネタはまた趣向を変えまして、下戸のアイテム、コーラとウーロン茶。なんだこんなの雑学じゃねえか、ネットでちゃちゃっと調べれば書けるじゃねえかというかたもいるかもしれませんけど、そうですか? 私の場合、過去の新聞雑誌記事や書籍からの情報を大量に参照してネタを集め、話を組み立てていますので、ネットにはない情報もかなり含まれてるはずです。あとからネットを検索すると、ネットの情報は薄いなあとがっかりすることがほとんどです。

 もうすぐ4月です。この4月から大学に行くんだけど、学問なんて雑学とどこがちがうんだ、みたいに思ってる新入生もいることでしょう。まあたしかに、大学入試問題までは、雑学で解けないこともないから、そう思うのもむりはありません。
 私は、雑学と学問、雑学とジャーナリズムには、はっきりとした違いがあると考えてます(私は自分のやってる仕事を、学問とジャーナリズムの要素をエンターテインメント的な文章に落とし込む作業と考えてます。純然たる学問ではありません)
 大学一年生にもわかるよう、私なりに説明すると、それは掘りかたの差です。雑学マニアは、「なになには、なになにだ」という表面的な事実を知れば満足してしまいます。それ以上掘ろうとはしません。
 加えて、雑学マニアは疑問を持たない。「なぜだろう」とは考えない。「なぜ」を考えて掘っていくのが、学問、あるいはジャーナリズムです。
 大学でレポートを書くときは、ネットで調べた雑学を並べるだけではダメです。必ず、自分なりの問題点・疑問点をみつけて、掘ってください。たとえ、掘る場所の見当をまちがえていて、なにも出なかった、的外れな結論しか出なかったとしても、自分なりの疑問点をみつけて掘ったあとが見えれば、私ならそのレポートに高評価をくだします。残念ながら、私は講師でも教授でもありませんけど。

 たとえば今回の私の原稿のコーラネタを例にとりましょう。ネットを検索してみると、「戦前の日本でコーラが普及しなかったのは、クスリくさいのが日本人にあわなかったからだ」みたいな記述がけっこうみつかります。
 これはネットが誕生する以前からいわれていたことですが、よく考えると論理的におかしいんです。なぜ、みなさんこのヘンな説明に納得してしまうのでしょうか。
 コーラをクスリくさいと思うには、少なくとも一度はコーラを飲まなければなりません。ところが、戦前の日本ではそもそもコーラ自体を飲んだことがある人がとても少なかったんです。飲んだことないものを、クスリくさいから嫌い、と思うわけがありません。それに、実際飲んでいた芥川龍之介などは、けっこう気にいってたようで、クスリくさいなんていってません。
 しかも、戦後に爆発的にコーラが普及した経緯を見れば、日本人はコーラが大好きだったことは明らかです。戦争に負けた途端に日本人の味の好みが急激に変わったはずもない。つまりもともと日本人はコーラを受け入れる舌を持っていたことになります。
 ということは、戦前の日本で普及しなかったのには、なんかべつに理由があるにちがいない、と掘っていったところ、戦後の雑誌に載っていた、清涼飲料業者の座談会記事に、そのべつの理由らしきことが書かれてました。なぜ戦前の日本でコーラが流行らず、飲み物といえばサイダーとラムネばかりだったのか。その理由は、雑誌記事をお読みください(ひっぱるなあ)

