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現金一律給付がダメなら、住居費免除はどうですか

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。ツイッターを見ると、現金一律給付を望む声がかなり多いようですが、一方で、反対論も根強くて、政府が方針転換を迫られるまでの流れになってないのが残念です。

 しばらく前に取りあげたトロッコ問題という仮想現実の思考実験では、回答を求められたひとのほとんどが、1人よりも5人を救うほうを選択するといいます。できるだけ多くの人間を救うことが正しいと、頭では考えているのです。
 ところが現実はどうかというと、まったく逆のことが起きてます。
 無条件での現金一律給付がもっとも多くのひとを救えるのは確実なのに、いま日本政府は、さまざまな条件で絞り込んで、救えるひとの人数を可能なかぎり減らそうと努力してるんです。
 その政府のやりかたを支持するひとたちは、トロッコ問題では多くのひとを救うべきだと主張するくせに、現実の世界ではなるべく多くのひとが救われないほうを望んでいるんですよね。
 全員に給付するなら、損するひとはいないんですよ。なのに一律給付という合理的社会救済策に反対するということは、そのひとは「損するひとがいてほしい」と願ってることになります。それは私にはとても不合理な考えかたに思えるのですが、きっと彼らは、他人が損をすることを正当化する労働観や経済観をお持ちなのでしょう。

 そんなに10万欲しいのか、なんてせせら笑う声もネットにはありましたが、欲しいに決まってるじゃないですか。今月の家賃を払えそうにないってひとも現実にいるんですから。
 ライフラインの無償化や減税などの措置で十分だ、って消極的な意見もありますが、低所得者だと光熱費なんてせいぜい月数千円です。収入がゼロになって数千円トクしたって割にあいません。
 そのライフラインとやらに家賃まで含まれるのなら、賛成です。非常事態宣言が出てる間(いまのところは1か月分)の家賃・テナント料・住宅ローンを、月10万円を限度に払わなくていいとする。で、大家(債権者)が国に損失補填を請求する、という救済策なら助かるひとは大勢います。
 それじゃ大家が損するかもしれないじゃないか? いや、みんなが困ってるなかで、家賃だけは絶対払わねばならないって現状こそが、かなり不公平だと気づいてますか。事実上、大家だけが特別に優遇されてるのと同じです。損失はみんなで少しずつわかちあうべきでしょう。
 前から不思議だったんだけど、毎月家賃を何万円も払っても、大家に感謝されたことなんてないんですよね。こんな非常時くらいは、お客様感謝デーだと思って、大家も日本社会存続のために一肌脱いでやろうくらいの心意気を見せたらいかがですか。
 ネットカフェまで休業するところが多いんです。このままだと住む場所を失ってホームレスになるひとが続出する危険性はかなり高い。それをそいつらの自己責任だ、なんて片付けたら、あとでしっぺ返しを食いますよ。社会と経済はどこかでみんなつながってるのだから、自分さえよければって考えは、浅はかです。
[ 2020/04/13 17:33 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
つっこみ力

読むワイドショー

思考の憑きもの

サラリーマン生態100年史

偽善のトリセツ

歴史の「普通」ってなんですか?

世間を渡る読書術

会社苦いかしょっぱいか

みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

偽善のすすめ

13歳からの反社会学(文庫)

ザ・世のなか力

怒る!日本文化論

日本列島プチ改造論(文庫)

パオロ・マッツァリーノの日本史漫談

コドモダマシ(文庫)

13歳からの反社会学

続・反社会学講座(文庫)

日本列島プチ改造論

コドモダマシ

反社会学講座(文庫)

つっこみ力

反社会学の不埒な研究報告