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いまさらレジ袋有料化に文句いってるひとって何なの?

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。私は2010年刊の『13歳からの反社会学』で、レジ袋は禁止するのでなく有料化して、消費者の判断にまかせるべきだと主張しました。その考えは10年経ったいまでもまったく変わりません。レジ袋の有料化は当然の帰結です。

 レジ袋の有料化は10年前から予想されてたのに、いまさら文句つけてるひとって、なんなの? この10年、世間と隔絶された山奥で、山伏になる修行でもしてたのでしょうか。えーっ、10年ぶりに里に下りてきたら、レジ袋が有料化されてる~! みたいな?

 そもそもレジ袋の有料化にケチつけてるひとたちの主張は、根本的に論理がねじれてます。
「レジ袋はとっても便利だ! いまさら手放すなんて考えられない! オレはずっと使い続けたいのだ! だからタダで寄こせ!」
 これじゃ強盗や山賊の理屈です。お、いいものがあるな。それ欲しいからタダでオレに寄こせ、というんですから。
 モノやサービスの価値を認めるのなら、それに対して対価を払う。あなたが野蛮な山賊でなく、自由経済社会で生きるまっとうな市民なら、この基本ルールを守るべきです。レジ袋の便利さを高く評価するのなら、対価を払うのが当然です。
 コンビニでは1枚3円。仮に毎日1枚ずつ買ったとしても年にたったの1100円弱。安いもんじゃないですか。レジ袋に価値を認めてるなら、いや、価値を認めてるひとこそ、積極的に年間1100円くらい払って買い支えるべきでしょ。タダで手に入れようだなんてケチな強盗理論を、グダグダとヘリクツこねて正当化するなよ、って話です。

 私は買い物用のリュックを背負って買い物に行きますが、オリジン弁当やコンビニで弁当を買うときだけはレジ袋を買ってます。弁当はリュックに入れるとタテになっちゃいますから。弁当を平らな状態で持ち運べるレジ袋に私は価値を認めてるわけです。だから、カネを払って買います。
 レジ袋はゴミ袋にしたり、おむつを捨てたりするのに再利用できるから必要なのだ、というひとは、レジ袋を買えばいいんです。100円ショップでもいろんなサイズのが売ってます。むしろ自分が必要とするサイズの袋を必要なだけ買えるのだから、ムダがありません。ムダを出さないことこそが、真のエコです。タダでもらったレジ袋って、結局ほとんど捨ててるんですよ。
 レジ袋に価値を認めるなら対価を払う。価値を認めないのなら自分で袋を持参する。使用禁止ではなく、消費者に判断をゆだねているのだから、レジ袋有料化はとてもフェアな経済政策です。

 ていうか、レジ袋の有料化は事実上、10年くらい前からはじまってたんです。私が知るかぎりでは、首都圏のスーパーの大半は、10年くらい前から、レジ袋を辞退すれば会計から2円引きとか、2ポイント付与みたいなことをやってました。
 私のような貧乏人はスーパーなどで食材を買って自炊をする機会が多いので、レジ袋をもらわず節約するのは、何年も前から当たり前の日常行動です。
 最初にいいましたけど、こういった流れを見ていれば、レジ袋有料化は10年前から十分予想できたことです。いうなれば、10年間の移行期間があったのです。これもまた、レジ袋有料化が経済政策としてフェアであると評価できる理由です。いきなり有料化したわけじゃありません。

 だから余計に、有料化に文句いってるひとたちに対する、「いまさらなんなの?」感が強いんです。あなたがたはスーパーをまったく利用しないのか? レジ袋有料化の流れに気づいてなかったのか? 有料化がイヤなら、その流れを変えるための努力をしたのか? 国会前や自民党本部前でレジ袋有料化反対のデモをやったのか?
 10年間なにもせず、レジ袋が無料でもらえることに甘えて生きてきたくせに、いまさら文句いってるのがおかしいから、私は冒頭で、あなたがたは山伏の修行でもしてたのか、と皮肉を込めて聞いたのです。

 さて、こういう話をすると反論できない悔しさから、「説教すんな!」と捨てゼリフを吐くひとがきっと出てくることでしょう。
 私は説教したのではありません。レジ袋有料化は経済政策としてフェアであるという論理的な話をしたまでです。
 これも研究課題のひとつにしてるのですが、自分が論破されたことを認めたくないときに、説教だと感情論で相手をなじって済ませるひとが、最近増えてるように思えるんですよねえ。
[ 2020/08/27 10:11 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
偽善のトリセツ

歴史の「普通」ってなんですか?

世間を渡る読書術

会社苦いかしょっぱいか

みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

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