こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。2月8日にNHKBSで放送された『アナザーストーリーズ 立花隆vs.田中角栄』の録画を遅ればせながら見たところ、これがむちゃくちゃおもしろかったです。
いまとなっては意外ですが、立花隆が田中角栄の金脈を暴く記事が載った『文藝春秋』が発売されたとき、他のマスコミからはほぼスルーされたそうです。
唯一、関心を示したのが外国人記者の団体である、外国人特派員協会でした。彼らが会見をセッティングすると、田中角栄がそれに応じて本人が出席しました。
そのときの貴重な録音が残ってるんですね。会見の冒頭で、司会の記者が田中角栄を紹介すると、場内は爆笑の渦。BSを観られない人も多いと思うので、番組で流れた日本語訳を、そのまま転載しておきます。
みなさま総理大臣をご紹介いたします
彼の経済活動の出来事は
最新の『文藝春秋』を読めばよく分かります
彼の書いた本『日本沈没』……
ゴメンナサイ(←ここだけ日本語)
『日本列島改造論』の間違いでした
スゴいよね。記者が総理を皮肉とジョークでイジり倒してます。日本のマスコミは絶対しません。てか、する勇気もセンスもない。
このときの通訳の人、ちゃんと訳して田中に聞かせたのかな。
記者からの質問は当然、金脈問題に終始したのですが、結局田中は質問をすべてはぐらかし、会見を途中で打ち切って帰ってしまったとのこと。
翌日から欧米の新聞で田中の金脈問題が盛んに報道されると、日本のマスコミも手のひらを返したように追及をはじめたというのが、なんだかねぇ。