こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。東日本大震災のときに壊れた建物などを震災遺構として残すかどうかで、8年経ったいまでももめてるところがあるそうです。
その是非を感傷で決めてはいけません。震災遺構は、その維持管理費をすべて寄付でまかなえるもののみ、残すべきです。
建物だけでなく道路や橋など、すべての建築物は完成した瞬間から劣化がはじまり、ほうっておけば崩壊します。だから必ず維持管理が必要になるんです。そして維持管理にはけっこうなお金がかかります。
もし、震災遺構の維持管理を怠ったために崩れ落ち、見学に来てた人が下敷きになるなるなんてことが起きたら、しゃれになりません。
維持管理の費用を税金でまかなうつもりなら、やめたほうがいい。被災した自治体でお金がありあまってるところなんてないはずです。他に使いみちがたくさんあるのに、震災遺構というノスタルジーの維持管理に使うのはバカげてます。ただでさえ、日本全国の自治体で、高度成長期に作った水道などのインフラは改修時期に来ていて、予算を工面するのに頭を悩ませてる現実があるというのに。
震災の教訓を正しく伝えるなら、文字や映像での説明で残すべきです。モニュメントを見たところで、何が伝わるのですか。印象だけですよ。災害対策は、事実と根拠に基づいて、効果のあることをやらなければいけません。感情論でやるのは、かえって危険です。
感傷じゃないというのなら、なおさらのこと、そういうあなたが率先して維持管理費を寄付するのがスジってものでしょう。多くの人がこれを遺構として残したいと本気で思ってるのなら、維持管理費を寄付でまかなうことはできるはずです。
[ 2019/03/11 19:18 ]
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