こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。トロッコ問題の続きを期待してたかたがいるかもしれませんけど、それはまた日を改めて、エセ哲学者どもをいじめてやります(笑)。
年末年始に小難しい話なんて聞きたくないでしょうし、したくもありません。ということで、2019年の回顧、今回はテレビ編。
まずは秋ドラマのまとめ。先日放送された『みをつくし料理帖スペシャル』は、待った甲斐がありました。この完成度を見せつけられたら、黒木華さん以外の澪はもう考えられないと思うんだけど、べつのキャストで映画版を作ろうとしてるひとたちは、勝算あるのかね?
恋か仕事か女性が悩むというのは、きわめて現代的なテーマです。まあ、江戸時代にも独身で手習いの師匠をやってた女性なんてのもいたそうですが、実態までは知りません。少なくともドラマでは、江戸時代という背景の中でこのテーマを無理なく成立させてましたし、胸を打たれました。お見事です。
何年かかってもいいから、このドラマ版は完結させてほしいですね。
『同期のサクラ』は終盤の展開で賛否が割れたのもわかります。だけど、予定調和やありきたりの感動を嫌い、最後の最後までひねるってのが、遊川さんの持ち味なんで。
やはり続編は本編を越えられなかった。『まだ結婚できない男』『時効警察はじめました』『おっさんずラブ in the sky』、どれもおもしろかったのは序盤だけ。『おっさんずラブ』はさすがにもうネタ切れが激しくて、企画自体にムリがあったとしか思えません。
『時効警察』は最初の2時間スペシャルの出来がかなり良かったんですけどね。それにしても、吉岡里帆さんって、なんでアンチがいるの?
私が選ぶ今年の連ドラ年間ベストは、べつに黒木華推しってわけじゃなく、純粋に作品の出来で『凪のお暇』。ミニシリーズが『令和元年版怪談牡丹灯籠』でした。
ドラマ以外のおすすめは、2本ともBSの番組です。1本目は『ザ・カセットテープ・ミュージック』。マキタスポーツさんとスージー鈴木さんが、アラフィフ世代にどストライクの歌謡曲やポップスを取りあげて、なぜその曲がすごいのか、音楽理論で解明していきます。ときどきマキタさんがネタをやってくれます。原曲がわからないくらいに「乾杯」を崩して歌った長渕剛さんのマネには、腹抱えて笑いました。
もう1本は『町山智浩のアメリカの今を知るTV』。不定期放送だったころからずっと見てますが、日本のニュースが全然取りあげないアメリカ情報を教えてくれる貴重な番組です。
私が一番驚いたのは、悪魔教寺院の取材。危険なカルト宗教かと思ったら、実態は想像とまったく違ってました。
彼らは悪魔なんて信じてません。信仰の自由と多様性の尊重を主張する、平和的で理性的な社会活動団体なんです。
彼らが問題視してるのは、アメリカの憲法にある政教分離の原則が守られていないこと。市庁舎などの公的機関の前に、聖書の十戒の石碑が建ってたりします。この手のモニュメントは、キリスト教系保守団体の寄付で立てることが多いのですが、憲法違反の可能性があります。
悪魔教寺院はそれに抗議するために、オレたちが信仰する(ホントは信じてないけど)悪魔の像を、十戒の石碑の隣に立ててくれと申し出ます。公的機関はすべての宗教に平等でなければならないので、両方立てるか、両方撤去するかしなければなりません。それで聖書の石碑を撤去させたこともあるそうです。
日本の場合は神道に対して政教分離原則の適用が甘すぎます。日本にも悪魔教が必要かもしれません。
おまけ。TOKYO MXで初代『仮面ライダー』の再放送がはじまりまして、昭和46年の科学観やセリフの言葉づかいにハマってます。
原子力研究所に侵入しようとした怪人が見えない壁に跳ね返されるのですが、バリアを「バーリア」と発音してます。
ナレーション「原子力研究所の電磁波バーリアは、原水爆でも破れないのだ」
電磁波最強伝説。
アジトに戻った怪人が、バーリアが破れないと報告すると、ショッカーの総統が「弱音を吐くな!」
まさかの精神論。
[ 2019/12/29 22:55 ]
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