 そしてもう一点。めんどうでも引用元の参考文献に目を通すこと。これも雑学マニアがやらないことです。芥川龍之介が佐佐木茂索宛てに出した手紙にコカコーラが出てくる、というネタはネットを検索するとたくさんひっかかりますが、そのネタを書いた人のほとんどは、手紙を読んでませんよね。
 読んでください。芥川の書簡集ならたいていの大学図書館にあるはずです。ところで佐佐木ってだれなんだ? 当然そう思うはず。佐佐木の著作も読んでください。佐佐木のインタビュー記事なんかも読むと、例の手紙は芥川がウケ狙いで書いたものだったけど、佐佐木にはハマらなかったなんて事実も見えてきます。
 そうやって表面的な雑学の裏を探っていくのが、学問的なおもしろさです。
 この芥川のコーラの手紙ネタに関しては事実でしたけど、引用元の参考文献を再確認すると、ちまたに流布する雑学知識や常識がまちがいだと判明することもけっこうあります。とりわけ文献が戦前のものだと、引用者が誤読していることも少なくありません。
 明治時代の文献を読むには、漢文と変体仮名の基礎知識が必要です。その知識がないと、明治時代の新聞すら読めません。江戸時代の文献を読むには古文書の知識が必要です。ここまでやるのはかなり大変。
 なにかをきちんと調べるということは、けっこう手間がかかってめんどうです。でも、やればやっただけおもしろい。どこまで深く掘るかは、あなたしだいです。
[ 2014/03/19 10:34 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)

ムカツくネット広告

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。ちかごろもっともムカツくのは、CMerTVとかいうネット広告です。
 なにかのサイトを見ていると、そのサイトの内容にまったく関係のない音楽とか人の声が、突然パソコンのスピーカーから流れてくるんです。
 私が最初にこの広告に遭遇したときは、いきなり人の会話が聞こえてきて、なんなんだ? とびっくりしました。なんかのウイルスか? で、ページをスクロールしていったら、下のほうでテレビコマーシャルみたいな動画が音声付きで勝手に再生されてたんです。
 動画広告そのものはかまわないんだけど、音を出さないでほしいんですよ。パソコンで音楽を再生しながらネットを見ることだってありますよね。そういうとき、いきなりべつの音楽や音声が割り込んできたら、不愉快でしょ。このCMerという会社の社員や社長は、だれもそういう使いかたをしないのでしょうか。
 海外のニュースサイトとかにも動画広告がありますが、マウスカーソルを乗っけると再生がはじまる形式だったりします。日本のネット広告会社には、その程度の技術も気遣いもないってのが残念。これじゃ、お・も・て・な・し、どころか、ご・り・お・し。
 検索したら、この広告だけを表示しないようブロックする設定もできるようなのですが、なんでそんな設定をこっちがしなきゃいけないのか、と余計に腹が立ちます。CMerのほうが、デフォルトで音が出ないように仕様を変更すべきです。
 すでに会社に苦情をいった人もけっこういるんじゃないのかなあ。にもかかわらず、まったくあらためられる様子がないところをみると、おそらくは、音がいきなり出てネットユーザーの注目をひけるから、確実に広告を見てもらえまーすとかいうのをウリにして、広告主から契約をとってる、なんて事情があるんじゃないかと。
 まさかとは思うけど、この会社の社長は自分では、これは画期的なビジネスモデルだ、とかカン違いしてたりして? 私の邪推であってほしいところですが、当たってるとしたら迷惑な話。
[ 2014/03/13 21:22 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)

クイズ名誉毀損!

 さあ、今日からはじまりました、『クイズ名誉毀損!』。
 こんにちは、司会はワタクシ、天地神明に誓って3年前からイタリア人の、パオロ・マッツァリーノでございます。
 さっそく問題。次のうちで、名誉毀損として訴えられる可能性があるのは、どれでしょうか?

 3年前から耳が聞こえるようになった。(佐村河内さん)
 3年前から明治天皇の玄孫になってヘラヘラしていた。(竹田さん)
 3年前から薬物中毒だった。(キヨ&飛鳥さん)
 3年前からまばたきで発電していた。(石原さん)

 視聴者のみなさんも、リモコンのdボタンでご参加ください。正解者のなかから抽選でワニ道楽のお食事券を差し上げます。
 おっと、早くも訴状が届きはじめたようですが、訴状の内容を見ていないのでコメントはいたしかねます。
 次回はスタジオをとび出して、東京地方裁判所から生中継でお送りします。また来週~!

