こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。しばらくブログやツイッターを更新しなかったのですが、たいした理由はありません。愛人とダミーと海外旅行してただけです。
ホントは、私が原稿の締めきり日をまちがえてまして、あわてて原稿書いてたんですけどね。これがなんの原稿かは、近日中にお知らせできると思います。
世間ではいろいろありましたけど、やはり学歴詐称仲間(?)ということでショーンKさんについてひとことふたこと。
ショーンさん本人についての私の評価は、単なるホラ吹き。それ以上でも以下でもない。私はそれよりも、彼を擁護する人たちの論理がものすごくゆがんていることを危惧してます。
ショーンさんと一緒に番組をやる予定だった市川さんがブログで、自分の卒業証書の画像はあとで公開します、みたいな皮肉を書いたら、バカにするなと苦情が来て、そのコメントを削除したそうです。
その程度の皮肉や茶目っ気もダメなの? 市川さんはある意味、今回一番の被害者といってもいい立場なわけで、それくらいの皮肉やジョークをいう権利はあるでしょ。それもダメっていう人たちこそおそろしい。言葉狩りならぬ笑い狩りです。
日本は笑いにキビシすぎますよね。笑いの許容度、寛容度という点では、日本はアメリカよりも北朝鮮にずうっと近い。
アメリカでは女芸人のティナ・フェイさんが、ごりごりの保守派女性議員サラ・ペイリンさんを小馬鹿にしたようなモノマネをテレビでやってますけど、もし日本の女芸人が自民党の女性議員のモノマネをテレビでやったら、電波止めるぞと脅されます。
タレントやコメンテーターのなかに、ショーンさんは実力がある人だから復帰してほしいとかいってる人がいたのには驚きました。彼の実力ってなんなの? 経済学・経営学に関する実力があれば大学卒業してるでしょ。実力があればMBA取れるでしょ。
でも、なにひとつ成し遂げてない。中途半端。今回の件によって、彼に経済・経営分野の実力がないことが証明されたんです。ググればわかるような薄い知識や、一般論・原則論、白でも黒でもないことを、いい声でもっともらしくしゃべるというテクニックは実力といえるのでしょうか?
ベッキーさんだったら、MCとしての実力があるから復帰してほしい、という声があるのは理解できます。彼女にはたしかにその能力があったことを私も認めます。でもショーンさんの場合、カラクリが見えてしまったのだから、復帰してなにをしゃべっても、おいおい、またあいつ、いい声で浅~いことをいってるぞ、と失笑しか起きないでしょう。
彼はいい人だからと人柄を擁護する人たちの考えかたにも賛同できません。いい人なら学歴詐称しても許されるの? そんな理屈が世間でまかり通るなら、こどもたちはだれも勉強しなくなりますよ。苦労して勉強して一流大学に行くことと、ウソでごまかすことの価値が同等ということになるのですから。
むしろショーンさんに関しては、芸能界の周囲の人たちから、いい人エピソードしか出てこないところこそが問題なんです。普通は失敗談とか性格悪いエピソードとかも出てくるものです。それがないのが不自然すぎます。
だれにだって、自分をよく見せたい、他人によく思われたいという願望はありますし、いい人でいようと努力します。でも人間はだれしもいい面と悪い面を合わせ持っています。善人であり続けることは自分を偽ることだから、それに耐えられず、グチをこぼしたり、他人の悪口をいったりしてしまうものなんです。それこそいい人イメージで売っていた乙武さんやベッキーさんだって、ときには毒吐いてましたよね。それが普通なんです。
ところがまれに、自分をよく見せることに一切の躊躇がない人がいます。ウソをつくことへの罪悪感がないので、他人の前でいい人を演じ続けることができるんです。
まあ、ショーンさんは社会に害をなすような人ではないのかもしれないけど、あのいい人ぶりを額面どおりに受け取って擁護してる人たちは、本物の悪人にもコロッとダマされる可能性が高いので危ないかな、と。
[ 2016/03/27 12:55 ]
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