こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。この冬のドラマはなかなかの粒ぞろいでしたが、私の最終的な評価は序盤からちょっと変動がありました。
1位『トドメの接吻』。中だるみしそうだなという心配が杞憂だったどころか、あまりの全力疾走に、ついていけないひともいたようで。タイムリープには矛盾がつきものなんですが、ここまでめちゃくちゃ何度もやってしまうと、逆にアラが目立たなくなるというのは発見でした。最終回はせつない展開で押し切るかと思わせて、ラストはクールに決めて終わってくれたのがいいですねえ。B級エンタメの美学をわかってます。
2位『anone』。ラス前の回が一番盛り上がって、最終回が戦後処理みたいになってしまったのが唯一の残念な点。
これを失敗作であるかのようにいってるひとたちがいたことには驚きました。それはあなたがたの鑑賞眼や読解力が未熟だからでしょ。序盤の評で私は、独白やナレーションがないことをほめたのですが、鑑賞眼のないひとたちには、それが裏目に出てしまったのかも。
脚本家を目指すひとは、この作品を徹底的に研究すべきです。犯罪のドシロウトたちが、ニセ札作りという犯罪に手を染めざるを得なくなる必然性を高めるために、すべての人物の来歴を徹底的に作り込むテクニックなど、学ぶところはたくさんあるはずです。
3位『海月姫』。自分でも意外でしたが、『アンナチュラル』は2話でやめてしまったのに『海月姫』は最後まで観ちゃいました。この手の現実離れしたキャラクターものでなにより大事なのは、演者が照れずにやりきること。ワタシなんでこんなバカバカしいことやってんだろ、みたいな照れがあると、見る側に必ず伝わってシラけます。このドラマは、主要キャストだけでなく、運転手の要潤さんとかヒール役の泉里香さんとかの脇役まで、みなさんすごく愉しそうに演じてました。それを引き出した脚本と演出の手腕も賞賛に値します。今回出演した役者さんは全員トクしたでしょ。このひとたち他のドラマでも使ってみたい、と絶対思われたはずですから。
あと、『99.9』は法曹界、『FINAL CUT』は放送界、それぞれの闇とゆがみを取りあげた社会派ミステリの良作でした。
[ 2018/03/27 20:30 ]
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