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算数ドリルを実写化したら

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。『過保護のカホコ』、9日放送分の録画を見たのですが、本筋と全然関係ないところで笑ってしまいました。それは、カホコが小学生の勉強をみてやる場面で映し出された算数ドリルの問題です。

「くるまとバイクが合わせて9台あります。タイヤの数は全部で26本です。くるまとバイクはそれぞれ何台あるでしょうか?」

 現実の人生で、こんな奇妙な計算が必要とされるシチュエーションって、ある?
 さまざまな可能性を検討してみました。おそらくもっともありえそうな舞台はスクラップ業者か、中古車販売業だろうってことで、こんなストーリーを考えました。

「田中くん、ちょっといいかな」
「あっ、社長、おつかれさまです。なんでしょうか?」
「いや、じつはね、くるまとバイクの在庫が合わせて9台あるんだ。タイヤの数は全部で26本なんだけど、くるまとバイクはそれぞれ何台あるのかな」
「わかりました、倉庫で数えて、すぐに報告します」
「すまん、それがいま、倉庫に入れないんだ。連日の猛暑で金属のドアが歪んで開かなくなってしまってね」
「マジですか? 異常気象ハンパないですね。じゃあ、パソコンで在庫確認します」
「パソコンは、ついさっきハッカーの攻撃を受けて使えなくなったのだ」
「ウソでしょ? うちの会社、ヤバくないですか?」
「その〝ヤバい〟は、いい意味? それとも悪い意味?」
「悪い意味に決まってるじゃないですか。いまの状況で、うちの会社にリスペクトすべきところがあるなら教えてください」
「そんなことより、くるまとバイクはそれぞれ何台あるか、計算してくれよ。頼むよ」
「そこまでいうなら計算しますけど……くるまが4台、バイクが5台ですね」
「そうか、ありがとう。きみのおかげで助かったよ」
「お言葉ですが社長、そもそも質問がなんかヘンじゃないですか? バイクとくるまが9台で、タイヤの数が26本って、そこまでしつこく数えてるのに、バイクとくるまがそれぞれ何台か数えてないって、ありえなくないですか?」
「ありえないことが起きるのが、人生だよ」
「社長が薄っぺらい教訓をドヤ顔でいう会社って、やっぱヤバいかも」
[ 2017/08/14 20:13 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
つっこみ力

読むワイドショー

思考の憑きもの

サラリーマン生態100年史

偽善のトリセツ

歴史の「普通」ってなんですか?

世間を渡る読書術

会社苦いかしょっぱいか

みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

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13歳からの反社会学(文庫)

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