こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。バカこそ東大に行けっていうけど、近頃は利口な子がみんな普通に東大目指すようになったし、アジア諸国からも優秀な学生がたくさん来てるから、バカがすべり込める枠は、もうないんじゃないの?
というわけで、ドラマの前作も観てないし、原作も未読の私が予備知識ほぼゼロでいきなり『ドラゴン桜』の続編初回を観てみたら……始まって20分経っても陳腐なエピソードにありきたりなキャラばかりで、おもしろくなる気配がまったくない。早く東大目指せよ。この時点で興味をなくして観るのをやめました。プロデューサーや監督はこの脚本で満足してるのかな?
今期のドラマで私が2話以降も観てるのは、
『大豆田とわ子と三人の元夫』
『イチケイのカラス』
『コタローは1人暮らし』
『理想のオトコ』
の4本です。
待ちかねた坂元さんの連ドラ脚本復帰作『大豆田とわ子』は、洒落た都会派コメディの快作。会話の量だけでも尋常じゃないのに、ナレーションによるツッコミが入りまくり(伊藤沙莉さんを起用したキャスティングのセンス!)で、ヘタするとうるさいなあ、となってしまうところを、一瞬たりとも目が離せない仕上がりになってるんだから、もう、かないません。
で深夜にはボーナスステージとして、坂元脚本の『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』の再放送がありまして(関東ローカルかな?)、私は初見だったんですが、これにもやられました。たしか月9だったから、普通のラブストーリーだろうと思ってパスしてたんだけど、並みのラブストーリーとは格が違う。イヤなヤツだらけのよのなかで、まっとうに生きようとするひとたちのつらさが、こころに染みます。
弁護士のドラマがあって、検事のドラマもあったから、裁判官のドラマもいつかやるだろうね、くらいの期待度だった『イチケイのカラス』は、笑いにくるみながらもけっこう真正面から、法の正義とは何かという難題を毎回突きつけてきます。客観的事実を曲げずに法と人情とのバランスをどう取るか。意外と芯は硬派です。
黒木華さんが演じるキャラは原作では男性なんですね。原作は男性ばかりで絵面が地味なので、女性に変えて正解じゃないでしょうか。竹野内さんのキャラも原作のルックスはおいでやす小田さんみたいなんで、だいぶ変えてますが。
あとの2本は30分枠のミニドラマ。自慢じゃないけど、って自慢しますけど、私は2009年刊の『日本列島プチ改造論』で、短いケータイ小説が流行るご時世に、1時間以上のテレビ番組は長すぎる、むかしのテレビのように、30分枠のドラマやバラエティを復活すべきだと提言しました。ようやくテレビ局のひとたちも気づいたようで、去年あたりから気軽に観られる30分ドラマが増えてきたようで。
『コタローは1人暮らし』は初回を観て、まあまあおもしろいけど、どういう方向へ転がるんだ? と気になって原作を読んだら、不覚にも泣きそうになりました。5歳児が風呂なしアパートでひとり暮らしをするってありえないおもしろ設定なのですが、扱ってるテーマはものすごくシリアスなんです。主役の漫画家のキャラが薄いのが難なので、濃いめの脇役キャラたちをうまく使って盛り上げていただきたい。
『理想のオトコ』は話自体にはそれほど興味がありません。蓮佛美沙子さんをだいぶ前に『ランチのアッコちゃん』で見て、どこにでもいそうな働く女性をイヤミなく演じられるいい女優さんだなと感心してから、このひと、もっと使えばいいのにと思ってたんです。『理想のオトコ』では彼女の普通のイメージがうまく役柄にはまってます。
あと、30分枠のバラエティのおすすめが、以前特番で何度かやった『爆笑!ターンテーブル』。ネタ番組やコント番組も、30分じゃもの足りないかな、ってくらいで、じつはちょうどよかったりします。
[ 2021/04/29 18:03 ]
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