こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。先日、滑舌の悪い店員に遭遇しました。居酒屋のランチで豚丼を注文すると店員が「プチ盛りでいいですか」とたずねてきました。
プチ盛り? 私そんな小食に見えるのか? と、そこで気づきました。メニューには、ごはん大盛り無料と書いてあったので、彼はひょっとして「普通盛り」といったつもりなのではなかろうか。そこで「普通盛りでいいです」と答えたところ、「かしゅこまりました」と去っていったので、正解だったと思われます。
今期のテレビドラマは『相棒』と『泣くな、はらちゃん』を見ていると以前書きました。『はらちゃん』も悪くなかったのですが、終わってみますと、じつは一番おもしろかったのは『dinner』だったという意外な結果に。
私は3話目くらいからなんとなく見はじめました。基本的に一話完結なんで、途中から入っていけたんです。そりゃあ、キビシいことをいえば、毎回の展開はだいたい先が読めてしまう。これまでにない新趣向などはありません。予定調和、ありきたり、そんな批判もありましょう。しかし、予想の範囲内できっちりと作り込んであるところに好感を持てたのです。重すぎず軽すぎず、見終えたあとにちょっといい気分にさせてくれるのだから、けっこういい仕事してました。日曜の夜、風呂上がりにビールでも飲みながら見るドラマとしては最高だったのでは。
でもラストは、ちょっとさびしい終わりかたでした。店のほうはうまくいきそうなのに、江口さん演じる天才料理人は、結局二流の店で埋もれてしまう選択をしたわけで。
それと、こちらも気になっていた朝ドラ『純と愛』ですが、やはり朝ドラ史上に残るであろう異例のハッピーとはいいがたいエンディングでした。といっても、私は朝ドラ毎回見てるわけじゃないし、朝テレビつけっぱなしにしてなんとなく見てるといった程度の視聴者だから、イメージにすぎないけれど、すべてがうまく収まって、これからも歩いて行こうみたいな大団円が普通なんじゃないのかな、あの手のドラマでは。
『純と愛』のラストは、解釈を視聴者に任せたまま宙ぶらりんで終わってしまいました。あれは希望の光なのか、それともまたぬか喜びなのか。
でも私はあの幕切れは嫌いではないです。朝見たのに、最終回だけBSで夜もう一回見ちゃったくらいですから。
むかしよくやってた山田太一さん脚本のドラマも、たいてい宙ぶらりんのまま終わるんですけど、逆にそこにリアリティがあって好きでした。あまりにぴしっと決まったエンディングはわざとらしくてね。
[ 2013/03/31 18:09 ]
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