こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。版元ドットコムなどの新刊情報サイトではもう情報が公開されているようなので、私のほうからも新刊発売の予告をします。
来年(2023年)2月上旬に書き下ろしの新刊が出ることになりました。
『読むワイドショー』ちくま新書です。
今回のテーマはテレビと芸能。もっとも身近な大衆文化なのに、知ってるようで知らないことが意外と多いのがこのジャンル。
たとえば、テレビ画面隅にタレントやコメンテーターの顔が映し出される小窓を、みなさん普通にワイプと呼んでますけど、なんでワイプというのか、いつごろから使われはじめたのか、何がきっかけで定着したのかなんて、もろもろのことをご存じですか?
テレビ好きの私も気にはなってたけど、ぼんやりとしか知らなかったんです。いつもの文化史調査の手法でワイプのルーツと歴史を掘り返してみたら、知られざるおもしろエピソードの宝庫でした。
映画では古くから場面転換の技法として使われていたワイプを、日本のテレビが画面合成の技術として応用し始めたのは50年代。かなり早かったんですね。
あのCMで、あのスポーツで、あのニュースで、そしてなんと、あのドラマでもワイプが使われていたのでした。
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やっぱりなんでも調べてみるもんですね。ワイプなどという小さな文化ひとつとっても、これだけの歴史があるのだから、おもしろい。気になったかたは、ぜひ本を読んでいただきたい。
他にも、歌手が逮捕されるとレコードが回収される不思議な慣例が始まった経緯。コメンテーターとは何者だったのか。略奪婚の歴史。昭和の芸能人たちによる過激すぎる政治批判と、政治家からのすさまじい言論弾圧など、硬軟取り混ぜた内容を新書の枠内にぎゅうぎゅうに詰め込んだ、とってもお得な本になっております。ご期待ください。
[ 2022/12/23 20:07 ]
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