 さて、ここからはちょっとマジメな話。
 「神に誓って」みたいな言葉が重みを持つのは、一神教の宗教を信仰する人にかぎられます。ひとりしかいない神を裏切って見捨てられたら、もう、すがる神がいなくなるんです。大変なことになるんですよ。だから自分のいうことが真実だと訴えたいときに、神に誓って、となるわけです。
 ところが日本には八百万の神がいます。「天地神明に誓って」は、すべての神に誓うという意味だそうですが、そんなたいそれたことができるわけがない。絶対無理なことを誓うようなヤツは逆に信用できません。
 そもそも、日本人の神に対する態度は「捨てる神あれば拾う神あり」ってことわざが象徴しています。日本人にとって、神を裏切ったり、神にウソついたり背いたりすることは日常茶飯事なんです。ある神さまに捨てられたって、べつの神さまに拾ってもらえることが保証されてるのだから、こんな便利な信仰システムはありません。
 だから、もしも日本人がなにかを約束するとき、天地神明だの神だのを持ち出してきたら、必ずその人に「あなたの信仰する宗教はなんですか?」とたずねるべきです。そこがあいまいなら、その人の約束や誓いもまた、あやふやなものでしかないという証拠です。
 日本人の場合、「じっちゃんの名にかけて!」のほうがまだ信用できます。じっちゃんなら生物学上は2人です。ばあちゃんが何度も結婚してたなど、家系の事情によっては義理のじっちゃんが発生する可能性はがありますが、それにしたって800万人ってことはないでしょ。
[ 2014/03/08 22:41 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)

家計調査は小ネタの宝庫

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。ビットコインでの原稿料支払いはおことわりします。
 あー、税金の申告書なんか書いてたらアタマ痛くなった。いや、ちがうか。カゼひいたかな?

 テレビ見てたら、北海道の酪農の町で、牛乳の消費を増やすため、牛乳で乾杯する条例を作ったとかいうニュースをやってました。
 それで思い出したのですが、北海道の牛乳消費って、全国的に見てもかなり下位なんですよね。でもチーズとバターは全国トップクラス。北海道の人は乳製品はよく食べるけど、牛乳はあまり飲まないらしい。
 テレビでときおり、○○の消費量は何県が1位、とかやってますけど、それはたいてい、総務省統計局の家計調査が元ネタです。正確にいうと、各都道府県の県庁所在地での調査になります。だからさっきの牛乳消費データも正確には北海道でなく札幌のものです。
 納豆の消費1位は水戸ではありません。福島が1位。水戸は3位でした。
 アイスクリームの消費最下位が那覇ってのも、イメージとちがうなあ。暑いところほどアイスを食べるってわけでもないようです。
 喫茶代は名古屋と岐阜が上位というのは、喫茶店大好きな県として有名ですから納得なんですが、岐阜は和・洋・中、いずれの外食費でもトップの三冠王。岐阜の人は喫茶店だけでなく、外食全般が好きなんですね。
 調査結果のほとんどが総務省統計局のサイトにエクセルデータで公開されてますので、ご覧になってみてください。先入観を覆される意外な発見がたくさんありますよ。
[ 2014/03/05 19:49 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
つっこみ力

読むワイドショー

思考の憑きもの

サラリーマン生態100年史

偽善のトリセツ

歴史の「普通」ってなんですか?

世間を渡る読書術

会社苦いかしょっぱいか

みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

偽善のすすめ

13歳からの反社会学(文庫)

ザ・世のなか力

怒る!日本文化論

日本列島プチ改造論(文庫)

パオロ・マッツァリーノの日本史漫談

コドモダマシ(文庫)

13歳からの反社会学

続・反社会学講座(文庫)

日本列島プチ改造論

コドモダマシ

反社会学講座(文庫)

つっこみ力

反社会学の不埒な研究報告