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2021年のおすすめテレビ番組

 こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。年末なので2021年のよかったテレビのまとめです。
 私の人生にオリンピックは必要ないので、テレビが五輪一色になる大会期間中はネットフリックスに加入してました。
 自分でも意外だったのは、『愛の不時着』にハマったこと。私は嫌韓なんて偏見には同調しませんが、韓国ドラマとはなぜか相性が悪く、これまで最後まで観たのは『チャングムの誓い』と『シグナル』だけなんです。だから『愛の不時着』もひやかしで1話だけ、と観はじめたら、恋愛だけでなく、軍事アクション、サスペンス、南北問題など、おもしろい具の全部載せで、ベタだけどクセになるコメディ風味でまとめていて、登場人物全員のキャラが立っていて……もう、この作り込み具合には、参りました。

 韓流の秀作をもう一本。こちらはWOWOWで観た『誰も知らない』。日本の映画とは無関係。伊東ゆかりさんのヒット曲とも、もちろん無関係。
 親友を連続殺人鬼に殺された女子高生が、自分の手で犯人を捕まえると誓って刑事になるのですが、その事件を最後に連続殺人は止まり、捜査は行き詰まります。そして20年後、同じ手口の事件が起きて、女刑事は犯人を追い詰めるのですが、彼女の目の前で犯人はビルの屋上から飛び降りて死んでしまう……というところまでがなんと第1話なんです。最終回じゃないのよ。初回だけでこの内容の濃さ。2話以降から真の謎解きがはじまります。女刑事が息子同然にかわいがってる近所の中学生が飛び降り自殺未遂で意識不明に。それが過去の連続殺人とどうリンクするのか。
 これいまはU-NEXTだけの配信なのかな? ミステリファンなら観て損はありません。

 日本のドラマでは、『大豆田とわ子と三人の元夫』がダントツで今年のベストですが、これに関してはすでにブログに書きましたので省略。

 ドキュメンタリーの秀作は3本。『民意偽造』『ウガンダ ベーシックインカム社会実験』の2本は、ブログで紹介済み。
 あと1本はNHKの『日本一長く服役した男』。昭和33年、21歳のときに強盗殺人で無期懲役になった男。通常、無期懲役刑は30数年経つと仮釈放が検討されるのですが、この男は61年間服役し、83歳ではじめて仮釈放になったのでした。
 身元引受人がいないという理由で仮釈放が却下され続けていたのですが、平成21年に高齢の受刑者を老人施設で引き受ける制度ができたことで、ようやく仮釈放への道が開けました。しかし仮釈放の1年後に男は病死してしまいます。なんとも数奇な運命です。

 教養系番組のベストは、BS-TBSで放送中の『関口宏のもう一度!近現代史』。明治以降の日本史を1年ごとに解説していく番組で、以前はたまにしか観なかったんですが、終戦からは月単位で細かくやってて勉強になるし、保阪正康さんの長年の取材にもとづいた貴重な裏話も聞けます。こういうのこそTVerとかで多くの人、とくに中高生たちにも観られるようにしてほしいですね。
[ 2021/12/30 22:31 ] 未分類 | TB(-) | CM(-)
プロフィール

Author:パオロ・マッツァリーノ
イタリア生まれの日本文化史研究家、戯作者。公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。父は九州男児で国際スパイ(もしくは某ハンバーガーチェーンの店舗清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。ジャズと立ち食いそばが好き。

パオロの著作
つっこみ力

読むワイドショー

思考の憑きもの

サラリーマン生態100年史

偽善のトリセツ

歴史の「普通」ってなんですか?

世間を渡る読書術

会社苦いかしょっぱいか

みんなの道徳解体新書

日本人のための怒りかた講座

エラい人にはウソがある

昔はよかった病

日本文化史

偽善のすすめ

13歳からの反社会学(文庫)

ザ・世のなか力

怒る!日本文化論

日本列島プチ改造論(文庫)

パオロ・マッツァリーノの日本史漫談

コドモダマシ(文庫)

13歳からの反社会学

続・反社会学講座(文庫)

日本列島プチ改造論

コドモダマシ

反社会学講座(文庫)

つっこみ力

反社会学の不埒な研究報告