こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。まあ、99パーセント期待してなかったけど、やっぱり国民全員に無条件で10万円の現金給付案は潰されました。
私は先月のブログ記事に、選ぶことが不公平と不正を生むのだから、選ばないことがもっとも多くのひとを救えると書きました。
選ばず、こだわらず、対策を でも自民党のアタマの固い
(もしくはケチな)議員たちは、救う対象を選ぶという発想に固執するあまり、結果的に、救えるひとを大幅に減らすことになりました。
お肉券を配ろうなんてアイデアは、まさに、特定の業種を選ぶことで不公平・不正を生む愚策の極みでした。コロナウイルスでは国民全員が困ってるのに、肉の業界団体だけに便宜を図ろうとしたんですから不公平です。これがもし通っていたら、与党議員にたくさん献金した業界だけが救われることになるわけで、それは業界と政治家の癒着という不正を奨励するようなもの。
そんなにお肉券がほしいなら、国会議員の歳費と文書通信費を全部お肉券で支給すればよかったのに。
国民全員に一律10万円というもっとも合理的な案が、どういう理由で却下されたのか、具体的な経緯を納得のいくように説明してほしいものです。安倍さんはなにかにつけて「丁寧な説明をする」といいますが、安倍さんが丁寧な説明をしてるのなんて、聞いたためしがないんですけどね。ひょっとして、語尾を「であります」にすれば丁寧に説明したことになると思ってる?
私が聞いたかぎりでは、現金支給に反対する理由は、デタラメなものばかりでした。まずは、財源がないというもの。でも安倍さんは経済対策に108兆円を支出すると発表しました。国民全員に余裕で10万円配れたじゃないですか。いや、実現可能なことがあきらかになったのだから、いまからやっても遅くないですよ。
1家族30万円という案も、最初は全世帯かと思ったのに、フタを開けたら異常なまでに給付条件がきびしくて、もらえるひとがどれくらいいるの? って感じです。もし、全員に10万円だったら、4人家族は40万円もらえたはずなのに。日本は少子化核家族だから3人前でいいやって計算なのかな?
しかも自己申告制で審査があるんです。これは生活保護制度でも同じなんですけど、貧乏オーディションに自ら参加して合格しないともらえないという、屈辱的なやりかたです。
全員に配っちゃえば、その屈辱がありません。なんだったら逆に、自分は必要ないってひとだけ自己申告してもらって、支給しない、もしくは来年の所得税に上乗せして返してもらうという方式もありますよ。そっちのほうが簡単なんじゃないの?
よくわからない反対理由としては、以前現金給付したときに、住所がわからなくて届かず、再配達などに手間がかかったからというのもありました。
じゃあ、マスクは?! マスクだって住所不明のひとには届きません。なのに、マスク配布をやめろといわないんですね。
以前現金給付したときには貯蓄にまわってしまい、経済的効果がなかったから、という理由。
じゃあ、マスクはよ?! マスクだって全員に配ったところで、かなりの数が使わずに捨てられてムダになります。え? 使わないのなら、欲しいひとにあげればムダにならない? それは現金だって同じ理屈です。もらった10万円が不要なら、誰かにあげれば
(寄付すれば)ムダになりません。なんでお金はダメなの?
自粛や休業は強制ではないといいながら、ここまできたら強制されたも同然です。しかも終わりが見えないんです。だったら補償をするのが当然なのに、当然のことがなされないから、希望が毎日じわじわと奪われ続けてる状態なんですよ、いまの日本は。
あらためて訴えます。線引きしたり選んだりせず、いますぐ一律給付をやれ、と。