こんにちは、ドクターPこと、パオロ・マッツァリーノです。
いやあ、恐れていたことがおきてしまったようです。以前ツイッターで、自民党が勉強会とは名ばかりのポンコツ養成ゼミを開いていることに警鐘を鳴らしたのですが、ゼミに参加していたと思われる議員のひとりが、重度の「昔はよかった病」を発症してしまったようなのです。
その患者は安保法案に反対する人たちの言動を、戦後教育のせいだと決めつける発言をネットに書きこんだのです。
この患者が戦前教育を受けた80過ぎのおじいちゃんなら、そういう考えを持つのも仕方のないところ。しかし、患者は30代の若手なんです。戦後生まれで戦前の教育のことなどなにも知らないくせに、戦後教育が悪いとどうして決めつけられるのでしょう?
自分も他のみんなと一緒に戦後教育を受けたはずなのに、どういうきっかけで、他のみんなは洗脳されて、自分だけは洗脳をまぬがれたと思うようになったのでしょう?
これらの症例は、昔はよかった病患者には、決して珍しいものではありません。自分も戦後教育を受け、戦後民主主義の恩恵をたっぷり受けて育っていながら、戦後教育と戦後民主主義のせいで日本はダメになったという妄想にとらわれてしまう患者は少なくありません。しかもこの病気は、いったんかかるとなかなか完治しにくいことで知られています。近現代史研究家のあいだでは、これを難病指定するよう、厚生労働省に働きかけることも検討されています。
しかし、あきらめるのはまだ早い。ドクターPにおまかせください。ワタシ、失敗しないので。
先日発売されたばかりの新潮新書『「昔はよかった」病』という本が解毒剤になります。日本社会も日本人の行動も、ここ数百年ほとんど変わっていないことを歴史的に証明していますので、一読するだけで症状がかなり緩和されることでしょう。
この本を国会議員のみなさん全員でお読みになれば、勉強会みたいなことにムダな時間を割く必要もなくなります。値段の安い新書ですので、ちょっとあまってしまった文書通信交通費などでお買い求めいただけるのではないかと期待しております。グラッチェ。
[ 2015/08/02 21:53 ]
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