こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。
日本の戸籍にも、ミドルネームを正式に導入することを検討してみてはいかがでしょう、というのが本日の提案です。
そんなことして、なんの意味があるのか? おおいにあるんです。いわゆるキラキラネーム問題を解決できるかもしれません。
こどもに読みにくい名前をつける習慣は、日本では鎌倉時代からあったわけで伝統といえなくもないのですが、近年、英語のような名前に漢字をムリヤリ当てるものなどが増えてきました。親はいいけど、学校の先生が読めなくて困るし、なによりこども本人がイヤな思いをすることもあるんじゃないか、などと世間の風当たりはかなり強い。
こないだネットの芸能ニュースで読みました。お笑い芸人のゴージャスさんが、生まれた娘にエスメラルダという名前をつけたいけれどムリだろうなと悩んでるそうです。ほとんどの人にとってどうでもいいニュースですが、じつは、同じ悩みを持つ親御さんは、意外と多いんじゃないかと思うんですよ。本当は、こどもにちょっと変わった名前をつけてみたいけど、世間体を考えると、あたりさわりのない名前をつけるしかないか……。
戸籍にミドルネームが使えるようになれば、その悩みは解消します。名前をふたつつけられるようになりますから、正式な名前は普通の読みかたをするオーソドックスなもの――たとえば花子とつけます。で、ミドルネームをエスメラルダにするんです。戸籍上の名前が「山田エスメラルダ花子」みたいになるわけです。
学校では山田花子を使い、家ではエスメラルダと呼べばいい。先生も困らないし、親も満足です。もしもこどもが大きくなって、エスメラルダなんて名前は恥ずかしいと思ったら、花子だけを名乗ることができますから、ヘンな名前をつけられた、と親が恨まれることもありません。もちろん、本人が気に入れば、ミドルネームのほうを普段から通称として使ってもいいわけで。
これは決して、日本文化の破壊でも侮辱でもありません。むかしの武士や武将は、「いみな」などのミドルネームを持ってたのですから。源九郎義経とか、大岡越前守忠相みたいなね。大岡忠相が本当の名前ですが、どちらかというとミドルネームの大岡越前のほうが有名でよく使われます。だからといって、日本文化を愚弄してる、と批判する人はいません。
むしろミドルネームの導入こそが、日本の伝統文化の復権になりますし、こどもにヘンな名前をつけたがるむかしからの日本人の嗜好にも合致します。
正式な名前を常識的なものにしておけば、誰にはばかることもなく、ミドルネームでおもいっきり趣味に走ることができるんです。こどもの名前を考える楽しみが2倍になりますね。
なんだったら、これから生まれるこどもばかりでなく、オトナが自分で申請してミドルネームをつけられることにしてもいいかもしれません。
[ 2015/05/05 22:25 ]
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