こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。
冬ドラマの感想。悔やまれるのは、『カルテット』を見逃してしまったこと。評判聞いてると、絶対おもしろいヤツ。しかも途中から見ちゃダメなヤツ。脚本が坂本裕二さんだったんですよね。やっぱりドラマは脚本家をチェックしておくべきでした。
『A LIFE』の地味な秀作という評価は最後まで変わらず。薄味なのは、単純にキャストが多すぎたから。橋部さんの脚本による医療ものなら、オリジナルじゃないけど『フラジャイル』が傑作でした。なんであれ、評判にならなかったんだろう?
ミステリでは、NHKの『スリル!』。蒔田さん、久々です。『ハードナッツ』は、えー、もう4年前ですか。
私は、本格派のミステリは活字のためのエンターテインメントだと思ってます。活字だからこそ可能な叙述トリックに、あっ、そうだったのかっ! とダマされるのが楽しいんです。探偵がトリックを長々と説明する場面は活字なら10ページ続いても平気だけど、映像で10分やられたらキツいでしょ。映像化するなら、ゆるくてキャラの立ったバカミスにかぎります。
『スリル!』は地上波とBSで同時に放送されて、キャストは共通なんだけど、地上波の『赤』では警視庁庶務課のヒトミが主役、BSの『黒』は弁護士の白井が主役という実験的な作りでした。でも、父親が詐欺師でも警視庁の職員になれるんですかね? 庶務課ならいいのかな。
NHKはマジメなようでいて、じつは実験的な番組をけっこうやってるんです。どちらかというと民放のほうが、視聴率を気にしすぎて、無難なものばかり作ってる気がします。
無難でないドラマの代表が、先日の再放送で見た『奇跡の人』。ぶっとびましたよ。最低男の最高のストーリーに、魂をわしづかみされて振り回されました。一部で絶賛されてたのも納得です。ヘレンケラーの物語をロックにしちまうなんて、どこからそんな発想が出てくるんですか。よくぞこの企画を通したなNHK。しかも主役は銀杏ボーイズの峯田さん。民放だったら企画自体が通ったとしても、主役はべつの人、きっとジャニーズとかにさせられてますよ。
最初からずっと見てきたファンとしていわせてもらうと、『相棒』はそろそろ真剣に幕引きを考えるべきです。私は来シーズンは見ないかもしれません。
武田鉄矢さんで『水戸黄門』が復活すると話題になってますけど、まったく期待してません。たぶん、モノマネ芸人の視聴率は100パーセントでしょう。それより、4月からBSジャパンで『木枯し紋次郎』の再放送がはじまるようなので、まだ見たことがないかたは、ぜひこの機会に。人情なし。感動なし。ハッピーエンドなし。苦い後味の話ばかりの異色の時代劇に衝撃を受けると思います。原作の笹沢佐保は、紋次郎シリーズ以外にも股旅ものの短編をたくさん書いてますが、主人公がたいてい最後に死にますからね。
[ 2017/03/29 21:11 ]
未分類 |
TB(-) |
CM(-)