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冬ドラマ序盤の評価ランキング

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。この冬のドラマ、初回・2回時点でのランキングです。
 話題性では、『逃げ恥』で一躍名を上げた脚本家野木亜紀子さんのオリジナル『アンナチュラル』。よくできてます。観て損はありません、が、欠点も少ないけどこのドラマならではの個性や魅力が感じられないので、私の評価ではランク外。
 『逃げ恥』のとき、こんなしっかりした脚本を書く野木さんはマジメな常識人なんだろうな、と想像してたのですが、『アンナチュラル』もやはり、良くも悪くもマジメでした。マジメな脚本をマジメに演出してるから、謎解きもサスペンスも人間関係もユーモアまでもが予定どおりに進行してしまってる。私はもっと裏切られたい。なんなら、クセの強い演出家と組んだほうがおもしろくなりそうな気がするのですが。

 序盤段階での第1位は、『anone』です。なんといっても、独白やナレーションが一切ないのが最高。独白の多いドラマや映画って、よけいなお世話ですね。人間の内面を言葉で説明したいなら小説書けよ、映像作品なら、セリフと行動ですべて表現しなさいよ、と。
 説明がないから、観るものには考える楽しみがあるんです。いったいこの人たちはなにをしようとしてるのか、この物語はどこへ向かおうとしてるのか。寓話のようなストーリーから一気に夢と無縁の現実に引き戻される初回の展開は鮮やかでした。

 2位はなんとビックリ、おおかたの爆死予想を覆した今期の大穴『トドメの接吻』。攻めの姿勢に徹し、B級のトップを狙ったのが勝因です。マンガ原作ドラマが多いなか、マンガよりマンガっぽいオリジナルってところも高評価。ナゾの女、門脇麦さんがヘンな走りかたで追ってくるのは、確信犯的に笑かそうとしてるでしょ。3話で彼女の正体や話の全体像が見えてきたけど、まだまだ攻めの姿勢をゆるめてません。

 3位『99.9』。私は小ネタ系ミステリが好きなので、前シーズンからのファンです。物語の骨格は、日本の刑事裁判制度の問題点を突く社会派ミステリなのですが、それマジメにやっちゃったら、きっと説教臭くなりますよ。小ネタやダジャレでいい塩梅に脱力させてるから、エンターテインメントとして楽しめるわけで。

 4位『FINAL CUT』。マジメ系のよくできたスリラーなら、私は『アンナチュラル』よりこちらを推します。テレビワイドショーの報道姿勢が批判されていて、ともするとテレビ局にとってはブーメランと揶揄されそうなテーマにあえて挑んでます。でも、なにより驚いたのは母親役の女優さん。あれ、このひとどっかで……あっ! 裕木奈江!

 5位『海月姫』。映画版は最初の15分でやめましたけど、ドラマの初回は最後まで観られました。個人的に好みの話ではないので継続するかは未定ですが、お好きなかたは次回もどうぞ、嫌いなかたはさようなら、と初回で大胆に視聴者をふるいにかけてしまう割り切りかたはすがすがしい。万人受けの高視聴率を狙う時代はもう終わりました。
[ 2018/01/22 14:02 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
偽善のトリセツ

歴史の「普通」ってなんですか?

世間を渡る読書術

会社苦いかしょっぱいか

みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

偽善のすすめ

13歳からの反社会学(文庫)

ザ・世のなか力

怒る!日本文化論

日本列島プチ改造論(文庫)

パオロ・マッツァリーノの日本史漫談

コドモダマシ(文庫)

13歳からの反社会学

続・反社会学講座(文庫)

日本列島プチ改造論

コドモダマシ

反社会学講座(文庫)

つっこみ力

反社会学の不埒な研究報告