こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。

いきなりなんの写真かと思われるでしょうけど、私が6年ほど使ってるスピーカーケーブル
(スピーカーとアンプをつなぐもの)です。ベルデンというメーカーの普及品で、たぶん1m250円くらいで買えます。
写真でわかりますかねえ。透明な被覆なので中の線材が見えるんです。片方がメッキされた銀色で、もう片方は、もともとは新品の10円玉と同じきれいな銅色でした。
それが先日、銅色だった線全体が黒っぽく変色してるのに気づきました。よく見ると、黒じゃなくて濃い緑色。えっ、カビ……? のわけないよな、ってことは緑青、サビなのか!? ウソでしょ? 半年くらい前に大掃除したときには気づかなかったのに。
不思議なのは、端子と接続してた先っちょ、空気に触れてたところは、緑じゃなくて普通に茶色くなってるんです。なのに被覆に覆われてる部分全体が数か月で一気に緑色にサビるなんて、そんなことある?
あるんです。ネットで検索したら、ベルデンのケーブルで同じ現象に見舞われたことをブログなどで報告してるかたが何人もいました。
ベルデンといえば、録音スタジオなどでも使われるプロ用のケーブルも作ってるメーカーです。信頼性は高いはずですが、こういう現象が起きるってことは、被覆の材質かなにかに問題があるのかもしれません。
スピーカーケーブルで音が変わるという話は、半分オカルトだと私は思ってます。素材などが異なる線に変えればなんらかの変化はあるでしょう。ただし、その変化は微々たるものなので、ほとんどのひとにはその違いは聞き分けられないはず。音が変わるというのは理論上は正しいけど、実際には聞き分けられず、変わった気がするだけ。
周波数とかを測定してみればわかりますが、耳の位置を数センチ動かすだけで、聞こえる音は変わってるんです。スピーカーの振動板は紙や布でできてます。てことは温度や湿度で微妙に変化してるはずじゃないですか。
つまり厳密にいうと、同じ曲でも毎回聞くたびに音は変わってるんです。でもよっぽど大きな変化がないかぎり、ほとんどのひとは気づきません。だから、半分オカルトってこと。
そんなわけでスピーカーケーブルにこだわりはないのですが、いちばん安い赤黒のヤツは、見た目が毒々しくてイヤなんです。ベルデンのケーブルは、銀と銅色がきれいという、見た目で選びました。
ケーブルがサビていても、急激に音が劣化したとは思えないので、べつにこのままでもいいんですけど、見た目が汚くなってしまったのは残念です。近々新しいのに交換しようかと考えてます。
ところで余談ですが、私らの世代だと、銅の緑青は毒だと、こどもの頃に教わった記憶があるんです。私もずっとそれが常識だと思ってました。でもこれ、いまは正式に否定されてるんですね。緑青は人体に有害ではないのだそうです。いまだに毒だと誤解してる中高年のひと、けっこう多いかも。