こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。無印良品のレトルトカレーがうまいので、たまに買いに行くのですが、無印良品の男性店員って、なんとなくみんなおネエっぽく見えるのは……気のせい?
相変わらず調査のために古新聞古雑誌ばかり読んでます。テレビ番組表の雑誌以外は、新聞雑誌をまったく定期購読していないもので気づくのが遅れましたが、朝日新聞5月29日付の「論壇委員が選ぶ今月の3点」で、小熊英二さんが私の新潮45連載「むかしはよかったね?」第6回をあげてくださったようです。まちがいだらけの自警団の回ですね。ありがとうございます。
自分では毎回、超絶的なクオリティの原稿をお届けしてるつもりなのですが、あんまり反響がないんで、だれも読んでないのかと思ってました。
先週か先々週あたりだったかな? 電車の中吊り広告を見ていたら、百歳長寿の秘密をビッグデータであきらかにしたとかいう週刊誌記事に目がとまりました。そんな研究があったのか、と興味を持って本屋で立ち読みしたら、案の定というか、ビッグデータどころか、ゴミデータの寄せ集めでした。
記事には、20パーセントの百歳長寿は酒を飲んでいる、やはり酒は百薬の長だった、なんて書いてあります。
ちがうでしょ。そのデータが正しいのなら、80パーセントの健康なご長寿は酒を飲んでないってことだから、酒は飲まないほうが圧倒的に健康で長生きできるという結論になるでしょうが。
そのデータはたぶん、私も『続・反社会学講座』で取りあげたことがある
このデータじゃないかと思います。
これによれば、じいさんの45パーセント、ばあさんの78パーセントは若いころから酒を飲んでなかったようです。以前飲んでた人も歳とってからはやめた人が大半を占めます。100まで生きたかったら、酒もたばこもやらないことです。ただ、鯨飲して早死にするのも、べつに悪い人生ではないですよ。そこは個人の価値観による選択ですから。
書店をうろついてたら、古市憲寿さんの『だから日本はズレている』という新書が山積みにされてました。人気者だな。パラパラ立ち読みすると、なかなか楽しそうなことが書いてあります。
なんでも、本当は書名を「おじさんの罪」としたかったけど、版元のおじさんたちに反対されてボツになったとのこと。
ああ、その書名にしたかった気持ちはわかります。いまのよのなかを作ったのもおじさんだけど、よのなかをダメにしたのもおじさんなんだから。
私は若いころからおじさんが嫌いで、自分がおじさんになればおじさんにシンパシーを抱くようになるのかなあ、なんて考えてたけど、自分がおじさんになったら、ますますおじさんが嫌いになりました。
そしたら、本屋で急に思い出しました。そうだ私、以前に古市さんの本をもらったことがあるんです。『希望難民ご一行様』って新書。ご本人にいただいたのでなく、光文社のVERYで連載してたとき、本田由紀さんから私に、ということで献本が光文社の社内をいろいろ経由して届いたのでした。本田さん、古市さん、その節はお礼もいわずにすいません。
古市さんを批判するおじさんもけっこういるのでしょうけど、あんまり気にする必要はないですよ。たぶん、テレビで古市さんを見て批判してるおじさんの2割くらいは、川越シェフとまちがえてると思います。