こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。オリンピック開催の是非をめぐる意見がわかれてますけども、オリンピックやスポーツが好きか嫌いかによって、意見がかなりわかれるのは当然のことです。
スポーツ嫌いなヤツが勝手なことぬかすな、って意見は、普通のプロスポーツに関してなら通りますが、オリンピックの場合は莫大な国家予算を費やすのだから、日本で生活し税金を納めてる者全員に賛否を述べる権利があります。スポーツやオリンピックに興味のない者の意見を無視してはいけません。
そんなわけで、スポーツにもオリンピックにもまったく興味のない私から、今回だけでなく、もうオリンピックそのものをやめる時期に来てるのではないかという大胆な提言をします。
ちなみにですが、私はここ2年ほど、スポーツをまったく観てません。以前は少し観てました。アメフトのNFLとツールドフランスのテレビ中継です。
ツールドフランスはチーム間の駆け引きのおもしろさはもちろんのこと、ヨーロッパの美しい風景も楽しみだったのですが、数年前に有料スポーツチャンネルが権利を独占して、NHKBSでの放送がなくなってから観てません。
NFLは20年以上前から観てたのですが、ここ数年は退屈に思えてきて、ついに昨シーズンはスーパーボウルも観ませんでした。
プロ野球選手で知ってるのは自分と同年代の桑田・清原くらいまでで、それ以降のひとはほとんど知りません。
オリンピックとサッカーワールドカップのテレビ中継は一度も観たことがありません。
ついに私の人生におけるスポーツ観戦の時間がゼロになりましたけど、何の苦痛もありません。自分にとってスポーツは、あってもなくてもどうでもいいものなのだと確認できました。
ということで、オリンピック廃止論に戻りますが、いまや、世界陸上、世界水泳、世界卓球、サッカーワールドカップなど、それぞれの競技で世界大会をしょっちゅうやってますよね。だったらオリンピックまでやる必要あるの?
それに、そもそもすべての競技を同時に同じ地域でやるのは不合理極まりない。それぞれの競技ごとに、選手がベストのパフォーマンスを発揮できる季節や地域があるはずなんだから、アスリートファーストを考えたら、バラバラにやるべきです。
オリンピックを真夏にやるのは、観客が夏休みで来やすいという都合を考慮した、観客ファーストの考えかたです。だから真夏の日本でマラソンをやるなんて、殺人的苦行みたいなことにもなるわけだし。
オリンピックは規模がデカくなりすぎたから、経済大国でしか開催できなくなってしまったし、大国ですら、カネと手間がかかりすぎるから立候補をしたがらないじゃないですか。競技別の世界大会なら、大規模な会場を何個も同時におさえたり建設したりする必要がなくなるから、小さな国でも開催できます。なんなら、ある競技に特化した競技場を整備して、毎回わが国でやりませんかと誘致したりとか、規模を小さくすることで、新たな可能性がいろいろと開けてくるんじゃないですか。
国際協調、世界平和のためなんて理念はとっくのむかしに、絵に描いたもちになっちゃってます。早くも1950年代には、オリンピックが政治に振り回される状況が批判されてました。2016年に当ブログに書きましたけど(
スポーツと国歌)、60、70年代には、オリンピックを政治と切り離すために、国旗・国歌の使用をやめようという議論をIOCが大真面目にやってました。しかし当時は、独立したばかりのアフリカ諸国が世界に存在を誇示したいからと、国旗・国歌の使用を強く主張したのです。
でもさすがにもう、オリンピックで国の威信を示すなんて時代ではないでしょ。
スポーツは、好きなひとが好きな種目をやって、好きなひとが観て楽しむ。そういうあたりまえの姿になってほしい。スポーツに興味のない者までむりやり引きこまないでくださいよ。