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夏・秋ドラマ評

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。テレビの選挙特番なんか見てもおもしろくないし、雨でレンタル屋にも行けないとなれば、録画しといた映画やドラマを見るにかぎります。
 夏ドラマでよかったのは『コードブルー』でした。仕事が一人前にできるようになり、部下を指導する立場についた世代を主役にした点をなにより評価します。成長よりも結果を求められる中堅の悩みや葛藤をきちんと描いていて、医療ものとしても、人間ドラマとしても見応えがありました。ここ数年のマンガやドラマで目立った、新人が壁に当たって乗り越え成長していく、ってパターンは飽きました。同じような話を使い回して違う業界でやってるだけみたいで。

 はじまったばかりの秋ドラマですが、今期は豊作ですね。
 1、2話を見た時点でのベストは、ダントツで『監獄のお姫さま』。私はなるべく事前に詳しい情報を仕入れずに見るようにしてるのですが、それで正解。初回はハイスピードで進む誘拐事件から、彼女たちの目的はなんなのか、なんでお姫さまなのかなど、提示されたナゾが次々にほどけてきて、期待値をマックスに上げたところで次回に続く。もう次回を見ないわけにはいかないじゃない。うますぎる。連ドラとして理想的な流れです。
 2位は『先に生まれただけの僕』。オトナ目線からの学園ものという趣向なので、学園ドラマにこそばゆさを感じているオトナにおすすめできます。初回のラスト、思いっきり感動的な説得で盛り上げといて、足をすくってひっくり返すというオチに爆笑しました。主人公をスーパーヒーローにしないのがいいですね。そこそこ仕事ができるつもりでいた彼がいきなり鼻っ柱を折られるところからスタートしましたが、これから自分の経験を武器にどう立ち向かうのか。がんばれ中堅。
 3位は『コウノドリ』。前シーズンが秀作だったがゆえに自分のなかでハードルが上がってたのか、初回は物足りなさをおぼえましたが、2話で持ち直してます。ドラマで恒例になっちゃった初回延長ってのはもうやめて、普通にはじめましょうよ。
 4位『刑事ゆがみ』。こちらは逆に、キャラも立っててテンポもよかった初回に比べ、2話で急につまらなくなったのが心配です。雰囲気は好きなんだけどなあ。
 5位『奥様は、取り扱い注意』。これは評価が難しい。私は綾瀬はるかさんのファンなんで、アクションコメディとして楽しめましたけど、話にひねりや意外性がまったくないのが最大の欠点で、ミステリとしては0点です。あと、暴力の罠にもはまっちゃってます。暴力での解決を正当化するためには、「絶対悪」か「巨悪」を用意しないといけないんです。だから相手が絶対悪ではない3話目で、さっそく暴力の矛盾が出て、つまらなくなったでしょ。ご町内のトラブルを暴力で解決したら弱いものいじめになっちゃうんですよ。
 そして今年ついに、私は『相棒』からの卒業を決心しました。いちおう、今シーズンも初回だけはチェックしましたが、途中で、もういいや、と。シーズン5くらいまではハズレ回がないくらいのおもしろさだったのに。やっぱり私にとっての『相棒』は、右京と亀山なんですよねえ。
[ 2017/10/22 18:04 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
つっこみ力

読むワイドショー

思考の憑きもの

サラリーマン生態100年史

偽善のトリセツ

歴史の「普通」ってなんですか?

世間を渡る読書術

会社苦いかしょっぱいか

みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

偽善のすすめ

13歳からの反社会学(文庫)

ザ・世のなか力

怒る!日本文化論

日本列島プチ改造論(文庫)

パオロ・マッツァリーノの日本史漫談

コドモダマシ(文庫)

13歳からの反社会学

続・反社会学講座(文庫)

日本列島プチ改造論

コドモダマシ

反社会学講座(文庫)

つっこみ力

反社会学の不埒な研究報告