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可もなく不可もなく地味で普通な令和

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。令和、って最初に聞いた瞬間、おそらく多くのひとの正直な反応は、「……ん?」とか、「これ……なのか?」などと違和感をおぼえるものだったんじゃないですか。私もそうでした。でも一日経ったら、もう慣れたでしょ。
 なんでかというと、令和は可もなく不可もなく、地味で普通だからです。でも、元号はそれでいいんです。元号そのものに強い色やイメージや自己主張があってはいけないんです。

 新元号は何になるんだろう、とみんなが事前にむちゃくちゃ盛り上がり、期待値マックスで、ハロウィンの仮装パレードかなんかみたいに、どんなヤツが来るんだろ、と待ち構えてたところに、地味な「令和」がやってきたから、「……ん?」と肩すかしをくらったのです。
 でも元号って、発表されたからといって「イエーイ!」とかいうもんじゃないでしょ。サプライズを期待するのもおかしい。平成だって、最初聞いたときは、ふうん、くらいにしか思わなかったし、周囲でもそんな感じの受け止めかたでしたよ。
 これから数十年もの日常を過ごすにあたって、もうだれも元号のことなど気にしなくなります。書類に日付を記入するときに、あれ、今年令和何年だっけ? と思い出すくらいで。
 発表や改元直後は、元号はハレのものかもしれないけど、そのあとは長く使う日用品になるんです。だから華美なものや勇ましいものだと、日常では逆にうるさくなってしまいます。可もなく不可もなく地味で普通な令和は、みんなすぐに慣れるだろうから、元号にふさわしいんじゃないですか。
[ 2019/04/02 19:57 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
つっこみ力

読むワイドショー

思考の憑きもの

サラリーマン生態100年史

偽善のトリセツ

歴史の「普通」ってなんですか?

世間を渡る読書術

会社苦いかしょっぱいか

みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

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13歳からの反社会学(文庫)

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続・反社会学講座(文庫)

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